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<小旅行記>朝散歩 潮見-新木場-夢の島公園-辰巳公園

 大酒まではいかないが、連日飲酒しているとやはり身体が重く感じる。そのため、いつもは人出が多いので土日は避けているのだが、11月のある日曜の朝、いつもの辰巳公園ではなく、潮見から新木場を経由して夢の島公園まで散歩することにした(歩数は1万歩ちょっとだった)。

 日曜とはいえ、朝なので通勤する人の姿がちらほら見える。仕事もしないで散歩している我が身が情けなく感じるのはこういう時だ。途中、「あのコンビニの先が、安い立ち食い蕎麦屋の大村だよな、そのうちに行こう!」と思っていると、目の前にキリスト教会があった。

「ああ、今日は日曜だから礼拝に皆来るのだろう。・・・そうだ、今度ミサに参加してみようかな?もしかすると、神父と聖書談義できるかも知れない」と思っていたら、その先に突然立派なキリスト像が見えた。

日本カトリック会館

 そこは、「日本カトリック会館 日本カトリック中央協議会」という場所で、どうやら日本のカトリック関係者の集会場所らしい。ローマで言えば教皇庁のようなものか?それなら、聖書談義をするのであれば、こちらの方がより適切だろう。そうだ、今度「頼もう!」と言いながら、「道場破り」に行きたいなと勝手に妄想した。

 ところでテーマは、「ヨブはなぜ神から試練を与えられたか」だな。あと、「旧約と新約では、神の概念が異なるのか」も議論したい。でも、「異端者」として火あぶりにならないように注意しなければ・・・。

 こうした私にとっての「極上な時間」を想像しながら歩いていると、まもなく潮見駅前交差点に着いた。見回すと、そのすぐ近くに回転寿司屋がある。ちょっと小奇麗な作りので、寿司好きの妻に聞いたら、既に試食済みとのこと。感想は「普通」とのことだった。私が近くまで来たのは、朝の10時頃だったが、ちょうど開店準備をしているらしく、灯りが煌煌とついているのが見えた。この辺は、近くに外国人客が沢山泊まるホテルもあり、けっこう繁盛していそうだ。

開店準備中の回転寿司屋

 潮見駅に着いた。駅前のホテルからスーツケースを転がした外国人観光客多数が、次々と駅舎に吸い込まれていく。その中に通勤客らしい老人を見たが、なぜか私同様に駅の風景に馴染んでいない。ここは日本なのか?どこか、海外の都会の片隅の駅のような雰囲気がある。

 駅のホームは、いかにも「新しく作りました」という印象で、ホームから見える周囲の風景にも、どこか生活感が薄い。そして、日曜だからだろうか、通過する電車が多い。乗降客が少ないためだろうが、通過する電車を眺めていると、なぜか自分だけが無視されているような感じになる。

潮見駅ホーム

 20分程待った後、やっと電車が停まった。外国人旅行者とともに、次の新木場に向かった。車内はディズニーランドに行く外国人観光客や日本人の家族客などで混んでいる。電車が東京発で来ているせいか、外国人観光客の姿が多い。ディズニーランド観光よりも、これから成田に向かう方が多いのかもしれない。

 潮見から新木場まではすぐに着くのだが、車窓風景がいつも散歩している辰巳公園から高架線を眺めているのとは逆の視線となるので、意外と新鮮に映る。そこには、倉庫と空き地とマンションが見え、その中にヨットハーバーと大きな公園がある。公園にある夢の島競技場では、何か大会をやっているようで、アナウンスする声が車内にまで聞こえている。

 JR新木場駅に着く。実は、以前新木場で乗り換えたときに気になっていた立ち食い蕎麦屋があったので、そこに入ってみた。「いろり庵きらく」という店だが、まだランチタイム前でもあり、先客は2人だけだった。券売機で天ぷら蕎麦の食券を買って入る。ほどなくして蕎麦は出てきたが、なにか小ぶりな感じがした。物価高騰の影響だろうか。ただ、ネギが別皿でたっぷりと出てくるのは、ネギ好きの私としては嬉しかった。

天ぷら蕎麦

 一旦、蕎麦を立ち喰い席で撮影してから、せっかくだからと思い、空いている椅子席で食べた。汁は甘口でまあまあだが、麺は柔らかくて歯応えがない。茹ですぎか、またはもともとこういう麺なのだろう。また麺自体の味も薄い。そしてかき揚げは、油っぽいだけで素材の旨味が少ない。どうも私の好みではない店のようだ。こういう感想は、ゆで太郎豊洲店に入ったときもそうだった。新木場なら、有楽町線の「メトロ庵」の方が、私の好みに合っていると思った。今度チャンスがあったら、メトロ庵にまた行こう。

 新木場のちょっと怖い感じがする(まるで、柱の陰から変質者が出てきそうだ?)ガード下をくぐってから、夢の島公園に向かう。その途中、以前入ったことのあるカレーうどんの店を横目で眺める。「今度来る機会があれば、ここでカレーうどんを食べよう!」と考える。「今度来る店」が沢山増えていく。ところで、カレーと蕎麦またはうどんを別々に食べるのも良いが、一緒に食べるのも同じくらいに良いものだ。特にカレーうどんは、カレーパンと並ぶ日本人の偉大な発明ではないか?

 私が、以前夢の島公園に来たときは、ちょうど東京オリンピックの前年(2020年初夏)だったので、あちこちで工事中のフェンスが沢山あって物々しかった。とりわけ、その中にあった「アーチェリー会場建設場所」というのが強く印象に残っていた。おそらくオリンピックが終わった後は、すぐに取り壊したのかと想像していたが、ちゃんと残されていたのが意外だった。

 アーチェリー会場では、ちょうど大きな大会が行われていて、会場周辺は選手の邪魔になることと危険なためもあり立ち入り禁止になっていた(そもそも、建設時のようなフェンスがないのは、不思議な気がした。その気になれば、猫でも入れてしまう)。私は、「もし的を大きく外したら、歩行者に刺さったりするな?」と心配していたが、選手レベルならさすがに的の外にまで射ることはないだろう。警備員に規制されない距離で遠巻きに眺めていたら、「シュッ」と空気を裂く音が次々と聞こえた。弓矢はやはり武器なんだと、改めて感じた。もちろん、的の外に飛ぶ矢は一本もない。

アーチェリー大会

 それから私は、熱帯植物園の方に向かい、何かイベントがやっていないかと確認したが、何もなかったので来た道を戻ることにした。道の右側は、ヨットハーバーがありその近くはうっそうとした林になっている。朝だからだろうか、鳥たちの声がとても賑やかだ。林の中に設置された散歩用の小道を通って、森林浴をしてみた。鳥の声と併せて、今回の散歩でもっとも心地よかった時間と場所になった。

夢の島公園

 林を通り抜けた後、アメリカのビキニ環礁水爆実験で被爆した木造マグロ漁船第五福竜丸を展示しているところにある自販機で、ちょうど喉が渇いていたのでブラックコーヒーを買って飲んだ。ジョギングする人や犬を散歩させる人の姿が多い。さすがに外国人観光客は少ない。第五福竜丸の展示は是非見てもらいたいけど、他にここにあるものは緑だけだから、この場所を楽しめるのは日本人だけかも知れない。

 大通りにかかる陸橋を渡って、陸上競技場に向かう。スカイツリーが雲で霞んでいるのが見える。スカイツリーをもっとも遠くで見えるのは、どの辺りだろう?千葉では船橋近辺でもちゃんと見えていたので、埼玉や神奈川でも見えるだろう。山梨はさすがに無理だろうが。

陸橋からのスカイツリー

 競技場では、ちょうど中学生の競技大会をやっていた。心配性の私は、競技場の外にブルーシートを敷いて沢山の荷物を置いている光景にちょっと不安になった。これが海外なら、確実に置き引きされる「持って行ってください」というべき情景だからだ。それが、競技場のあちらこちらに、見張り番もおかずに放置されているように見える。

 日本は平和で安全だということが、こうしたことで良くわかる。「まさか、泥棒はいないよな?」と思いながら、私は競技場を通り過ぎた。競技場の中からは、選手を応援する黄色い声がたくさん聞こえてくる。こういう時は、声変わりした男子の声は、絶対に女子に勝てない。もし男子の太い声を聞いたら、逆に委縮してしまうだろうから、やはり女子の黄色い声こそが声援に良いのだ、と納得した。

 競技場を通り過ぎた後、木々が生い茂る道を歩いて辰巳公園に向かった。途中の林の中の小山に手頃なベンチがあったので、ここで瞑想することにした。高速道路の音がうるさいが、競技場のアナウンスや歓声に混じって、鳥の声がよく聞こえている。私は、鳥の声に集中しようとしているうちに、ふと気になる考えが浮かんできたので、そこで瞑想を止めた。忘れないように、バックから紙を出してメモをする。

辰巳公園

 水門が見える橋を渡って、いつもの辰巳公園にこの日は反対側から入った。スカーフを被った修道女らしい老女がベンチに座っている。たぶん潮見の教会から散歩に来たのだろう。私のいつもの散歩とは逆のコースになるが、考えて見れば、私の人生は修道女とは逆のコースだったと思う。もちろん、私の方はずっと神から遠いところで彷徨っているのだが。

 いつもの散歩で慣れた公園を歩いていて、ちょうど人通りがいなくなったチャンスがあったので、私の干支であるイノシシの像を写した。ちょっと良い感じに撮れている。そしていつものように、「公園の主」である桜の木にご挨拶する。「ありがとうございます。これからも宜しくお願いします」とだけ私は言っている。けっして「大金持ちにしてください!」とか「宝くじに当たりますように」などとは言わない。

イノシシの像
辰巳公園の女神

 辰巳公園の正門入口付近に、3人の有閑マダムが同じ大きさの柴犬を連れて散歩に来ている。案内板を見ながら、公園の品評をしているようだ。犬の散歩は犬が主役だと思うのだが、私が見たその散歩姿は、有閑マダムたちが自分たちを飾る服飾と同じモノとして、柴犬を散歩させているように見えた。つまり犬の散歩ではなく、犬を装飾品に利用した示威行動(見せびらかせ、犬ならぬキャットウォーク)なのだ。「パチ、パチ、パチ」、私は聞こえない拍手を有閑マダムたちに送った。「ブラボー!その無駄金をもっと世の中に回してくれ!」

 11時30分頃にマンションに戻った。予定通りだ。駐車場に向かう家族連れが多く見える。なんといっても今日は日曜なのだ。そして、曇りがちだが良い天気で、動くと汗ばむくらいに暖かい。「じゃあ、ドライブでもするか?」だろうか。・・・そうだ、今日は早稲田が帝京に粉砕され、明治が慶應を一蹴するラグビーを見る日だった。TVに向かおう。・・・と勇躍TVに向かったが、早稲田が帝京に競り負ける予想外の健闘をし、明治は慶應に大勝したが、後半のスコアで負ける内容。学生ラグビーは難しい。


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