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<閑話休題>ペペロンチーノとかけそば

 日本では、一般的にヨーロッパ料理は高級とされており、イタリアンもそのひとつとなっている。そしてイタリアンには、ペペロンチーノという、パスタにニンニクと鷹の爪(赤トウガラシ)を入れて、オリーブオイルで炒めたものがメニューにあり、日本では結構なお値段がする。しかし、イタリアで食事したことがある人ならすぐにわかるように、ペペロンチーノの食材はイタリアではとても安価なものばかりであり、実はかなり庶民的な食べ物だ。そのため、高級レストランで出すメニューには通常ない。

 これを日本で例えれば、高級料亭でかけそばやもりそばが出てこないのと同じで、かけそばやもりそばは、敷居の低い街中にある蕎麦屋や駅近くの立ち食い蕎麦屋で、庶民が日常的に食べるものであり、少なくとも高価なスーツやドレスを着て肩ひじを張って食べるメニューではない。

 一方、ヨーロッパでは街路樹にオリーブが見られるように、オリーブオイルというのは、日本の調理油同様に手頃な価格の食材だが、日本ではなぜか高級食材になっているので、これをふんだんに使うペペロンチーノが高くなるのは、日本では仕方ないとも言える。

 それでも、例えば海外の高級和食レストランで、かけそばやもりそばがメニューにあって、しかもそれが、鉄火丼やうなぎ丼と同じくらいの値段であったら、日本人はちょっと驚くと思う。それと同じことが日本のイタリアンにもあるわけで、一度日本観光をしているイタリア人にペペロンチーノの値段について聞いてみたいと思っている。

 ところで、実はパスタではペペロンチーノが一番好きな私は、高いレストランで食べずに自分で安く作って食べているのだが、オリーブオイルが高いことに加えて体調面を考えて油の使用を控えているので、ちょっと変な和風パスタになっている。先日も、ちょうどソース焼きそばの調味ソースが残っていたので、まずキャベツ・玉ねぎ・ニンニク・鷹の爪を少しのオリーブオイルで炒めた後、安いパスタを塩茹でし、このソースと一緒に絡めた。もちろん、ゆで汁を入れる「乳化」は忘れずにしているので、アルデンテのパスタは安価なものでも歯ごたえは良かった。そして、肝心の焼きそばソースとの相性だが、油を入れていないので味のインパクトには欠けたが、まあまあ普通に食べられた。もし、強い味のインパクトが欲しければ、脂身の多いベーコンを入れるか、ラードで炒めたら良いだろう。

 なお、パスタはアルデンテが最上だと思うが、よく知られているようにアメリカ人のパスタは茹ですぎのふにゃふにゃだ。日本でも、伊勢うどんはふにゃふにゃの麺だが、蕎麦もうどんも、私はアルデンテが一番だと思っている。先ほど言及した日本観光のイタリア人に、ペペロンチーノだけでなく、伊勢うどんの感想をも聞いてみたい。もしかすると、彼らは伊勢うどんをパスタと同じ麺類と思わなければ(実際、見た目は麺よりも長い麩のようだから)、喜んで食べるかもしれないが。

 ところで、私の蕎麦(もりそば)をアルデンテで作る茹で方は、沸騰するたびに少しずつ水を入れ、3回目の沸騰をしたら火を止めるというものだ。もちろん、麺を投入した後は菜箸で丹念にかき混ぜないと麺がくっついてしまうので、この作業は一番重要だ。また、湯切りする時に蕎麦湯を小さなカップに残しておき、それで麵つゆを割って食べるのも、意外と旨い。また、薬味のネギは青いところを中心に沢山入れている。

<私がアマゾンで販売している、海外生活の経験をまとめたものです。キンドル及び紙バージョンであります。宜しくお願いします。>


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