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くらし随筆(いわき民報掲載)

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いわき民報のくらし随筆というコーナーで3ヶ間コラムを寄稿させていただきましたが、思いのほか好評をいただき、新聞掲載から1年経った今でもまた読みたいと多くのリクエストいただいのでn… もっと読む
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記事一覧

最終話~魚屋おのざき~

大正12年。貧しい家庭ながら大家族を養うために、魚を売り始めた1人の女性がいた。女に魚屋が…

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第12話~こころざし~

「おぬし、戦う前から臆病風に吹かれておるのか、その者の首を斬れい!」自軍の数3千騎に対し…

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第11話~朽ちさせない~

22時の港。穏やかな波が寝息を立てるように揺れている。すやすや眠る子供たちをベッドに残し、…

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第10話~蒼の生きがい~

初夏の翠雨(すいう)が街を潤す。森の木々や田んぼの幼穂は生命の息吹を誇示するかのように踊…

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第9話~明るい未来~

これで3度目だ。成人式のスーツに、結婚指輪、そして先日オーダーした実印。人生には少し力を…

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第8話~今宵の月~

今宵は満月。静かな夜に迷い込んでいるうちに学生の頃よく遊んだ旧友を思い出した。落ちてるサ…

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第7話~映画を浴びる~

「プッー」後ろの車のクラクションで目が覚めた。早朝の神聖な空気を優しく振動させる朝露のようにはかない控えめな音だった。どうやら赤信号の間に寝落ちしてしまったようだ。それはそれは滑稽なモーニングコールである。 若気の至り―深夜まで勉強し、朝5時には魚市場に立っている。家業の4代目として意気込み体に負荷をかけすぎた。そんな時にふと参加した経営者セミナーで出会った印象的な言葉がある。―美術館にいくと決算書が読めるようになる―比喩的な表現だが、要は好奇心旺盛な経営者は机に向かわずと

第6話~八百屋の時代~

人生に2020年の春は二度とやって来ない。最高の春だったね、ただそう言いたくて旬の筍を高崎屋…

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第5話~ファミレス~

ジャジーな独特の世界観に魅了され、村上春樹を読み漁ったのは20歳の頃。月夜に合唱するカエル…

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第4話~洗濯機の宣伝~

もし富士山の頂上にエビマヨネーズのおにぎりが売っていたら私は500円でも買うだろう。 高校3…

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第3話~アメリカの話~

サンフランシスコの街を愛おしく照らすゴールデンゲートブリッジに別れを告げ、夜明け前、僕は…

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第2話~上京した頃~

80年代米国製コンバースは中国製に比べステッチの入り方が微妙に異なる。これが1足数万円する…

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第1話~魚屋を継ぐ~

眠らない街、トウキョウ。昨夜就寝前の歯磨き粉の味がしっかりと口の中に残っているうちに目を…

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