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<ラグビー>スーパーラグビーパシフィック5月13日、14日、15日のそれぞれの結果から

 リーグワンは、5月21、22日にプレーオフ準決勝、28,29日に三位決定戦及び決勝戦が予定されているため、今週はお休み。スーパーラグビーパシフィックだけを掲載します。

 11日に朗報が。女子日本代表が女子オーストラリア代表に接戦の末、歴史的な勝利を挙げた。これは、1989年に、日本代表がブリティッシュアンドアイリッシュライオンズ抜きとはいえ、スコットランド代表に初勝利したことに匹敵する、輝かしい世界中が驚愕するような勝利だ。そして、いくらマイナー競技とは言っても、もっと日本のメディアは積極的に報道して、その栄誉を称えるべきだと思う。

 それから、WRが次回と次々回WCの開催地を決めた。2025年女子大会は伝統国のイングランドで開催されるが、2027年男子大会と2029年女子大会をオーストラリアが、2031年男子大会と2033年女子大会はアメリカで初めて開催されることになった。

 2019年男子日本大会が、2015年イングランド大会と抱き合わせで決まったように、最近のWRとしては、未知のアメリカで開催することと抱き合わせてオーストラリア開催を決め、安定した運営を目指していると思われる。また、以前開催したセブンズのロシア大会はさんざんたる大失敗だったが、アメリカはプロスポーツが盛んなので、二億人の人口という経済的基盤からも高収益が期待できる。

 一方、NZとしては、自国開催までの経済力がない現状からすれば、隣国オーストラリアで開催されることで、数試合でもNZで開催させてもらえれば経済的に満足できるのではないか。さらに、遠い北半球への遠征に比べれば、オーストラリアへはスーパーラグビーで遠征し馴れている上に時差が少ないので、優勝の可能性が増すメリットがかなりあると思う。

1.スーパーラグビーパシフィック

5月13日

ハイランダーズ61-10フォース

 ハイランダーズはなんとてしても勝ちたい。また十分に勝てる相手。

 ハイランダーズは、SOに若手のサム・グルバードを起用したが、期待に応えて良いアタックを見せた。また、NO.8マリノ・ミカエレツウがオールブラックス入りをアピールする、鋭いサイドアタックでトライを重ね、絶好調だ。一方、交代SHファラウ・ファカタヴァは、引き続き良いプレーを見せて、特に鋭いバックフリップパスからトライをアシストするなど、この日はまさにハイランダーズデーとなった。今シーズンで退任が決まっているトニー・ブラウン監督としても、満足できる内容だったのではないか。

 ところで、あいかわらず頭部に肩が当たるプレーに対するレフェリングが、少し厳しすぎるように思うが、この日はレッドカードとせずシンビンに止めたのは、一歩前進ではないかと思う。

ブランビーズ26-37クルセイダーズ

 ここは、クルセイダーズとしてはNZ勢の意地の見せどころ。また、メンバー的にミニテストマッチの雰囲気もある。

 前半のブランビーズは、やることなすことボロボロで、しかもSOノア・ロレシオに変わるSOの役割を果たす選手がいない層の薄さが露見した。そのため、SHニック・ホワイトがキックオフとゴールキックを蹴り、タッチキックはFBトム・バンクスが蹴るなどして苦心の分業をしたが、いずれも上手くいかなかった。さらに、FWのセットプレー、モールも劣勢な上に、ブレイクダウンでも後手になっていては、勝ち目はどうやってもない。

 そうした相手のスキを面白いように突いたクルセイダーズが、前半を5-23とリードして早々に勝負を決めてしまった。しかし、その反動か、後半は軽いプレーが多くなり、後半だけの得点では21-14と1トライ差を付けられたが、それでも堅いディフェンスで逃げ切った。

 プレーオフで両者が再戦することは必須と思うが、この日の勝利で、おそらくクルセイダーズがホームでプレーする権利を得られたと思うので、想定通りクルセイダーズ有利と思う。

 個々のクルセイダーズの選手では、HOコーディ・テイラー、4番LOスコット・バレット、6番FLパブロ・マテーラ、7番FLイーサン・ブラカッダー、12番CTBデイヴィット・ハヴィリ、14番WTBセヴ・リース(50キャップ達成)、FBウィル・ジョーダン(最後のインターセプトからトライされたパスはいただけなかったが、良い経験になっただろう)が、それぞれ良いプレーをしていた。

5月14日

フィジードルア34-19モアラパシフィカ

 なんか、もうラグビーを愉しむためにあるような対戦。間違ってもモールのトライなんて狙わないで欲しい。

 モアラがモールからのトライを取ったのと、スローフォワードで幻になったトライがあったほかは、スーパーラグビーらしい良いゲームだったと思う。そして、実力ではドルアが上だった。この調子だと、フィジー代表でも良いプレーが見られそうだ。

ブルーズ53-26レッズ

 ブルーズは、気持ちよくレッズを一蹴したい。

 期待通りにブルーズがレッズを一蹴。昨日のクルセイダーズが完勝したゲームで、後半ブランビーズが、勝負が決まった後にトライしたことで、試合が拮抗したと書いた人がいるが、これは間違い。勝負が決まった後のトライは、決まる前のトライのような価値はない。このブルーズが圧勝したゲームでも、レッズは勝負が決まった後にトライをしているが、まさに「慰めのトライ」でしかない。

 またこのゲームで、ブルーズはクルセイダーズより実力が上であることを証明したし、来週のブランビーズ戦が大いに楽しみになってきた。特に、SOボーデン・バレット、12番CTBロジャー・ツイヴァサシェク、FBスティーヴン・ペロフェタのラインは、かなり強力で、簡単に止められない。また、ペロフェタは、是非オールブラックスに入れるべきレベルになってきたと思う。彼と、クルセイダーズWTBレスター・ファインガアヌクの2人は、今シーズンのオールブラックスの注目選手になりそうだ。

ワラターズ18-22ハリケーンズ

 ハリケーンズには十分に勝てる相手だが、ちょっとした油断が致命傷になる可能性があるので、要注意。

 ハリケーンズは、前半を15-0とリードされ、後半盛り返したものの接戦となった。しかしアームレッスルを繰り返した最後に、ハリケーンズが相撲で言えばうっちゃったというようなゲーム。これでハリケーンズのプレーオフでの活躍が楽しみになってきたし、前週クルセイダーズに勝って舞い上がっていたワラターズは、逆にプレーオフで対戦するNZ勢が心配になってきたと思う。

 12番CTBに入ったジョルディ・バレットは、良いオフロードパスでトライをアシストしたが、ゴールキックが万全とは言えなかった。やはり彼はFBの方が良いのかも知れない。また、力強い勝ち越しのトライを取ったNO.8アーディ・サヴェアは、さすがオールブラックスという活躍だった。

5月15日

レベルズ30-33チーフス

 前週は、ブランビーズの土俵に乗ってしまい、結果的に力を十分出せずにやられてしまったチーフスだが、レベルズ相手ならアタック力を十分に発揮してくれるだろう。

 チーフスは、SOジョシュ・イオアネが2つのパスミス(一つはインターセプトされ、残りは落ちたボールを拾われる)で14点を献上したものの、アタックでは自らのラインブレイクを筆頭に良く貢献して、差し引きゼロにしたという感じ。しかし、パスミスがなければチーフスは楽勝していたと思う。
 
 チーフスは、拮抗したスコアの中、残り10分の時間帯で相次いでシンビンを出し、さらに30-26とリードされて万事休すと思われたが、79分に若いPRオリー・ノリスが、力強いアタックで逆転トライを決めて劇的な勝利となった。また、HOサミソニ・タウケイアホのアタックの強さは、オールブラックスでもかなり活躍できると思う。

 これで、プレーオフに向けて、NZのブルーズ、クルセイダーズ、チーフス、ハリケーンズ、ハイランダーズの5チームがベスト8に入った。しかも、ブルーズ、クルセイダーズ、チーフスはベスト4に入っているので、準々決勝はホーム開催となる。まだ2試合残っているので予断できないが、今年もNZチームの優勢は動かないようだ。

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