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【社会人リケジョの方程式#9】成果量評価と男性育休

"The faster employees work, the higher the company's profit becomes."

「早く仕事すれば会社の利益が上がるよ」

noteばかり書いて(読みすぎ)TOEICの点数が落ちたYuitaです。みなさん、こんにちは。スタサプにこの例文がでてきたのでまたパワポを作りました。

"The faster I work, the higher my company's profit becomes."私がこれを当たり前にできてたと言えるのは20代まででした。ガーーっと働いてどんどん仕事をふられていました。

「早く終わったなんて言ったら更に仕事ふられて残業するだけだから、期限ギリギリまで黙っとこう。」

ある時から私はそうするようになりました。だって割に合わない。ふと周りをみたらみんなちんたら仕事をしているのです。例文にでてくるほど早く仕事をしたほうがいいのは共通認識のはずなのに、ちんたら仕事をしたほうがお得なのです。

この矛盾、成果量評価で働いていたらもうみんな気づいてますよね?

この成果量評価の仕組みがわかるとなぜ男性の長期育休がこんなに浸透しないのかわかります。職場の雰囲気で取らせてくれないとか言ってる人、もともとKYなエンジニアが雰囲気なんて読むわけないじゃない!昇進に響くからです。ここを変えないと5日取るようになってよかったねーで男性育休対策終わりですよ。もしくは、男性育休をとる従業員のマジョリティを昇進が関係ない派遣社員にして、マイノリティの正社員を黙らせて終わりです。

残業代とボーナスのしくみ

私の職場は残業が常態化しているので、残業して成果を普通に出している人「残業さん」を基準に考えてみましょう。

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「残業さん」は月60時間残業で、一日10時間働いています。残業さんの成果量を1とします。成果量1に対し3か月分のボーナスが半年に1回でることにしましょう。

「バリバリさん」は同じく一日10時間働いていて、残業さんより2倍の量仕事をしています。成果量が2なので残業さんの2倍のボーナス6か月分がでます。しかし、2倍頑張っているのに年収は1.3倍にしかなりません。

「ノー残業さん」は全く残業せず、残業さんと同じ量の仕事をしています。成果量は1で、ボーナスは3か月分。しかし、年収は0.7倍で残業さんより低くなります。

実際の評価はもっと複雑ですが、ボーナスが月収よりもものすごく多かったり、年に3,4回でるような会社の人でなければ、(そのような会社の人は割に合わないと思ってないはず)成果量評価は本質的にはこのシンプルなモデルとだいたい同じようなものなのではないでしょうか。弊社も昔は裁量制度で残業時間をフリーにしていたことがあったんですけど、フリーにすると残業が月100時間超えて働かされるようになり余計に労働環境がひどくなったので時給制度に戻りました。

この成果量評価の矛盾により、早く終わっても報告しなかったり、早く帰れるのに会社にいたり、ちんたら仕事をする人が増えます。

あなたはバリバリさん、残業さん、ノー残業さん、どの働き方をしていますか?私の部門は 2:7:1ぐらいですね。

派遣エンジニアの増加

正社員はそうはいっても、会社の利益がボーナスに反映されますし、バリバリさんをしていれば早く昇進してベースの時給がアップしますし、あまりにちんたらしすぎると正社員をリストラされちゃうのも痛い。手を抜くと言ってもギリギリ影響なさそーなとこで抜いてますよね?

私は程よい手抜きはむしろ推奨派で、少し時間ができたから論文を読んでおこうかなぁとか、装置の気になるとこ直しておこうかなぁとか、雑談から生まれるアイデアもあるし、ずっとfasterが最善ではなく、仕事に適度な緩急は必要だとはおもってますよ。

ただ、最近は男女関係なく派遣のエンジニアが増えてきました。部署によっては管理職を除けばほぼ派遣エンジニアのようなところもあります。

数年前、一緒に仕事をしていた同年代の派遣エンジニアに、「もう急ぎの仕事もないし先に帰って大丈夫ですよ。」と声をかけたときに

「いえ、大丈夫です。子供も産まれたから、稼がないといけないので。

と言われたことがあります。そのぽろっと漏れた派遣社員の本音に私は何も言えませんでした。

派遣社員は派遣先からのボーナスはありません。同一労働同一賃金法で同一の仕事ができなくなったので、それでもコンプライアンス違反ではありません、時給の基準は派遣元が決めているので成果の評価をして派遣先が時給をあげることもありません。

彼らにとって稼ぐとは「高時給×長時間」のしごとにつくこと。派遣先の利益は関係ありません。彼はほどなくして高い時給の職に転職しました。

一昔前は派遣は若い人が正社員になる前までの位置づけだったと思います、今は転勤や残業があるよりは派遣がいいと正社員から変わる人もいるほど、もう職場のマイノリティではありません。エンジニアはどの会社も不足しているので派遣をしていても転職に困ることはありません。なので、若い派遣エンジニア女子には「資格をとってどこかの会社の正社員に若いうちになったほうがいいよ」と言ってるんですが、全然響きません。Z世代のチル(まったり)な価値観ともマッチしてますし、悪い情報は隠されますので。

そして補充されるのはまた派遣のエンジニア、他社の経験者と言っても、オリジナル技術ばかりですから、すぐにこの現場の仕事ができるわけではありません、会社のルールも覚えてもらわないといけません、そのたびに時間をとって教育しての繰り返しで、私達ヒラの正社員の仕事は遅れます。派遣社員を使い人件費を減らすことは本当に会社の利益になっているのでしょうか?

まじめにやってる派遣エンジニアもいると思いますよ。しかし、笑顔で「これ終わらせて帰りまーす♪」といってるうちの派遣社員は無駄残業絶対していないとあなたは言い切れますか?

時短と育休は評価が低い

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「残業さん」が標準時間から-2時間の「時短さん」になった場合、働く時間は10時間⇒5時間ですから、成果量は0.5です。

「育休さん」は4~6月まで働いて7月から育休に入るとしましょう、3か月間しか働かないので、成果量は0.5です。

成果量1が標準なので悪い評価がつき、昇進に響きます。これが普通の女性がマミートラックにはまる原因と男性育休が全然流行らない原因です。

昇進に響くので片方に集中させないと世帯年収が落ちてしまう。それは必ず産休を取らないといけない産む女性になります。育休も時短も交代できないので女性活躍は進みません。

夫とは第一子と第二子で育休を交代しようと話し合っていたんですけどね、できませんでした。

育休とったら無条件で最高評価にすれば一瞬で男性育休100%になるよねと社内ではみんな話してます。しないってことは取らせたくないんでしょう。昇進しても残業が更にひどくなって1R単身赴任おじさんになるので、昇進どうでもいいやと育休とる男性も少しだけいますけどね。

社内ではなく社会全体での自分の価値を考えるようになった

と書いていらっしゃった育休パパnoterさんもいました。つまり、男性で育休を今とってる人はいざとなったら転職できるぐらいスキルのあるとても優秀な方々ということ。

産休に入る場合も一緒です。0.5も0.3も低評価なのは変わらないので妊婦は残業しなくていいです。私は妊娠中つわりで仕事をほとんどしてなかったのですが、評価しないくせに仕事量だけ平等を押し付けてくる変な上司もいます。

友人エンジニアは妊娠9か月の最終日、フロア最後の人になってカギを閉めて帰ったと言っていました。日本人は電車などで妊婦に全然優しくないのは有名ですが、会社でもそのような考えの人もまだ残っているようです。抜ける人は迷惑、せめている間にしっかりやっとけという考えです。妊婦を評価しないこと、妊婦に残業させることは今のところマタハラになっていません。

残業指示が来たら、母子手帳の後ろにある母性健康管理指導事項連絡カードを提出しましょう。医者の指示に従わないことはマタハラになります。

私は産休に入る期は2回のうちどちらも評価考課面談すらなかったです。やる意味ないので合理的!

あとこれ、介護休暇も長期入院も同様です。介護の両立できなくて辞めていく、独身男性も多いですね。

独身男性が介護でやめていくときはみんな悲しむのに、(同情するだけで制度を変えようとはしないけど)女性が辞める時は全く悲しまない。女性が結婚出産で辞める時はむしろ「おめでとう!」といって喜んでる。ねぇこれっておかしくないですか?

時短が嫌われる理由

独身など子供のいない女性や子育てが終わってフルタイムの女性は全員昇進させたけどまだまだ女性管理職比率低いまま、仕方ないから時短も上にあげるか。。という傾向になってきています。

時短でも元バリバリさんなら半分の時間になっても成果量1なんで、普通の人と同じように昇進できます。けどバリバリさんは元々そんなに多くない。

なので、時短の普通の人も昇進させるから成果量1を出せと言われます。でも元が普通の人ですから頑張っても0.7くらい。残りの0.3はチームメンバーが埋めなければいけません。そのためチームメンバーから不満が出ます。チームメンバーも普通の残業さんですので、更に残業させられたらたまらないわけです。

というわけで、普通の能力の時短ワーママは、仕事中めちゃくちゃ忙しく息つく暇もなく働いて、帰ったら育児と家事をして毎日ギリギリに過ごしているのに、チームメンバーから責められ、この理不尽に耐えきれず辞めていきます。

まわりに、普通に働いて普通に昇進できる普通の能力の男性従業員がいるのに、あなたがワーママになったら耐えれますか?この理不尽に耐えれないと「育児を優先したい人」と言われます。このように本質をみないで、個人のせいにしてジェンダー不平等を隠す手口は多発しているので気を付けましょう。

この評価方法のまま女性管理職比率を上げるのは無理があるのです。

解決法は?

ちんたら働くヒラ正社員、評価されない派遣社員、評価されないワーママ、従業員には会社の利益を考えない人が増えています。

会社の利益を考えてるのは「Faster!」と言ってる管理職だけかもしれませんね。なんとも皮肉な構造です。

従業員みんなが会社の利益を考れるようにして、女性管理職比率を増やし、男性の長期育休を増やすにはどのようにしたらいいでしょうか?

解決法はまた次回!といいたいのですが、正直言うとあんまりいい方法が思いついてないんですよ・・時間効率を評価しようと思ったんですが、設備投資の大きいメーカーには昼勤夜勤2交代が最高で時短が悪になってしまいます。

経営センスない私にはむずかしい。。

好きなことをしているときは割に合わないと思わないので。もう評価関係なくすきなことをして過ごしてしまえばいいのかな。なんて思ってしまう。

みなさんはどのように評価が変わったら会社がよくなると思いますか?

残業年収