見出し画像

【37話】幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)

ベースとドラムの加入(ついでにギターも?)

【32話】でのバンドメンバー募集で、ベースとドラムの二人が引っ掛かり、いえ、募集に応じてくれました。
唯ちゃんと梨紗ちゃんは、いつもの楽器屋の練習スタジオで、セッションすることになりました。

Tonight Is What It Means to Be Young

そして、事前に演奏曲目2曲をリクエストして、その曲を基にしてのセッションとなりました。
1曲目は、Fire Inc. の「Tonight Is What It Means to Be Young」、
アメリカ映画『ストリート・オブ・ファイヤー』の作中曲です。
後に、邦題「今夜はANGEL」として、テレビドラマ『ヤヌスの鏡』の主題歌となり、椎名恵 が歌っています。

この曲は、唯ちゃんの、ここ最近のお気に入りの曲です。
もちろん歌うのは原曲で、歌詞は英語です。
曲としての難易度は高めで曲調はハードロック、最初から高い音域で始まり、サビはオクターブ下に入るのだが、唯ちゃんはオクターブを下げません、ガンガン攻めていきます。
複数の歌詞とメロディーの絡みにはアレンジを加えています。
「みんなーついてくるんだよー」と言わんばかりに、小細工なしで歌いまくるセッションをします。 
原曲は、こんな曲です。

椎名恵 の「今夜はANGEL」は、こんな感じです。

レイジー(Lazy)

2曲目は、ディープ・パープル(Deep Purple)レイジー(Lazy)です。
これは、リッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)ジョン・ロード(Jon Lord)のソロパートを梨紗ちゃんがリードとアドリブ、それに合わせてベースとドラムがリズムをメイクするパターンでのセッションをします。
但し、唯ちゃんは歌いません。
レイジー(Lazy)は、こんな曲です。

さて、スタジオには、もうベースとドラムの人が来ていました。

唯ちゃんの教育係兼保護者

「ほら唯がグズグズしてるから 待たしてしまってるわよ」
「だって梨紗ちゃん 今日だなんて忘れちゃったんだよ」
「ほら トットと自転車こいで 急ぐわよ」
「もー 梨紗ちゃん 待つんだよー」

と、相変わらずの二人、いえ、相変わらずの唯ちゃんです。
そして、スタジオに到着、初顔合わせです。
ベースとドラムの二人は、とっくにチューニングを済ませ、Gmブルースでウオーミングアップを始めていました。

「お待たせしてごめんなさい」
「ゴメンだよ」
「だよ じゃないわよ ごめんなさいって言いなさいよ」
「分ったよ梨紗ちゃん ごめんなさい・・・・だよ」

唯ちゃん、どうしても、「だよ」や「なの」が止められません、我慢が出来ません、無意識に言ってしまいます。
今はいいですが、大学や社会に出たらどうするのでしょうか。
心配です。

今や梨紗ちゃんは、唯ちゃんの教育係兼保護者です。
これは唯未さんに、自分の代わりにと、頼まれたのです。
もちろん梨紗ちゃんは、二つ返事で引き受けました。
しかし、唯未さんは放任主義なのか、ただ単に面倒くさいのか、分りませんが、梨紗ちゃんに絶大な信頼を寄せていることは、間違いありません。

「初めまして キーボード担当の 小鳥遊梨紗です よろしくお願いします そして ボーカルの」
「・・・・・・」
「唯 早く名前を言いなさいよ」
「あっ そっか 唯だよ」
「唯だけじゃなくて 苗字もよ」
「苗字・・・何だったっけ 梨紗ちゃん めののめ だっけ」
「怒るわよ しののめ よ し・の・.の・め」
「東雲唯だよ よろしくだよ・・・これでよかった 梨紗ちゃん」
「よく出来たわね 偉いわよ」

これって、二人とも本気で言っていることなのでしょうか、冗談なのでしょうか、唯ちゃんはともかく、梨紗ちゃんに限って、このような低レベルの冗談を言うとは思えません。

葉月 涼 と 七瀬 渚

では、いつまで経っても前に進まないので、私が解説していきます。
ベースの人は葉月 涼(はずき りょう)、何とも爽やかな名前です。
ドラムの人は七瀬 渚(ななせ なぎさ)、渚と言っても男子です。
二人ともB高校の2年生、唯ちゃんと梨紗ちゃんの1年先輩です。
B高校と言えば、C高校の制服が唯好みと言うだけで、B高校を蹴ってC高校に入学してたと言う、いわく付きの高校です。
梨紗ちゃんがA高校理系進学科と聞いて、このような高校でもバンド組もうとしてる人が居ることを、二人は顔を見合わせ少し驚いたようです。
最高難度の高校生は、勉強しかしてないとでも思ったのでしょうが、そんなことは有りません。

涼さんと渚さんは、一つのバンドに固執していなく、同じ高校生のバンドを掛持ちするなど、助っ人のような形で活動していました。
二人は親友の関係で、殆ど二人一組で活動していたので、唯ちゃんと梨紗ちゃんが二人一組で活動していたのと同じ様な形です。

この時代は、プロではハードロック路線の女性メインのバンドは有りましたが、アマチュアの女子高校生が、ハードロックバンドを組むことは珍しく、更に女子高校生ボーカルのハードロックのバンドは、殆ど居なかったように思います、多分ですけど。

そんなこんなで、セッションは終了しました。
涼さんと渚さんは、梨紗ちゃんの演奏能力に、唯ちゃんの何処までも伸びる高音域や安定した音程に、驚きを隠せません。
梨紗ちゃんも、涼さんと渚さんの正確なリズム感やアドリブでの対応能力に驚きを隠せません。
で、唯ちゃんはと言うと、「楽しかったんだよ」、それだけです。
唯ちゃんは、楽しく歌うが信条なので、わりと気まぐれな所もあります。
今まで唯ちゃんが楽しく歌えたのは、梨紗ちゃんの対応能力のお陰です。
この日は初見にも関わらず、後先考えず気まぐれを押し出してしまったのに楽しく歌えたのは、涼さんと渚さんのリズム感と対応能力のお陰なのです。

加入決定!

そして、涼さんと渚さんはバンドに加入することになりました。
唯ちゃんと梨紗ちゃんは、大喜びです。
後はギターだけですが、演奏スタイルは派手目だけど、涼さんと渚さんが少しの間一緒にやっていたギターの人を、最初の練習日に連れてくることになりました。
これで、ギターも揃うことになりました。

「呼び方なんですけど、葉月先輩と七瀬先輩でいいですか」
「あっ 梨紗ちゃん こんなんじゃあ面白くないから 涼先輩と渚先輩でいいんじゃない」
「唯 まだ最初なんだから失礼よ」
「俺は構わないよ 俺たちも涼と渚で呼び合ってるから」(渚)
「・・・・・・・・」(涼)
「あっ 涼も構わないってさ」(渚)
「・・・・そ それなら そう呼ばせて貰います」
「唯のことは唯でお願いだよ ゆい だよ ゆい それと梨紗ちゃんは梨紗ちゃんでお願いだよ りさちゃん だよ りさちゃん」
「唯 何言ってるのよ それは嫌よ 梨紗でいいです りさで」

ということで、涼先輩と渚先輩と呼ぶことになりました。
涼さんと渚さんは、唯と梨紗と呼ぶことになりました。
最初から意気投合したようですが、唯ちゃんの「こんなんじゃあ面白くないから」というのは、何が面白くないのかよく分りませんが、そういうことだったのかもしれません。

最初の練習日も決まり、練習曲もいくつか決めました。
唯ちゃんと梨紗ちゃんは、大喜びで帰宅しました。
しかし、最初の練習日に事件が起こることになったのです。
その話は、次回にしましょう。
では、また次回に、お会いしましょう。

幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)
【索引】 【登場人物】

#幼馴染み #想いで話 #思いで話   #小説  
#バンド #ベース #ドラム #ギター #ハードロック
#ディープパープル #リッチーブラックモア #ジョン・ロード



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?