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やる気をなくしたスーパースター

『エクソシスト』という映画が好きなのは、信仰や自分の仕事に疑問を持つ中、母親を孤独死させてしまい、失意の中にあるデミアン神父が自分の助けを必要とするクリスの求めに応じ、それでも悪魔に立ち向かう姿が描かれているからだ。ホラー映画っていう観点で観てないですね。ましてや西洋の悪魔観なんて日本人の自分には頭で理解はすれど、実感としてはやはり薄い。

失意の中の主人公、というシチュエーションが個人的に大好きで、物語の始まる時点で主人公には傷を負っていてほしいし、大切なものを失くしていてほしいし、自信なんか喪失して他者との関わりすら避けるようになっていてほしいと思う(勝手な)。

しかしそれで引きこもっているままじゃあ主人公失格なのである。自分の価値を信じられなくなっても、それでもなおその力は光り輝いていて、それを頼ってくる人がある。「自分にしかできないことがある」そのことが彼の背中を押し、再び立ち上がる勇気を与えるのだ。

その結果、デミアンのように時としてヒーローは戦いの中で命を落としてしまう。が、それによって彼の魂は救われる。誰かのためにしたことが結果的に自分の救済となる。キリストへの信仰が揺らいでいた彼を救ったのが他ならぬ自身の意志と行動だったことはめちゃくちゃポイント高いです。個人的に。

その点で共通するのが『スターウォーズ 最後のジェダイ』でのルーク・スカイウォーカー(あくまでこの作品での)と、『ライムライト』でチャップリンが演じたカルヴェロ。彼らは晩年を失意の中で過ごしたが、最期の時に大切な人のために魂を燃やし、ふさわしい死に場所を見つけたと言えるんじゃないだろうか。終わります。

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