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父性の欠如を補ってくれるマスター

福岡県の緊急事態宣言が解除されて十日余り。
先日、中洲にある行きつけのバーに行ってきた。
前職(公務員)最後の出勤日である3月末に顔を出して以来、数ヶ月ぶりの来店だったが、相変わらずアットホームで居心地が良かった。

最初に訪れたのは昨年の4月末日のことで、平成最後の日だった。
ネットで店の簡単な紹介が出てきて、直感で良さげなバーと思ったのが来店のきっかけ。

カウンターのみ10席前後のバーで、その日はほとんど埋まっていた。
その店には珍しい、ほぼ飛び込みの一見客だったので、はじめは驚かれたが、すぐに入口近くの席へ案内された。

初めての店特有の緊張感に包まれながらも、快くマスターや常連客に迎えられ、次第に緊張は落ち着きに変わっていった。
その日、周囲と具体的にどんなやり取りをしたかはうろ覚えだが、カラオケを披露していたことははっきり覚えている。

元々、カラオケは大の苦手だった。
友人や同僚とカラオケへ行くことになっても、1曲も歌わないくらい空気の読めない奴で、これではダメだと練習がてら一人カラオケに行くようになり、いつしかカラオケが好きになっていた。
バーやスナックでは自然発生的にカラオケを披露し合う流れになることがよくあるため、人並みに歌えるようになって良かったと本当に思う。

話が逸れたが、平成から令和に変わるメモリアルな瞬間に来店して以降、毎週末のようにそのバーへ通うようになった。
そうなったのは、お店の雰囲気や気さくな常連客は勿論、何よりもマスターの人柄に惹かれたのが大きい。

マスターとは親子くらい年が離れている。
非常に強面で第一印象は必ずしも良くなかった。
ただ、強面な印象とは裏腹に、いつも嫌な顔一つせず親身になって相談に乗ってくれたし、その心地よさから徐々に父親代わりのような存在になっていった。

父親代わりと言っても、実の父親はいるにはいる。
いるにはいるが、不仲でかれこれ10年以上ろくに口を聞いていない。
大学まで何不自由なく育ててもらったことに関しては感謝しているが、とにかく価値観が根本的に合わず、長年険悪な状態が続いている。

そういった経緯もあり、私にとってそのマスターは第二の父親と言っても過言ではない。
ふとしたことで感情的になって口論し、一時期、足が遠のいたこともあったが、これからも長く通うことになるだろう。


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