「なぜ、内省(振り返り)をする必要があるのか」を考えてみた。

私は、現在立教大学大学院リーダーシップ開発コース(通称:LDC)に通っていて、修士2年生です。

LDCの一つの特徴でもあるのですが、とにかく「振り返り」をめちゃくちゃします。授業後、振り返りを書く。チームワーク後、振り返りを書く。先生との面談終了後、振り返りを書く。

振り返りをとにかくこれでもか、というくらいします。

今回は、そんな振り返りをなぜするのか、ということと、良い振り返りとは何なのか、ということを自分なりに考えてまとめてみようと思います。



内省(振り返り)をするのはなぜ?


振り返りは、個人やチームのより良い未来の行動に繋げていくために重要な働きをしているのではと思っています。振り返りをすることで、自分の行動や考え方の傾向を自覚し、自分自身の強みや大事にしている価値観への気づきを得ることができ、自己認識が高まります。

自己認識が高まると、自分の感情やそれが仕事に与える影響を、正確かつ率直に言葉にすることができるといわれています。(2004,Daniel)

言葉にすることで、自分の行動がどのような影響を与えているかを周囲に説明できるため、具体的な行動の改善を図ることができるのです。

”良い”振り返りとは?

 
では、”良い”振り返りとは何でしょうか。私が考える”良い”振り返りは、「事実と解釈を分けること」「応用可能な教訓を抽出すること」「振り返る目的を明確にすること」の三つです。

自分がその場を振り返るときに何が起こっていたのか、自分は何を考え、何を感じていたのかをメタに見つめ、事実と解釈を分けることで、自分の行動の改善ポイントが明らかになります。

その上で、他の場面に応用可能な教訓を抽出することで、次の具体的な行動へと繋がっていきます。

そして、最後に振り返る目的を「未来の行動をより良くするためのもの」などと明確にすることで、目標の達成を促進することにも繋がります。

”良い”振り返りの場とそうでない場の違い


 私が経験した”良い”振り返りの場を思い返すと、目的を明確にした上で振り返りを行っていました。実際に大学院のチームメンバーとの振り返りは、目的を「良かった点と改善点を可視化し次のミーティングに活かすこと」とし、全員で目的を確認してから振り返りを行っていました。

また、振り返る前に場のグランドルールも設定しました。例えば、「違和感は持ち帰らない」「反対意見は言うが、否定はしない」「必ず全員が発言する」など、お互いに率直に意見を言い合える環境の設定を心がけました。

そんな中での振り返りだったため、お互いに耳の痛いことを言い合う場面も見られましたが、感情的になることもなく、「次のミーティングに活かすためには必要なこと」だと全員が理解した上で意見を出し合い、受け止め合えていました。加えて、良かった点と改善点、どちらも同じくらいの量を出し合うことも意識していました。

一方で、"悪い"振り返りの場では、振り返りの目的が明確ではなく参加者全員がなんのために振り返るのかがわかっていないが故に、ただの雑談になってしまうことが多かったです。

また、過去の出来事を感情的に見て、自分や誰かを責めたり、問題点を探したりと、客観的に振り返りをすることができず、嫌な気持ちになるだけで、次の行動に繋がらなかったこともありました。

このように、良い振り返りの場とそうでない場は、振り返りの目的を明確に共有しあっているか、メンバー同士が率直に思っていることをフィードバックしあえる環境を整えていたか、その結果次の行動にまで繋がったかどうか、が大きな違いだったと思います。

"良い"フィードバックを相互にしあうために必要なこと

振り返りには個人単位とチーム単位があると思いますが、チーム単位で見た時に、お互いに良いフィードバックをしあえるかどうか、も振り返りの質に大きく影響してくると思います。

最後に、私が"良い"フィードバックを相互にしあうために大切だと思うことを3つまとめて締めくくろうと思います。

1つは、フィードバックに対する姿勢です。スタンフォード大学経営大学院の講師も務めるエド・バティスタは、「人の成長に欠かせないフィードバックは、効果的に提供するスキルだけでなく、受け止めるスキルも大事だ」と述べています。

フィードバックをする側に関していうと、フィードバックは時に改善点も伝える必要があるため、相手の立場に立った言葉選びや表現などを意識し、相手を尊重する姿勢を常に忘れないことが大切だと思います。

フィードバックを受け取る側に関していうと、フィードバックをしてくれた相手への感謝を忘れず、自身の成長の機会と捉え、次に活かそうとする姿勢が大切だと思います。

2つ目は、フィードバック内容が具体的で明確であることです。状況、行動、結果(SBI型)に分けて具体的な好事例や改善例を示すことで、相手がより具体的にフィードバック内容を把握できるようになり、次の改善行動に繋げやすくなると思います。

3つ目は、フィードバックをするタイミングです。もしフィードバックのタイミングが適切でなければ、相手も受け止めることが難しかったり、相手を傷つけてしまい、関係性が悪化してしまうことにもなりかねません。

相手がフィードバックを受け止めることのできるタイミングなのかを対話しながら確認したり、相手がフィードバックを受け止める準備ができていない時には延期できる自由を確保するなど、相手が受け止めやすくなる環境を意識して整えることも重要だと思います。

以上が、振り返りをする理由と、"良い"振り返りの場の考察です。残り1年の大学院生活、質の高い振り返りを日々できるように、意識していきたいと思います。

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