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朝ドラ「虎に翼」の弁護士考察・第9週/第10週(優三のメッセージ、花岡の運命ほか)

第9週から第10週までは、寅子が挫折を乗り越えて法曹の道へと舞い戻る、重要な展開でした。

NHK連続テレビ小説「虎に翼」を視聴して、弁護士目線で気になったことを、毎週noteにしたためています。


優三さんのメッセージと日本国憲法

「トラちゃんができるのは、トラちゃんの好きに生きることです」
「トラちゃんが後悔せず、心から人生をやり切ってくれること」

出征前に優三さんが残したこの言葉は、まさに、日本国憲法の精神につながるものです。

「だれもが1人の人間として尊重され、自分の生き方を自分自身で決められる社会を築くこと」は、まさに、日本国憲法の目指す理念です。

優三さんは、自身の死と引き換えに、寅子に対して、法曹の未来を託したのだと感じました。

花岡の最期

寅子がいっぱい詰まったご飯をほおばる横で、ほとんど空っぽのお弁当箱をついばむ花岡。このシーンで、花岡の死を察しました。

来週のネタバレとなりますが、花岡の死因は、闇市を利用せずに配給だけで生きようとしたことによる衰弱死です。裁判官がこのような理由で亡くなった事件は、法曹界では広く知られています。

この事件は、当時広く報道され、配給によらない食糧の提供(闇市)を厳しく取り締まる「食糧管理法」が問題視される契機になりました。

当時は、食糧の配給がままならない状態で、闇市を頼らずして生きていけない社会になっていました。食糧管理法の制度が、正常に機能していない状態でした。

花岡は、「法律に殺された」と表現しても過言ではありません。

花岡の死は、「法律は『だれ』のためにあるのか」を寅子に問いかけ、寅子が裁判官の道を目指すうえで、重要な役割を果たすのであろうと予想します。

神保教授のモデル

民法改正に対して苦言を呈し続けた神保教授。モデルについて調べたところ、おそらく、刑法学者として有名な牧野英一であると思われます。

牧野英一が民法改正の審議にどう関わっていたか、詳細にまとめていらっしゃるnoteを引用させていただきます。

牧野英一が、民法学の権威である我妻栄と真っ向から対立し、その主張が、親族間の扶養義務の規定につながったことは、全く知りませんでした。そもそも、牧野英一といえば刑法の印象しかなく、民法改正に大きく関わっていたこと自体が意外でした。

作中で、扶養義務について規定した民法730条をわざわざ取り上げていたのも、史実に基づくものだったのですね。

今まさに、家族法の改正が様々議論されています。戦後民法が制定された経緯を知ることは、議論の是非を考えるうえで重要ではないかと、改めて実感しました。

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