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土曜は昼過ぎまでベッドにいたい

mosoシリーズです。いざ。

付き合って1年半。毎週末というわけではなく、月に1回~2回は互いの家に泊まるようになって3ヶ月。
君はたいてい金曜日は誰かと飲んでくるから、私はひとり金曜ロードショーを見ながら、スーパーで値下げシールが張られたポテトサラダとから揚げをつまみぼんやり夜を過ごす。時計の針は11時半を指すか、指さないかのところだ。画面を下に向けていた携帯電話をひっくり返し、ロック画面を確認するけれど変化なし。

ほんの少しだけいじけて、お風呂の支度をし、念入りに髪と体を洗う。いつもは使わない、いい匂いのするのをこっそり。

湯船につかってぼーっとしていると玄関の鍵が開く音を聞く。
君が「ただいま」をくれるまで私は「おかえり」をぐっと我慢する。なぜかって?それはこんな時間まで外で楽しそうに飲んでいた君への嫉妬。
酔っていると君はいつにもまして陽気だ。鼻歌まじりにただいまを言いながらお風呂の扉を開ける。私はそこで初めて「おかえり」をあげるんだ。一緒に入るー!なんてワガママを制し、君を追いやってお風呂から出たら、リビングで濡れた髪を乾かしてもらう。この2,3ヶ月で人の髪を乾かすのに慣れた君の指がとても心地よい。

隣ですぅーっという寝息を立てるのを聞いてから、私も目を閉じて眠気に誘われる。

土曜日はお互い何も予定がなくて、朝に目覚めるものの、ベッドでだらだらと過ごす。喉が渇いて、キッチンへ水を飲みに行こうとすると君は私をぎゅっと抱きしめて「どこいくの」って甘えた声で囁く。私は君の甘さに2,3ヶ月どころか出会った時からずっと慣れなくて「お水取ってくるだけだよ」って俯きがちに答える。ここでとどめの「いっちゃだめ」に一発KO。またベッドへ沈んでいく。柔らかく笑っているのを見てもっと好きになる。

君は自由だから自分が水を飲みたくなったら何事もなかったかのようにベッドから起き上がる。私の腕からするりと抜け出てしまってぎゅっとする時間を与えてくれない。にこにこしながら水の入ったコップとともに戻ってきてそれを私にくれる。やっぱりにこにこしながら「そろそろお腹すいたねぇ」って言うからつられて「食べに行こうか」って答えてしまうんだ。


土曜は昼過ぎまでベッドにいたい、君と。

サポート…!本当にありがとうございます! うれしいです。心から。