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わたしが闘うべきなのは何か

メールで届いたメッセージに、こんな意味の一文があった。

去年の春といまでは闘うべき相手はちがっているのかも。

これを読んだ瞬間、まさに!と思うのと同時に、個展準備でぐったりしていた体に力がみなぎってくるのがわかった。

日々言葉に助けられていると実感する。遠くにいて、近くにいるような誰かの言葉は、大袈裟でなく薬のように効いてくる。その言葉はわたしにとって希望なのだと伝えたくて仕方なくなる。

闘うべき相手は誰か。わたしが闘うべき相手ははっきりしている。長くなるのでここでは書かないが、その相手はひとではない。言葉にしがたい「なにか」だ。

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昨日書き終えた、長野の個展のステートメントをあらためて読み直している。

長野の塩尻市立図書館での個展について

今回の個展はむずかしい。会場へ行って搬入することができなくなったし(設営時はZOOMで確認する)、足を運ぶひともまた少ないはずだ。ただそんななかでも図書館に来られた方にはきっとそれぞれ図書館に来る理由はあるはずで、そういうひとたちがゆるやかにつながるような展示にできないか。


考えたすえに「家で読むのにおすすめの本」をその場で書いてもらい、展示スペースの一角に貼ってもらうのはどうかと思い至った。

図書館に来た「わたし」と「あなた」は「図書館に来た」という点で同じだ。それはバスや電車に偶然乗り合わせるよりも心理的に近しい。「本」がひととひとのあいだに入ると、ひと同士の心理的距離が近づくのは不思議だが、何度も体験したことがある。図書館で不思議な安心感を感じたことのあるひともきっと多いだろう。

同じ図書館に居合わせたひとがどんなひとで、どんな本を勧めるのか、それを知るのは楽しい体験なのではないだろうか。もちろん、自分のとっておきの本への想いを誰かに届けることも楽しい。

(ここまで書いていたら「これは大規模なプレゼント交換会なのではないだろうか!(鼻息)」と楽しくなってきた……!!!)

図書館という場所でつながるのとはまた別のレイヤーとして、本を介して空間を超えてつながる、ということもできる。もしおすすめの本があったらぜひ、プレゼント交換会に参加してほしい。本のプレゼントはできないけれど、思いがけない出会いはあるかも。

塩尻、図書館、インターネット、本、ひとー変化していく星の風景のように、わたしたちもまた新しい形でつどい、見たことのない星座を大地に作るのかもしれない。不安でも、探りながら前に進んでいくしかないのだ。

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