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故郷の街を旅するように 城下町まつもと&クラフトフェア

「灯台下暗し」とはよく言うもので、パリに長いこと住んだけれどもついぞ凱旋門にもエッフェル塔にも昇らなかったし、ヴェルサイユ宮殿だって庭止まりに終わった。近くにあるとそれが生活の一部の景色に組み込まれているから、あえて立ち入る必要がないというかなんというか。

これは高校卒業まで育った故郷についても当てはまる。

故郷を離れた歳から倍以上の年齢になって、ずっと魅力的にうつるようになった故郷松本。幼少期から長い間音楽をやっていたこともあり、サイトウキネンをはじめとする音楽モノにはどっぷり浸かっていたものの、その他の魅力、たとえば自然とか温泉とか蕎麦とか漬物といった渋い魅力に気付けなかった。ピヨピヨの若造っ子ちゃんだったから仕方ないか。

せっかくの一時帰国。昔よりもずっと観光客(特に海外の方!)が増えたように感じるそんな故郷のまちを、旅するように巡ってみよう。

国宝松本城

2019年、パリでノートルダム大聖堂が火災で燃えたとき、テレビに映るパリの人々は口々に「(街の、歴史の、キリスト教の)シンボルが消えた」と言いいながら打ちのめされていた。

当時日本にいた私はパリの人々に思いを馳せつつ、ふと、私にとってのノートルダムはきっと育った街のシンボル、松本城だろうななんて思ったりしたものだ。

どこから見ても変わらず美しくかっこいい

我が心の拠り所、松本城。地元で挙げたささやかな結婚式で、プランから唯一外したくなかったのが、お城で写真をとることだった(あと犬連れ🐶)。


そんな思い入れのある松本城に、とある平日、ぶらりと訪れてみることにした。地元に住む妹とふたり、心は旅人。もう何年もお城は眺めるだけだったけれど、今日は気合いいれて天守閣まで登ってみようね。

太鼓門より入場

今回はどこも混みどきを外していたのか、スカイツリーも松本城もいずれも待ち時間なしでスルー。ツイていることこの上なし。

混雑時はすごいらしい
甲冑展示なども見ながら
お天気快晴
ツツジの咲く本丸庭園を進む
近影 質実剛健
さらに近影 建築美

松本城へ一度でも登ったことのある方ならご存知かと察するけれど、この城、とにかく階段が急なのである。階段の概念が覆りそうなレベルで、え?これSASUKEとかにでてきそうなやつ・・・?と問いたくなるような。

若かりし頃でさえそう思っていたので、中年にはなおさら結構堪える。階段を降りている途中から筋肉痛をもよおしてるもの(え?)。

天守閣から庭をのぞむ


昔のひともお腹ぽよんぽよんしていたのねえ
曲線と直線の合体美
花頭窓

息を切らしつつ外に出たら、日本のお城がたくさん飾られた一画を発見。

50城の写真展
どのお城も味があるのう

でもやっぱり、この黒黒とした松本城がどのお城よりもかっこいい!

妹とそう結論づけてお城をあとにした。


中町

また別日、美容院に行った帰り中町をぶらぶら。

新しい食事どころやオシャレなお店がたくさんできているけれども、ちきりやとかぴあのとか手芸の小島とか昔から残っているお店もちらほら。

中町の蔵シック館
こうデカデカと書かれちゃ立ち寄らないわけにいかない
豪快な吹き抜け
畳の広間には有田のお皿が敷き詰められていた

井上百貨店

帰国するちょっと前にネットで舞い込んできた衝撃のニュース。
駅前の井上百貨店がついに閉店」。

懐かしのロゴ
CMソングだって今でも歌える

幼少期はしょっちゅう来ていた思い入れのあるデパート。失礼ながら、近年はとくにお客よりお店の人のほうが多いなとは思っていたけれども、ついにきてしまったか。。

市内でここでしか買えない化粧品もあったのよね

たぶん閉店前にはもう来られないだろうから、本館の上から下までぐるっと回ってお香関連の商品だけ買った。

松本パルコもなくなるっていうし、駅前がどんどん寂しくなるのが悲しい。


クラフトフェアまつもと

5月の第4週の週末。母に誘われてクラフトフェアまつもとへ行くことにした。

なんと今年で40周年にもなるらしいこのイベント。全国的にみて最大級のクラフトフェアで割と有名なんですって?同じくらいだけ生きてきたというのに「あー名前聞いたことあるな」くらいの認識。灯台下真っ暗。

会場は、松本駅からひたすらまっすぐのところにあるあがたの森なので、ワンコ連れもウェルカムとのこと。うちの2ワンも一緒にいこうね。

おそろパンダできめてこ

土曜日の午後、会場に到着。

あがたの森の入り口
映ってないけど警備の方も総動員
雲ひとつない五月晴れ
入り口で記念撮影

道路状況や街の盛り上がりからうすうす勘づいてはいたんだけれども、松本ってこんなに人、いた?ってくらいの盛り上がり。あがたの森の公園って昔たまにきたことがあるかなくらいの記憶だけど、こんなに人がいるところを見たことがない。

公園のいたるところにブースがならぶ

入り口で配っていたパンフレットを見て衝撃。出店者はそれぞれ好きな場所にテントをはっていらっしゃると。この大雑把な感じ、よろしいんじゃないの。

とても大雑把な地図

はじめてだし、どんなものかまずぐるっと1周してみよう。

普段使いによさそうなお茶碗たち
アンティークな感じもいいね
味のあるランプシェード
隣のマダムが即買いしていてビビった
持ってる皿と似たようなデザインに目を持っていかれるな
形好みの小皿たち
食器に限らず材質問わずいろんなものが売られている
木製の一輪挿しってのいいね
編み血がさわぐ糸なんかも
展示場所大成功で賞の一例
晴れた日にはガラス製品がほしくなる
割れるのが怖くて買えなかったけど
手作り感があっていいね
公園の真ん中にある大きな池
昔記念写真をとった記憶のある橋
タイトル:『動物の進化』
広場ではピクニックしているひとたちも
なんてのどか

私、すっかり舐め切ってた。軽く1周と思って見始めたら、広大な敷地のいたるところに素敵なものが散りばめられていて、これはうつわ大好き人間の天国ではないか。

物欲と時間のあくなき戦い。8割型見終わるころには1日目の閉場時間近くになっていた。なんちゅうイベントだ・・・明日もくるしかないだろうが。地の利万歳。

母はちゃっかりと何点かお気に入りを仕入れていたけれど、私は1日目静観して翌日にかけることとした。1日目に回ってみて思ったこととして、

・欲しいアイテムを数種類決めてから回るとよさそう:限られた時間に対してモノの量が尋常じゃない。ハンドメイドだけあって値段もするので、大体の予算と欲しいアイテムをいくつか決めてそれを探しながら歩いたほうがいいかも。

・気に入ったら即決:私が素敵だと思うものは、隣の人だって同じことを思うはずと考えよ。戻ったら売れてしまったってのはまだいい方で、見つめながら悩んでいるその横でさっと買われてしまうことも。

もちろん何も考えないでピンときたものを買えたらそれで幸せにちがいないけど、私の場合、引越しも移動も多い。考えないと無限にうつわって増えそうだし、っていうか増えるし、そもそも今回買うものだって松本から北フランスに割らずに運ぶという大仕事が待ち構えている。



考えずに増えていったアスティエ・ド・ヴィラットのお皿たち


さてこんな考察をしながら2日目。

今回は、洋風スープなんかにも合わせやすい椀と、ヨーグルトとかちょっとした副菜をよそう小鉢と、お茶を飲んだり軽くひとりごはんができるサイズの小さめのトレーが欲しい。2日目は見るモノをこれらにしぼっていざ出発。

おっいいじゃんこれ
素敵なトレー!

2日目は1日目以上に集中していたので、ほぼ写真を撮ることもなく。
ぐるっとまわって目当てのものはちゃんと購入できた。
2日目のほうが商品が少なくて(1日目に売れたから)、見るものの量が減ったからという説もある。私、優柔不断なので。


買ったものがこちら。手荷物で大事に抱えて無事に持ってこれた(涙)

基本シンプルなものが好きなのだな

スープも入れられる大きさで口径広め高さ低めのお椀。白山陶器の汁椀みたいなのがいいなと思っていて、発見。東京からいらした陶芸家、阿川まさ美さんの作品。

絶妙な色加減がいい

サイズ小さめの鉢は、岐阜からいらっしゃった渡邊和(やまと)さんの作品。お茶碗もすごく素敵で欲しくて悩んだけど、荷物量がおそろしくなって日和った。また次回に。

この上部から真ん中にかけての絶妙なクビレに一目惚れ

最後、小さめトレーは群馬からいらしたNU woodworksさんの作品。長方形の形はよくみたけど、この形が私の気に入った。

コーヒータイムに大活躍


ここらでひとつ。いつかやってみたい、おとなのクラフトフェア遊び。

気の合う友人とともに、3枚くらい諭吉を握りしめヨーイドン!各々気に入ったものを買い、夜それらを披露しながらちびちびと酒を飲む。

単なる思いつき

これ絶対楽しいって!乙だって!


あと、はじめてこのクラフトフェアまつもとに参加してみて、作り手の顔をみながら、話をしながら、実際に触って買い物ができるというのはなんて素敵なことなんだろうと思った。うつわに限らずとも。

母は、何年か前に買ったお皿の作家さんが気に入って、そこから毎年、クラフトフェアでその作家さんの作品を買っているらしい。お久しぶりです〜なんていいながら、今年も買っていた。

そんな作り手と使い手の交流の場がこれからもずっと続くといいなと思いつつ、来年のカレンダーを見つめるのだった。


来年もこの時期に帰りたいねえ



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