強烈なブラックコメディ「ドント・ルック・アップ」を観て、人類がここまで愚かでありませんようにと祈りたくなった件
半年後に、地球に隕石が落ちて
地球が滅亡するとしたら・・・あなたはどうする?
パニックムービーにありがちな設定だが、
本作「ドント・ルック・アップ」は、パニック要素に加えて、現代の問題を強烈な風刺映画として描いたブラックコメディ。
アカデミー賞有力候補ということで鑑賞したが、正直、ここまでやっちゃっていいの??というくらい、現代のアメリカ、そしてこの世界の、人間の愚かさを痛烈に批判している。
なので、わたしからすれば、「ブラックコメディー」なんてカワイイものではなく、本気で世の中にケンカを売ってるくらい強烈な風刺映画に思えた。
政治のことも含め、こんなにあれこれ皮肉った映画は、マイケル・ムーア監督ぐらいしかやらないと思ったが、本作はびっちり予算をかけて、レオナルド・ディカプリオや、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェットなど、ハリウッドの超豪華オールスターキャストで挑んでいるところがスゴイ。
1.恐ろしいことは、直視しなければいい。
隕石がやってきて、それは確実に地球に激突し、地球が破滅する。あと6か月後に確実に滅亡する。
科学者の訴えを、誰も信じない。本気で行動しない。みんな目をそらす。
選挙の事ばっかり考えている大統領。面白いこと、楽しいことしか言わないモーニングショー。真面目な事はノーサンキュー。大事なことに目を向けず、目先の綺麗事だけ見てればいいし、みんな自分さえよければいい。今が楽しければそれでいい。ドント・ルック・アップ。
せっかく科学者が本気で考えた隕石の軌道修正計画も、金儲けの話に取って代わられ、人類はどんどん滅亡に近づいていく。
人類が滅亡するというのに、目先の金儲けにヒョイと乗っかる愚かさ。ラストまで自分のことしか考えてない人たちの暴走は続く。
2.正直、笑えない。本当に起こりそうだから。
本作は「ブラックコメディ」と言いながら、全然笑えなかった。
だってシャレにならないんだもん。
なぜなら正直、もしいま、本当に隕石が落ちてくるとしたら、この映画のようにわが身を滅ぼすような愚行を現代のリーダーたちがやらかしちゃいそうだからだ。
日本の政治家についてもいろいろと思うところがあるが、アメリカの映画でここまで風刺されているのだから、アメリカもなかなかヤバイことになっているのだろう。
まともじゃないのは政治家だけじゃない。みんなそういう狂気の渦に呑み込まれていく。
コロナに戦争に災害に、あれこれ立て続けに起こっている今日この頃だ。隕石だっていつ降ってきてもおかしくない。そんなときに、政治家に自分たちの未来を託して大丈夫なんだろうか?映画を観ながらめちゃくちゃ不安になる。
3.シャレにならない風刺を、大スターが嬉々として演じる面白さ
正直、わたしから見たら、笑ってる場合じゃない。
シャレにならないような内容なので、コメディと呼べるか微妙なところだが、
まぁ、「コメディ」とギリギリ言える部分は、「アルマゲドン」やら「タイタニック」やら、ハリウッドのヒット作を思わせる部分くらいかな。
タイタニックで好青年だったディカプリオは、すっかり太ったおっさんになって、冴えない科学者の役をやっているあたりが、なかなかシニカル。
メリル・ストリープは、ダサイ田舎の主婦でも、大統領でもできちゃうすごい女優さん。今回も助演女優賞ノミネートされている。
俳優陣もすごいけれど、設定とかここまでブラックに批判する勇気とか、いろいろすごい。そして、俳優陣もなかなか楽しそうに、生き生きと演じているのが印象的。みなさま、思うところがおありのようで。
最後のオチもとんでもなく面白くて、死にたくない、お金が欲しいと最後まで醜く、欲にしがみついている人間が滑稽に思えてしまう。
4.人類なんて、たいして進化していないのかも。
ていうか、これを見て改めて思ったのだが、そもそも、テクノロジーはめちゃくちゃ進化したが、人間の質自体は、数千年たってもたいして進化していないのかなと思う。
歴史を勉強していても、結局人類の歴史って、土地や利権の奪い合いと殺し合いの歴史なわけで、そういう政治家やリーダーのあれこれも、もしかしたら今に始まったことじゃないのかもしれない。
「開拓」とか「統一」とか名前はよいけど、結局他人の土地に踏み込んでいって、そこに住んでいた現地の人を最新の武器で脅したり殺したり奴隷にしたりして、そこにある資源を持って行ったり、なんなら現地の人を奴隷にして金や宝石を掘らせたりしてるわけで。
人間なんて結局そんなもんなのだから、政治家や国のリーダーに大きな期待をしても無駄なのかもしれない。テクノロジーがいくら進化したところで、人間はたいして進化していない。
だけどやっぱり、政治家のミスリードで自分たちが死ぬのはほんとに嫌だ。ほしい。政治家とか利権をチュウチュウ吸い取りたい人たちが勝手に戦争して、庶民なわたしたちが死ぬのはごめんだ。もういい加減にしてほしい。
そういう思いをすべてこの映画にぶつけて作られたような思い切った作品で、笑えないけど最高なブラックコメディだと思った。
5.地球が終わる瞬間、どんな時間を過ごしたいか?
まったく人間てのは愚かな選択をするもんだよなぁ、と思うし、そう思うわたしも人間だ。
そんな愚かな人間たちの集まりの中で、いろんな喜びも、悲しみもある。そしてもちろん幸せを感じる瞬間も確実にあって、本当の幸せってなんなのだろう。と考え直すいいきっかけにもなる。
幸せってなんだろう。
欲しいものはたくさんあるけど、もしかしたらもう持っているのかもしれない。
もしも地球が終わるとしたら、誰とどんな時間を過ごしたいか?と考えたときに思い浮かぶことが、もしかしたら自分の本当に幸せな瞬間なのかもしれない。
とにかく、もし地球滅亡の危機が迫ったときに、人間がここまで愚かでありませんようにと願いつつ、自分の人生をコツコツ大事に生きるしかなさそうだ。
この痛快なブラックコメディ、ネットフリックスで観られるので、ぜひぜひ観てみていただきたい。
今日もお読みくださりありがとうございました!