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絵や本がつないでくれるもの

塩尻市立図書館で、今日1/28から個展が始まった。当初は搬入へ行く予定で松本の旅館も予約していたのだけど、緊急事態宣言が出て断念。代わりにZoomでの設営を提案していただき、初めてのオンライン設営となった。

塩尻市立図書館は明るくてきぱきとしている方が多い。打ち合わせのために初めて塩尻市立図書館へ行ったときに、開放的で明るい建物のつくりがとても印象的だったのだけど、その場の空気は建物だけでなくそこで働くひとたちの心のありようも大きく影響しているように思えた。

館長さんに館内を案内してもらいながら棚を見ていると、本とひとの接点をどう作るかを真剣に考え、取り組んでいるのがよくわかった。ひとの集ううつくしい場所は、ただそのままでうつくしいわけではないのだ、と思う。

思いがけずそんな場所で個展ができることを幸運だと思う。そもそもお声がけいただいた北林さんとは、二子玉川の本屋博で『Letters』という冊子を手に取っていただいたことから知り合った。本が結んでくれた縁で図書館で個展をするなら、会場のすばらしいところをお借りして共存するような展示にしたい。そう思って、わたしなりのアプローチで本との接点を作ることができれば、と考えて展示を準備してきた。

前にセレンディピティについて書いたことがある。

これを書いたときは、ひととのかかわりや移動のなかにあるセレンディピティについて書いていたけれど、展示で出会うものや、展示が行われている環境で出会うもののなかにもたくさんのセレンディピティが生まれる可能性がある。

わたしの役割は、個展として作品をしっかり見せていくなかで、偶然の出会いーセレンディピティをいかに取り入れていくかを考えることにある。土のなかにあるのは「土」だけでなく、昆虫も、微生物も、花の種も、枯れた葉も石ころもある。そんなふうに有機的なもののなかにこそ思いがけない出会いはある。

絵の展示は基本的に静的なものだ。その静けさが居心地のわるさを感じさせることもある。ただ、作品をどう配置するか、どう風を通すかで、個展を見るという体験はずいぶん変わる。今回はわたしも在廊できるかわからない分、展示している作品たちが土に風を通し、耕してくれていると信じる。

館長さんをはじめとしたたくさんの方に手伝っていただきながら設営は終わった。始まってしまったらあとはもう、来てくださった方と作品がどう関わることができるか、それだけ。

「家で読むのにおすすめの本」もたくさん寄せていただいて、無事に掲示することができた。ここが一番つよく風の吹く場所だと思っている。

とてもむずかしい時期ではあるけれど、もし状況が許せば見届けていただきたい、と思う。届けてから初めてそこで何かが起きる可能性が生まれるのだから。

よかったら、お越しください。

柊有花個展「本と、絵のある暮らし」
塩尻市立図書館
1月28日〜2月23日
開館日・開館時間は塩尻市立図書館のホームページをご確認ください。
https://www.library-shiojiri.jp/

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