不健康な人が大好き

不健康な人が大好き。

私はいろんなことが不安で、特にここ一年くらいは自分がこれから大きな病気に罹ってじわじわ苦しんで死んでいく様子ばかり想像してしまう。就活生だからニュースを真剣に見ていて、毎日流れるコロナの重症者の様子に悲しくなったのが発端だ。そこから祖父が末期がんになってしまったり、先生が乳がんになってしまったり、至るところで怖い病気の話が耳に入りやすくなって、気がついたら「病気不安症」というものになっていた。単なる不安症ならいいけれど、肺から変な音がする気がしたり心臓の音が速い気がしたり体の症状として現れてくるものが次々あるから、その度に不安で検査してを繰り返して、まだ23歳だけど毎日明日にでも死んでしまうのではないかと思いながら生きている。

体はどうしたら健康でいられるのか。食べるものが体を作るから、食べることには拘りたいと思うようになった。幸いにもヴィーガンやグルテンフリーのカフェで働かせてもらっているから、環境や健康への意識が高い人がいっぱいいて、そういう人たちと遊ぶと健康でいられているような気持ちになる。

気持ちにはなるけど、やっぱり私には未来の想像が少しもできなくて、「数十年先健康な体でいられるように」とか、「若いうちから健康づくり」とか言われてもやっぱりよくわからない。自分は明日にでも死んでしまうのだろうと相変わらず思う。

そういう意味では、不健康な人の方が今を生きていてかっこいいような気がする。春に別れた人は毎食UberEatsを利用して、2日に一回くらいマクドナルドを食べて、毎食後電子タバコを吸っていた。
「今はいいかもしれないけど、老後その人の面倒見れる?確実に病気になるよ。」そんな風に言われたことがある。病気なんていつ誰がなるかわからないのに。なるかもしれない病気を恐れて怯えながら「健康」を続ける私より、今この瞬間好きなものを食べて幸せそうに生きる彼氏が大好きだった。

友達が心配していた「老後まで面倒見れる?」問題よりも先に、あっという間に別れてしまった。不健康な暮らしで死んでいっても構わないからずっと一緒にいたいと思える人だった。一人になった今、私はまた「健康」を続けて、たまに何もかもどうでもよくなってこれで死ねないかなと思ってマクドナルドを食べる。健康に生きていたからなんだっていうんだろう。


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