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<ラグビー>ザ・ラグビーチャンピオンシップ第四週の結果及び秩父宮関連

 どうでもよいけど、ポップコーンを作るのが好きです。作ると言っても、ポップコーンを鍋に入れて火にかけるだけですが、これが意外と面白い。そして、以前住んでいたヨルダンとルーマニアでは、スーパーで普通にポップコーンが売っていて、さらに良質で安価なオリーブオイルがあったので、毎週末にビールのつまみとして作っていた。
 
 そこで、昨日、今日と、ルーマニアから持って帰ったポップコーンとオリーブオイルで作ってみたら、作り立ては良かったものの、時間が経つとあっという間にしけてしまい、美味しさが半減した。つまり、日本の湿度というのは、世界的に見て異様に高いということを改めて理解した次第。

 ところで、ジェイミー・ジョセフ監督が最初の日本代表のスコッドを発表したが、今の時点で特に何かコメントしたいとは思わない。これから、数人の入れ替えがあるだろうし、また23人の試合メンバーが決まると、その時にはいろいろと思うところが出てくると思うから、その時に、またこのnoteにアップしたい。

1.秩父宮ラグビー場の移転・改築問題について(少し長い巻頭言。関心ない方は飛ばしてください。)

 その是非・当悪を廻って、いろいろな意見が出ているが、私としては「昔はよかった」式の感情論は別にして、政治的経済的観点から論理的に思考することが前提になると思う。また一般的に、感情論を論理に持ち込んで正しい結論に辿り着くことはないので、十分に吟味されていない言葉の応酬では、物事は前に進まないと考える。

 この問題について、私は二つの論点があると見ている。(1)屋根付き及び人工芝になること、(2)観客席が約1万人減り、約1万5千人になることの2点から、以下に考察する。

(1)屋根付き及び人工芝になることの是非
 屋外スポーツにおいては、好天の下で行うことを前提にしている。また、芝で行うスポーツの場合は、土ではなく芝が敷き詰められていることを前提にしている。つまり、土の泥田状態は、スポーツを行う前提条件ではない。

 一方、感情論を主張する人たちは、「ラグビーは、荒天であってもやるスポーツ」という命題から、なぜか「ラグビーは、荒天でやることに意義がある」に変換させている。これは、先の「屋外スポーツは好天で行う」という命題に反しているし、好天であるからこそ、プレヤーは良いプレーができ、観客は天候を気にせずに良いプレーを見られる。これが荒天であれば、プレヤーはミスが多くなり、ゲーム全体がスポイルされ、観客は天候を気にしながら観戦する。これではスポーツを楽しむことにはならない。

 また、良いプレーをする前提として、良い芝の状態が挙げられるが、これは人工芝(最近の人工芝はハイブリットと称して、天然芝に近いものが出来ている)にすることで、問題を解決できる。つまり、屋根付きと人工芝という条件は、プレヤーにとっても観客にとっても良い条件となり、また屋外スポーツが想定している条件に合致する。

 だから、「雪の早明戦は素晴らしかった」と昔話をすることは良いとしても、毎試合「雪の早明戦」を行うべき理由はないし、そうした悪条件のゲームを極力避けるのが当然だろう。

(2)観客席が約1万人減り、約1万5千人になること
 ラグビーはマイナースポーツだから、リーグワンがいくら頑張っても、例えば秩父宮で開催する全ての試合に2万人の観客を動員することは難しい。また学生スポーツであれば、せいぜい早慶戦や早明戦、そして大学選手権準決勝以降ぐらいが満員にできる試合となる。なお、満員近い観客が期待できるテストマッチが、ティア1国並みに国内で年間8試合近く開催されるとしても、秩父宮だけで行うことはなく日本全国の会場で開催される。

 次に、秩父宮の観客席数が現状でも大規模な試合に向かないことは、2019年RWCでメイン会場として使用されなかったことから自明である。日本ラグビーの象徴的グランドと声高に主張するのであれば、RWC日本開催時にメイン会場として、開会式・閉会式・開幕戦・決勝を行うべきだが、例えばエリスパーク(南アフリカ)やイーデンパーク(NZ)のように、これらを実施できなかった。理由は、観客席が足りないからだ。

 だから、例え2万席あっても、秩父宮は十分なキャパシティーとは言えない。そして、普通のラグビー試合の場合、現状は大半の試合では1万人以下しか入っていないのだから、座席を減数した影響は少ないと見るのが自然だ。

 一方、早明戦などの大観客が集まる試合は、昔から秩父宮ではなく国立で開催されてきた(国立が改築中のみ秩父宮で臨時に開催)。だから、大観客が見込まれる試合は国立で行えばよい。無理に秩父宮で行う理由は見つからない。

 そして、スタジアムを持続的に運営するための経済面を考慮すれば、ラグビー専用スタジアムとしつつ、他のスポーツにも随時利用させる他、ポピュラー音楽の興行に使用させた収益で採算を見込むことは自然だろう。実際、イングランドのラグビー専用の大スタジアムであり、ラグビー全体の聖地ともいえるトウィッケナムの最大観客記録は、ポピュラー音楽の興行で記録されている一方、イングランドのテストマッチではない。

 だから私としては、秩父宮が屋根付き・人工芝・観客席減になることには、反論できる理由がない決定だと認識せざるを得ない。何よりも、マイナーであるラグビーが持続可能なスポーツとして日本で生き残るためには、こうした経済的戦略を実行する英断も必要だと考える。

(3)なお、経済面だけを考慮すれば、ネーミングライツという考えも浮上するが、私は「秩父宮」という名称は、日本ラグビーのみならず日本全体の威信・名誉・伝統に関わることなので、絶対に変更してはならないと考える。できれば、花園も「秩父宮(近鉄)花園ラグビー場」にして欲しいと願っているくらいだ。

 なぜなら、花園にラグビー場立地を推奨したのは、ほかならぬ大のラグビーファンであった秩父宮殿下なのだから。なお、秩父宮ラグビー場のラグビー以外の諸団体からの利用申し込みに際しては、カルトや反体制政治団体に利用されることを防止するため、事前の入念なファクトチェック(「世界平和」、「民主」、「革命」などのキーワードがある)は必須になる。

2.ワラビーズ8-24スプリングボクス

 
 スプリングボクスのジャック・ニーナバー監督は、前週にワラビーズに大敗した試合から、多くの怪我人を抱えることになった。SOアンドレ・ポラードとエルトン・ヤンチース、CTBルッカンヨ・アーム、FLピータースティフ・デュトイを、それぞれ怪我でメンバー外とした。

 SOには、FBのダミアン・ウィルムゼを上げ、FBにはベテランのウィリー・ルルーを入れた。ファフ・デクラークが不在となったSHは、ジェイデン・ヘンドリクスが先発し、コブス・ライナッハがリザーブに入った。14番WTBには、初キャップの19歳ケイナン・ムーディが先発する。7番FLは、LOのフランコ・モスタートが移動し、NO.8デュアン・ファルミューレンが20番リザーブに下がり、ジャスパー・ウィーゼがNO.8で炎髪する。リザーブの22番には大ベテランのフランス・ステイン、23番にはウォリック・ヘラントがそれぞれ入った。なお、FW1列はローテーションしており、HOの先発はマルコム・マルクス、16番リザーブはデオン・フーリーとなった。

 連勝が期待されるワラビーズのNZ人監督デイヴ・レニーは、リザーブSHをテイト・マクダーモットからジェイク・ゴードンに代えた以外は、前週とまったく変更のないメンバーとしてきた。スプリングボクスに完勝した自信の表れと思われる。

 キャプテン代行となるPRジェイムズ・スリッパ―は、121キャップとなり、アダム・アシュリークーパー及びマイケル・フーパーとキャップ数で並ぶ。怪我人による大きな変更はなく、リザーブは引き続きFW6人+BK2人体制としてきた。

 試合は、前週と打って変わり、スプリングボクスが終始先行した。9分に、PKからの速攻をつないで、12番CTBダミアン・デアレンデがトライ、SOダミアン・ウィルムゼのコンバージョン成功で、0-7とする。また、チームの反則の繰り返しでワラビーズ5番LOマット・フィリップがシンビンとなった。

 これで、スプリングボクスの攻勢は継続しやすくなったものの、両チームともプレー安定せず、得点できない。32分に、ワラビーズSOノア・ロレシオがPGを返したものの、39分には、スプリングボクスの初キャップとなる14番WTBケイナン・ムーディ―が味方のキックをダイレクトでキャッチしてそのままトライ、ウィルムゼのコンバージョンは失敗したが、3-12と前半をスプリングボクスがリードして終えた。

 後半にワラビーズの反撃が期待されたが、調子が出ない一方、スプリングボクスは6番FLフランコ・モスタートが外展開でトライ、ウィルムゼのコンバージョンは外したが、3-17とリードを拡げた。その後は、一進一退が続き、両チームとも決め手がないまま時間が経過する。

 72分、スプリングボクスは、11番WTBマカゾレ・マピンピが外展開でトライを挙げ、22番の交代SOフランス・ステインがコンバージョンを決めて、3-24と試合を決めた。しかし、マピンピが最後にタックルしたワラビーズ11番WTBマリカ・コロイベテに対して、トライ後に相手を侮辱する悪質なプレーをしたため、両チーム入り乱れての乱闘となり、特にスプリングボクス4番LOエベン・エツベスは、かつてのスプリングボクスでも有数の悪役バッキース・ボタを彷彿とさせるような鬼の形相で、ワラビーズ3番PRアラン・アラアラトアの顔に手をかけるなどをしていたが、TMOの結果マピンピがシンビンになる後味の悪いものとなった。

 特にエツベスは、若いころからこうしたラフプレーが常時みられるため、南アフリカ協会としても何らかの処分が必要と思うが、そもそも国内ラグビーを始め、かつてはオールブラックスのコリン・ミーズを骨折させた歴史もある国柄なので、ラフプレー撲滅は難しいかも知れない。

 この後ワラビーズは、数的有利を利して79分に、21番FWピート・サムが外展開でトライ、FBリース・ホッジがコンバージョンを外して、8-24とするのが精一杯だった。また、このトライの際に、スプリングボクスFBウィリー・ルルーが故意のノッコンをして、シンビンとなった。前週の完敗から、また多くの怪我人を抱えながら、スプリングボクスはもともと強力なFW戦を基盤にすることで見事に立ち直ったが、最後にシンビンを続けて出したことは、今後のチームプレーに影響しそうだ。

 ワラビーズは、前週の完勝で自信を得ていた一方、今回は、スプリングボクスが多くの怪我人からベストメンバーを組めないため、ワラビーズの連勝が期待された。しかし、結果的にスプリングボクスとのFW戦で圧倒された末の完敗で、そうした自信は消え去ってしまった。

3.オールブラックス53-3アルゼンチン

 アルゼンチンのオーストラリア人監督マイケル・チェイカは、アルゼンチン有利とみる風評に困惑している。一方、23人のメンバーに大幅な変更はない。

 11番WTBにサンチャゴ・コルデーロが先発し、4番LOグイド・プッティと19番マティアス・アレマンノー及び9番SHトマス・クベーリと21番ゴンザロ・ベルトラノーとで、それぞれローテーションした。また、22番SOのリザーブには、ベンジャミン・ウルダピレタが入っている。

 オールブラックスのイアン・フォスター監督は、前週のアルゼンチンに対するホームゲームで初めて負け、通算2敗目を喫したことで、再び解任の危機となっている。キャプテンのサム・ケーンを筆頭に、選手からは支持されているようだが、今年に入ってからの6戦で2勝4敗という成績は、オールブラックスとしては国と国民の威信を酷く傷つけるものとなっている。これはたかがラグビーではすまない、ショックがNZ国民に生じている状況だ。

 しかし、前週と先発メンバーの変更はない。リザーブのみに変更を加え、16番HOのリザーブにベテランのダン・コールズ、19番LOには顔の怪我から戻ったブロディー・レタリック、20番FLにはサム・ケーンのポジションを脅かす存在のダルトン・パパリイが入った。また、22番SOはボーデン・バレットとなっている。

 試合は、雨天の中、反撃に燃えるオールブラックスの選手が、スプリングボクスに対して戦ったように熱意のあるプレーを80分続けた。試合開始後の3分、SOリッチー・モウンガがPGを入れて、3-0と先制した後、10分には、1番PRイーサン・デグルートがSHアーロン・スミスからのピンポイントパスをゴール前で受けてトライ、モウンガのコンバージョン成功で、10-0とリードした。

 続く19分、今度は13番CTBリエコ・イオアネが大きくゲインした後にパスをつないだ11番WTBケイレブ・クラークがトライ、モウンガのコンバージョン成功で、17-0とリードを拡げる。その後は攻めあぐね、33分にアルゼンチン14番WTBエミリアーノ・ボッフェリにPGを返されて、17-3となったが、35分には、2番HOサミソニ・タウケイアホがインゴールに入る。しかし、TMOの結果3番PRタイレル・ローマックスのノッコンが確認されて、トライは認められなかった。

 一方、一連のプレーで故意のオフサイドをした、アルゼンチン5番LOトマス・ラヴァニーニがシンビンとなる。ラヴァニーニは、試合開始早々のチャンスを自らのミスでつぶしており、今日の試合は厄日となってしまった。

 前半が残り少ない時間帯となった38分、オールブラックスは見事なアタックを継続し、12番CTBデイヴィット・ハヴィリからのお手本のようなパスをゴール前で受けた13番CTBイオアネがトライ、モウンガのコンバージョン成功で、24-3と大きくリードして前半を終えた。

 後半に入り、オールブラックスは、47分にモウンガがPGを入れ、27-3とした後、57分には、18番PRフレッチャー・ニュウウェルが、反則の繰り返しでシンビンとなってしまう。この後アルゼンチンが猛攻を見せ、58分に5番LOラヴァニーニがインゴールに入るが、TMOの結果、オールブラックスSOモウンガがトライを阻止しており、ノートライとなった。オールブラックスは、このプレーに象徴されるように、最後までにディフェンスの執念を見せつけていた。

 61分、優勢にゲームを進めるオールブラックスは、自陣22m内側から、14番WTBウィル・ジョーダンが大きく反対側に移動した後13番CTBイオアネにつないでイオアネが大きくゲイン、さらに21番SHフィンレイ・クリスティー→7番FLサム・ケーンとつないで敵陣に入り、その後の連続ラックから12番CTBハヴィリ→7番FLケーン→FBジョルディ・バレットとつないで、自陣から始まった見事なトライを成立させた。モウンガのコンバージョンも成功し、この時点で34-3として、ほぼ勝負を決めた。

 オールブラックスはさらに攻めまくり、67分に、NO.8アーディ・サヴェアが16番HOダン・コールズのゴール前ラックからの絶妙なパスを取ってトライ、FBバレットのコンバージョン失敗で、39-3とし、さらに74分には、19番LOブロディー・レタリックがゴール前で味方FWのプッシュを得てトライ、J.バレットのコンバージョン成功で、46-3とした。

 そして、80分を経過した後、攻めるアルゼンチンからターンオーバーした後、22番交代SOボーデン・バレットがスクラムからNO.8サヴェアが右サイドを抜けた後をサポートしてトライ、J.バレットのコンバージョン成功と、兄弟で有終の美を飾る得点で、53-3と大勝し、前週のうっ憤を晴らす結果となった。

 個々の選手では、2番HOサミソニ・タウケイアホ、NO.8アーディ・サヴェア、13番CTBリエコ・イオアネの先発陣に加え、交代出場した19番LOブロディ―・レタリックが、さすがの活躍をした。

 スプリングボクスとの対戦に続き、オールブラックスはアルゼンチンとのホームゲームでまさかの1勝1敗の結果となったが、アウェイで強豪のスプリングボクスに勝利したことは評価されるとしても、これまでお得意さんであったアルゼンチンにホームで負けたことは、チーム事情が史上最悪である証拠となっているため、今回の大勝は手放しで評価できるような結果とは思えない。

 一方、今回の結果をオールブラックス本来の実力が発揮された結果であるとみなせば、選手に実力を発揮させられないようなコーチは、無能という判定をされても当然だと思う。また、2020年以降の戦績と内容を見れば、それは一目歴然だ。だから、今回の勝利で、監督イアン・フォスターへの解任要求はボルテージが一時的に下がるかも知れないが、オールブラックスが真の王者として安定した実力を発揮するためには、フォスター解任とスコット・ロバートソン就任が必須であることに変わりはないと思う。

 第四週を終えて、4チームともに2勝2敗と並んだ他、対戦したチーム同士も1勝1敗となる、これまでのザ・ラグビーチャンピオンシップではかなり珍しい接戦となっている。第五週及び第六週は、オールブラックスがワラビーズと、スプリグボクスがアルゼンチンとそれぞれ対戦するが、いずれも勝敗の予想がつかない状況となっている。これは、一強状態だったオールブラックスの弱体化と、一弱状態だったアルゼンチンの実力アップが原因となっているが、北半球チームと南半球チームの力関係が拮抗するようになったことと併せ、勝敗という観点では、WRが目指すグローバル化が進んでいる結果となっている。    

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