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就活界隈の大人が“キラキラ”な理由

就活生から見た“就活界隈の大人”とは
・企業の採用担当者(人事、面接官、リクルーター含む)
・自身と同じ大学で憧れの企業に就職したOBOG
・人材系企業のキャリアアドバイザー
を指しています。

就活中に出会う社会人って皆キラキラして見える…。
なんか美男美女が多い気がするし、考え方も“大人”な感じがする…。

これって就活生あるあるですよね。
最近の弊社インターン生との会話でも、現在選考中の企業で出会った社員の方々について話題になり「会う人が皆優秀で驚きました…」と絶賛していました。

でも自分の日常の中の社会人、例えば町ですれ違ったり同じ電車に乗り合わせるような社会人が必ずしも魅力的には見えないし、むしろなんだかいつも疲れているような印象さえあるのにこの差はなんだろう、とどこか違和感を感じている人も少なくないのではないでしょうか。

「就活界隈の大人がキラキラしている」ことには理由があるのです。

“優秀な人だけの集団”というフィクション

ごめんなさい、まず就活生の夢を摘みます。
“優秀な人だけの集団”などありません。

一方で、
どんな企業にも一定数“優秀な人”が必ずいます。

数名、十数名規模のスタートアップ企業だと“優秀な人だけで構成する”とこだわることは比較的容易なのですが、従業員数が大きくなるほど次第に難しくなり、どんなにイマドキの若者の憧れのコンサルや総合商社、メガベンチャーであっても“優秀な人だけの集団”を維持することはできません。(※ ちなみにメガベンチャーってなんですか?笑)

2020年卒の採用市場の数字で、
① 民間企業へ就職希望の学生の総数:約43万人(大卒/院卒予定者)
② リクナビの求人情報掲載企業数:約3万社
について取り上げます。

ここからリクナビ掲載企業1社あたりに割り当てられる学生は約14名だと分かりますね。

図30

もちろん実際には、新卒を採用しようとする企業はリクナビ掲載企業に留まらないので、新卒を20名以上採用しようとする企業の採用担当者が「大変そう」であるかが伝わると思います。

言うまでもありませんが
“就活生全員がもれなく優秀”なんてことはない
という点は共通認識とさせてくださいね。

さらに、就活生により分かり易く、学歴と企業の格式を取り上げて
③ MARCH卒以上の就活生の数:約8万人
④ 東証一部上場企業数:約2千社
について考えます。
※MARCH=明治、青山学院、立教、中央、法政の頭文字
※関西の“関関同立”もMARCH以上に含めて考えています

図28

ここから
仮にMARCH卒以上の人が全員東証一部上場企業に就職するとしても、1社あたり40名ずつしか割り当てられない
ことが分かります。

図29

実際には、MARCH卒以上の人全員が東証一部上場企業に就職することはないので(おそらく30%~40%程度ではないか)、東証一部上場企業が就職先であっても自分の同期におけるMARCH卒以上の人数は20名以下になりそうだと推測できます。

極端な言い方ではありますが、学歴だけで考えると
早慶上智卒以上の人が採用数20名程度の東証一部上場企業に就職した時の“社内同期の質”は、“母校の学内同期の質”を下回る可能性が高い
と考えられます。

そして1学年あたり約1500名程度しか民間企業に就職することのない東大生にいたっては、現在のコミュニティが最も良質であり今後どんな組織に所属しようが現在を上回ることはないと悲観しても仕方がないなとさえ思います。

もっとも、上記はあくまでも学歴的視点で就活生を見た場合の話で、私はビジネスパーソンとして優秀であるかどうかは、その人の出身大学とは必ずしも関係ないと考えています、ご承知おきください。

キラキラパーソンの組織“ドリームチーム”

さて本題を忘れてはいけません。

なぜ就活中に出会う社会人は皆キラキラして見えるのか

それは、その企業の人事担当者が社内の特にキラキラしている人物をピックアップして採用活動に参加させ、そのキラキラパーソンだけをあなたと恣意的に接触させているからです。

具体的に言えば、まず以下の手順でその年の“対学生用の人的魅力訴求に特化したリクルーティングチーム(ドリームチーム)”を組織します。
① 全社員の人事評価データの中から“人事評価の高い人物”を選抜
② 選抜結果をなるべく様々な学生に対応する上で“理想的”になるように調整
 調整例
 1.各入社年次毎に10名ずつ(なるべく多くの年次を対象とする)
 2.男女バランスよく
 3.出身大学のバランスよく
 4.文理、専攻のバランスよく
 5.学部卒、修士卒のバランスよく
 などなど
③ ②で選抜した社員に自社採用戦略と採用競合情報をインストールする
④ ドリームチームが完成

図31

※この絵の最も大きな黄色い三角形の面積は“その企業の従業員数”です

この絵から分かるように、キラキラパーソンは“森を構成する一本の木”、ドリームチームは“恣意的に集められたその森の商品サンプル”です。
しかし知識と時間の乏しい就活生はこのドリームチームと接触すると「ドリームチーム=その企業の実際の姿」であると錯覚し、あっさりと“木を見て森を見ず状態”になってくれるのです。

“優秀な人だけの集団”が数字的に考えればフィクションのはずなのに、あたかも目の前に実在しているかのように感じてしまう。あなたが大好きな(採用ブランディングのうまい)企業はすべからくこの手法であなたと接触しています。

就活生を襲うキラキラの洪水

ドリームチームのメンバーは
・その企業内の評価が高い(なんらかの能力に秀でている)
・評価が高いことを認識している(自信に満ちている)
・その企業の“顔”として選抜されている自負がある
ため、学生から見るとその佇まいからキラキラして見えます。

会話においても、学生がした質問に対して鮮やかにそして魅力的に回答します。すると就活生は「この人、なんて頭の回転が早くて説明が分かり易いんだろう…」と感じることになります。視覚に加え聴覚からもキラキラを感じます。

ちなみに、実は頭の回転の早さや説明力はそこまで関係ありません。
なぜならあなたが繰り出したその質問は、目の前のキラキラパーソンにとっては幾度となく投げかけられた“就活生からの頻出質問(過去問)”であり、“模範解答”がじっくり練られ毎年ドリームチーム内で共有されてさえいるからです。

この現象は1社だけではなく、検討中の企業すべてで同時多発的に起こるので就活生側は大変です。

少し話は逸れますが「私の就活の軸は“人(一緒に働く仲間)”です!」と宣言しているあなた、あなたが各企業から獲得した評価が高いほど各企業はドリームチームをぶつけてきます。

図32

この絵のようになる前に、別の角度で企業を評価する“軸”を用意しておきましょうね。世の中眩し過ぎるのです。

長文になりましたが、今日はここまでです。
お付き合い頂きありがとうございました。
あなたのスキお待ちしてます!

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