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ブラジルで黒魔術23

息子にかけられた「赤い糸の呪い」
気付いてからそれを解くまでの家族の物語。
自分用にメモしていたものを編集してます。

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続き

今回はインディオのシャーマンだったけど、いつもマテウスがメインの時は、
助手的ポジションのヒカルドも歌う。

わたしはヒカルドの高く透き通った声が大好きで、前回は彼の歌声で魂たちを天に送った。

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そろそろ…ヒカルドが歌ってくれないかな。
歌ってくれたら、子供たちの魂を天に送れるのになぁ…と、わたしは思っていたのだけど、その機会はなかなかやって来なかった。

焚き火の前に座っていたら、
イザベラが焚き火の前に来て何かしていた。

わたしは彼女を呼んで「ヒカルド歌ってくれないかなぁ」と言ってみた。
すると彼女は「そのうちいいタイミングで歌うと思うよ」と優しく言った。

わたしはそっか…と思いながら、それでもやっぱりヒカルドの声が聞きたかった。

今回はインディオのシャーマンが主体だったので、ヒカルドは火の番とフォロー役に徹していた。

なのでそのタイミングはなかなかやってこなかったのだけど、しばらくしてヒカルドが焚薪をくべに焚き火の前にやって来た。

わたしは彼を呼び「あなたの歌が聞きたいのだけど、歌ってくれない❓」と言ってみた。

彼はいつもの優しいエネルギーで笑い、
そして突然わたしの耳元で歌い始めた。

それはあの強く真っ直ぐな歌声ではなく、
とても優しい遊ぶような笑いかけるような、
そんなエネルギーだった。

わたしは全く予想してなかったので驚いたけど、彼の優しさが心に染みた。

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自分のために歌ってくれる人がいる。
自分の願いを聞いてくれる人がいる。

わたしはその思いを彼女とお母さん、
さらに子供たちと共有した。

インディオの歌は止まることなくわたしたちを包み込み、その歌声はどんどん強さを増していった。そして愛のエネルギーもどんどん広がっていく様だった。

その頃には悲しみより喜びが勝って、
わたしはほとんど感謝で泣いていた。

しばらくして落ち着いて来た。
わたしはずっと焚き火の前に座ったまま、
その炎を見つめていた。

炎も歌声も暖かく、わたしはみんなの歌声に合わせて歌っていた。

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傷ついた魂たちへ。

あなたたちの悲しみも悔しさも絶望も、
わたしか知っている。だから、
全てをここに置いて、次に行こう。

あなたたちには愛と幸せと平和がふさわしい。次はきっと、いや絶対に、あなたを大事にしてくれる所に生まれ変わるから。

その悲しみも悔しさもこの炎の中に置いていくか、わたしのお腹に残していって。
そしたら後で全部、わたしが下ろすから。
(お腹が張ってきたので、なんとなくそう思った。)

だから心配しないで。
思いきって次に行っても大丈夫だから。

その気持ちを手放すのは大変だと思うけど、あなたたちならきっと出来る。

もう自分で自分を縛るのは止めて、
自由に生きよう。

そんなことを繰り返し願いながら
(話しかけながら)、
わたしはずっと歌っていた。

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わたしの声が邪魔になるかなと思いつつも、わたし自身で彼女たちを送りたかった。
そのうちに少しずつ魂が上がっていった。

しばらくしてわたしは、私の肩❓に溜まっていた彼女たちが置いていった思いを、しっかり掴んで炎の中に投げ入れた(振りをした。)

そして彼女たちに言った。
わたしの龍さんの背中に乗せてあげる。
きっと、いや絶対に、あなたたちをいい所に連れてってくれるから。

信じられなくてもいい。
それでも大丈夫だから。
誰一人残さず、
最後の一人までわたしが見送るから。

そして無念の思いを、わたしのお腹に残して上がっていく魂もあった。

焚き火の前で体育座りをしながら、
ぼーっと炎を見つめていたら…
上へ上る火の粉と共に、沢山の黒いモノが上がっては消えていくのが見えた。

沢山たくさん、沢山たくさん、
飛び散る火の粉と共に、
それはくるくると飛び出していった。

わたしはそのままみんなが天に上るように、ティピの天井を見つめては送った。

かなり長いことそうしていたように思う。
もうその黒いモノは見えなくなっていた。

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わたしも少しずつ覚めていった。

それでも…
迷ってる最後の一人まで、
必ず龍さんの背中に乗せるからと、
わたしはずっと炎の前で歌い続けていた。

ふと振り返ると…息子はすっかり横になって寝ている様だった。それもプロセスの一部かなと思い放っておいたら、

しばらくしてヒカルドがやって来た。
そして「そろそろ彼を起こして、火のエネルギーと繋がる様に焚き火の前に呼んだら」と声をかけてくれた。

言われた通り声をかけたけど、
息子はすぐには起きて来なかった。
かなり経ってから焚き火の前に出てきて、
彼は静かにわたしの横に座った。

音楽はまだまだ続いていた。最後はマテウスに代わって、ヘベッカが歌った。

彼女の力強い歌声も好きで、
わたしはとても幸せな気分だった。

続く

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