見出し画像

ブラジルで黒魔術38

息子にかけられた「赤い糸の呪い」
気付いてからそれを解くまでの家族の物語。
自分用にメモしていたものを編集してます。

-

続き

わたしと息子と生徒さんの3人は、
いつもの様に地下鉄に乗り、
治安が悪いと聞いていたその街に到着した。

確かに路上には浮浪者が沢山寝ていて、
雑然としたエネルギーで満ちていた。

-

街を少し行くとすぐに、アフリカ布を売っている屋台をいくつも見つけた。

わたしたちは屋台をぐるっと回ってから、
すぐ近くにあったアフリカ布の店に入った。

お店には陽気なブラジル人のお姉さんがいて、よくここに日本人がアフリカ布を買いに来ると言った。

お店には種類豊富なアフリカ布や素敵なスカートなどがあり、ここで買い物して帰っても良さそうだった。

わたしたちはしばらくそのお店にいて、
お姉さんは布を探していた生徒さんにいくつも布やスカートを見せていた。

その時わたしは、ふとお腹の力が抜けた感じがしたので空腹かと思い、近くにおすすめのレストランがないかお姉さんに聞いてみた。

お姉さんは親切に教えてくれたけど、インスタで調べてもそのレストランは見つからず、

なんとなくそのままふらっとお店を出て、わたしたちはすぐ隣のお店に移動した。

-

その建物には小さなお店が沢山入っていて、わたしたちは一番最初のお店でまたアフリカ布を見つけた。

聞いてみると、
同じ布がさっきのお店より安かった。

そこには高齢のアフリカ女性(店長)とスタッフのゲイのお姉さんがいて、

そのゲイのお姉さんは布を始め、棚に置いてあったヘナの粉、天然の石鹸、何かの油脂で出来たクリーム、

ヘアーターバン、料理に使うコンソメ、そして悪いエネルギーから護ってくれるというエッセンスオイルを、

実際に塗ったり香りを嗅がせたり、
頭に巻いて見せたりしながら、
丁寧に1つずつ紹介してくれた。

その姿があまりにもおかしくて、わたしは笑いをこらえられなかったのだけど、

それほどにそのゲイのお姉さんは、
強烈なインパクトをわたしたちに残した。

-

建物は奥までずっと続いていて、
他にもアフリカ布がありそうだったので、
見に行くことにした。

奥では好きな布を選んで好きな形に洋裁してくれるらしく、いくつかミシンが置いてある小さなスペースがあった。

一番奥まで行って戻る途中、
さっきのゲイのお姉さんと行き違った。

-

そのまま戻って最初のお店の前に来た。
どうしようか❓と少し立ち止まった時、後ろからさっきのゲイのお姉さんが声をかけてきた。

「ここはとても危ない。
カバンやリュックを狙ってひったくられる。

警察は沢山いるけど、誰も何もしない。
本当なら薄いポーチに貴重品を入れて、
隠して持ち歩くべき。

ナイフを突きつけられることもあるし、
ウーバーイーツの鞄を背負ってる自転車は
たいてい泥棒。

後をつけられてたら完全に狙われてるし、
大抵5人くらいで来てやられるから…」

彼女はとにかくここは危ないから気を付けなさい。あなたたちは日本人だから余計に狙われると警告してくれた。

そんなこととは露知らず…
わたしはいつもの様に背中にリュックを背負い、生徒さんは簡単なトートバッグを肩にかけていた。

ゲイのお姉さんの警告を親切に受け止め、
わたしたちはそのお店とすぐ隣のお店で買い物をして、すぐに帰ることにした。

-

生徒さんは布を探していた。
ゲイのお姉さんは冗談を交えながら接客し、最後はかなりの割引までしてくれた。

その間、わたしはあの悪いエネルギーから護ってくれるというエッセンスオイルが本当に効果があるのか気になって、しつこく彼女に聞いていた。

そんなことから黒魔術の話になり、
ゲイのお姉さんが実は、
同じアフリカ宗教なのだと知った。

そこの店主のおばあちゃんも、
呪術遣いだという…

そしてたまたまお店にいたお客さんのお姉さんも、種類は違えど似たようなアフリカ宗教信仰なのだと教えてくれた。

よく聞いてみると、
同じアフリカ宗教信仰でも白と黒があるらしい。目の前にいる人たちはみんな良い人そうだった。

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?