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珍事件on the road③ ポーランドで人生初めての職務質問

箱入り娘のYUKAです。

これまでの旅行で忘れることのできない珍事件のストーリーをお届け。
今回はポーランドのクラクフ編。

ポーランド最終日

チェコ共和国での滞在中に、5日間だけポーランドのクラクフに行ってきた。
目的はヴィエリチカ岩塩坑を見るため。
短い滞在だったけど、目的も果たせ、美味しいものも食べれたし、今日はチェコに戻るため4時間半のバスの旅。
バスターミナルはクラクフ中央駅のすぐ近くにあり、この日は雨がかなり激しく降る予報だったので、天気が悪くなる前にホテルを早めに出発し、駅に併設する巨大ショッピングモールでバス時刻まで時間を潰すことにした。
本当に巨大なモールで、かなりの数のいろんな種類の店舗が入っており、レストランやフードコートもあり、時間潰しには全く困らない。
カフェで休憩した後、モール内を見てまわろうと思い、まずはトイレに向かった。

「警察です」

トイレから出て、歩き出してすぐに女性2人組が私の行く手を阻むように現れた。

「ちょっといいですか、観光客ですか?」

そう言ってブロンドベリーショートの女性がニコニコ顔で話しかけてきた。もう1人の黒髪ロングの女性もニコニコ顔で私の横にぴったり立っている。
自分は観光客だと伝えると、ブロンド女性がこう言ってきた。

「我々は警察官です。」

私はこの瞬間、思った。
うわー!ヤバい!ついにきた…私服警官なりすまし詐欺!!

ヨーロッパでは、私服警官だと名乗る人物が偽の警察バッジを見せ、本物の警察だと観光客に思い込ませ、本人確認するとか偽札チェックしてるとか言って、財布を出すよう強要して隙を見てクレジットカードをスキミングしたり、現金を抜き取る詐欺があったりする。

女性2人は40代くらい。私服。ブロンド女性がポケットから警察バッジを出して、私に見せてきた。確かに顔写真も付いた身分証もある。
いやいやいや、そんなの見せられたってあなたたちを本物か偽物か見分けることはできないよ…。

「パスポートを見せてください。」

この時点では、2人が本物の警察官なのか分からなかったが、拒否する理由も思いつかず、渋々パスポートを渡す…。黒髪女性が肩からさげているタブレットのような機械でパスポートをスキャンしようとした。
怪しい…
パスポートをスキャンしたら私の個人情報は漏れる危険性はないのか、少し殺気だって彼女を問い詰めた。

「大丈夫ですよ、だって私たち警察官ですから!」

そう明るい口調でブロンド女性が答え、再度警察バッジを見せてきた。
怪しい…
黒髪女性は私のパスポートがうまくスキャンできず、苦戦している。

「あれ?システムトラブルみたい。」

怪しい…!
黒髪女性が機械と格闘している間、ブロンド女性は質問攻め。

「どこから来たんですか?日本?1人で?そっちのコロナ感染状況は?」

というか、何のために観光客をこうしてチェックしてるのか彼女に尋ねた。

本物?

「ご存じの通り、今はロシアがウクライナに侵攻していますよね。隣国であるポーランドは、ウクライナからの避難民のために国境を開けていますが、ベラルーシとの国境は開いていません。それなのにウクライナからの避難民にまぎれて、ベラルーシからの不法入国者が急増していて、それを取り締まるためにこうしてランダムに声をかけてチェックしています。」

あれ…?もしかして本物の警察官の方…?
黒髪女性からパスポートを返却され、その後は彼女も加わって3人でしばし談笑。
疑い深い私は再度、パスポートの情報は漏洩しないか確認すると、警察内のシステムのみで管理されるとのこと。まあ、そう言うのであれば信じるしかない…。
そして、2人に見送られて、私はその場を後にした。

張り込み捜査

なんとかその場を乗り切ったけど、正直、怖かったし若干パニくってはいた私。モール内を少し進んだところで、落ち着くためにも立ち止まり休憩するとともに、先程の私服警官2人組みが他の観光客にも声をかけたりするのか、まだ本物か疑っている私は彼女たちの行動をチェックするべく、そこにあった柱に身を隠し、私は張り込み捜査を開始。
張り込み中に私服警官たちは1人の男性に声をかけていた。
私はスマホでパスポート情報が漏洩した場合の対処法、私服警官詐欺事例などを調べながら、しばらくして私服警官たちの方を見ると、もう彼女たちの姿はそこにはなかった。職質場所を変えたのだろうか。

本物だった…

なんとか気持ちも落ち着き、そこで私はふと気が付いた。
そう言えば、あの警察官2人組み、最後まで「財布を見せて」とはひと言も言わなかった。ということは、本物の警察官で私は単に不法入国を怪しまれて職質されたってこと?!
なんだかホッとしたと同時に複雑な気持ちにもなった。
今回は42日の長旅中だったため、6kg程のバックパックを背負い、23kg程のバックパックキャリーも引っ張っており、結構な荷物だったからか、疑われてしまったのだろうか。

今回は詐欺ではなかったけど、これが本物の詐欺だったらちゃんと対処できていたのか不安にもなった。しっかりした心構え、対処法を持って旅にでなくてはいけないと再確認した珍事件だった。

【私服警官詐欺に遭遇したら】

実際に旅行中に私服警官詐欺に遭遇したら、どうしたら良いのか…。
在ポーランド日本国大使館のウェブサイトに、ポーランド国内での犯行事例や対処法などが記載されている。以下リンク先。

警察官を装った詐欺にご注意

これはポーランドに限らず、どこの国や地域に旅行する際も基礎知識として知っておくと、心強いと思う。

【パスポート情報が漏洩したら】

日本のパスポートには偽造防止のためにICチップが内蔵されているため、もしパスポート情報が漏洩した場合でも、偽造される可能性は高くないと思われる。
ICチップに記録されている個人情報も、国籍、氏名、生年月日などの身分事項と顔写真の情報のみで、出入国記録や海外渡航歴などの情報は記録さていないとのこと。以下、外務省のウェブサイト参照。

外務省パスポートQ&A

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