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140字小説集

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140字小説を新旧問わず置いておきます
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#ドロドロ劇

悪いこと、それはわかっている 最終章 140字小説

悪いこと、それはわかっている 最終章 140字小説

‪奥さんと別れないって知っていた。
でも私もいけない。

周りはあなたは悪くないというけれど、奥さんにお前のせいでと罵られ。
あなたは君は悪くない僕がいけなかった、やめろと。

だけどあなたたちの前で窓から身を投じた。

この世にはわたしを救ってくれるものは誰もいない。

全ては私のせい、わかってる

悪いこと、それはわかってる④140字小説

悪いこと、それはわかってる④140字小説

喫茶店、彼と対面しコーヒーを飲む。まるで無声音の映画のように周りの声どころかカップの音は聞こえない。
「大丈夫か」
彼が強めに言った声にハッとした。そうだ、私は彼に別れ話を持ちかけられてショックのあまり世界の終わりかのように何もかも聞こえなくなってしまったのだ。

今度こそ、さようなら。

悪いこと、それはわかっている③ 140字小説

悪いこと、それはわかっている③ 140字小説

「会えるの楽しみね」
とメール。メールの送り主は部下の由美から。僕の本心はもう別れたい。

しつこい、僕が既婚者だというのに。ほんの火遊びのつもりだった。

「ああ、僕も君と会えること心待ちしている」

妻が屈託のない笑顔で返信する。

由美、待ち合わせ場所に来るな、妻にお前とのことはバレている。

悪いこと、それはわかっている② 140字小説

悪いこと、それはわかっている② 140字小説

あの人が転勤で海外に行く日、空港で。同僚たちが涙を浮かべ見送る。

相変わらずクールに去っていくのね。

あれ、あなたが飛行機乗るときに胸元に入れている遺書。何故か私の鞄の中に。

渡すとホッとした顔を見せた。

すると後ろから親子三人が来てパパーと叫ぶ。彼は手を振った。

さようなら、お元気で‬。