ゴールデンウイークは私を車で連れ去って

君と一か月以上会えない日々が続いている。
休日は電話したり、たまにビデオ通話をしたりするけれど、すればするほど会いたい気持ちだけが風船ガムを膨らませるように大きくなっていく。
たぶんもう弾けてしまう。

私たちは一緒には暮らしていない。
お隣に住んでもいなし、歩いて行ける距離でもない。
君の元へ行くには電車で一時間くらい。
近くはないけど遠すぎるわけでもない。
なのに会えない。
会いたい。

ゴールデンウイークは君の仕事が休みだから、私を迎えに来てよここまで。
車なら3密は避けられるから。
窓を開けて春の風を感じながら環八沿いを走って君の住む街へ。

ゴールデンウイークの5日間だけ一緒に暮らそう。

私はご飯を作るのがそんなに得意じゃないから、君が作ってくれるカレーをとびきり美味しく食べる係をするね。
君が作ってくれるサーモンとレモンのパスタも、親子丼も、手作り鶏ハムも。
「おいしい、天才だ」
ってもぐもぐたくさん食べるよ。

会えなかった時間分を取り戻すように5日間ずっとくっついていよう。

隣に座って、君がパソコンで調べ物をしている間に私は本を読む。
ちょっと飽きたら後ろからくっついて、呆れられる。
めげずに背中にぴったり頬を寄せる。神経が図太いので。
なにより君が好きなので。
オンラインで一緒にみていた映画鑑賞も、一緒に暮らせば一緒に見られる。
コメディも胸がずきんとなるのもホラーも全部一緒に見よう。
ポップコーンを買って、好きな飲み物をコップに注いで。
映画を見終わったら「あそこの演技の表情が堪らなく良かった」「あのシーンの音楽がかっこよかった」って話そう。

5日のうち1日くらいはお風呂も一緒に入りたい。

子供のころ大好きだったセーラームーンや仮面ライダーが描かれた泡風呂になる入浴剤をいれて。
泡がぶくぶくになっているから恥ずかしくない、はず。
それでもきっと少し緊張してしまうだろうから私が先にお風呂へ入って、「もういいよ」
って君に声を掛けたら入ってきてほしい。
泡を互いに付け合って遊ぼう。
そこでもぎゅっとくっつき合おう。
今度は私が大人しく抱きしめられておくので。
君は好きなだけ後ろから抱きしめてくれていいよ。

おやすみって同じベッドで眠って、先に起きた方が相手が起きるまで寝顔を見つめる。
おはようって君の隣で目覚める。

最高のゴールデンウイークになりそうでしょ。
はやく迎えに来て、私を連れ去って。

サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。