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鶏肉好きなそこのあなたに捧ぐ〜バスク風鶏の煮込み(poulet basquaise)

うちのOtto氏に、「肉でいったらどの肉が好き?」と尋ねれば、問答無用で「Poulet」。鶏だ。鶏の食べ過ぎでそのうち鶏にトランスフォームするんじゃないかはっはっはっ、と冗談をかますくらい、無類の鶏好きだ。

ということで生誕祭のディナー、メインは鶏で決まり。至極シンプル。

ただ、鶏といっても東は唐揚げから西はケンタッキーまで、調理方法は幅広い。さあここが個性の出しどころ。

Otto氏の好きな地域、かつ鶏の名物料理があるところはさあどこだ?3分くらい考えてみたらひらめいた。そうだバスクだバ・ス・ク!

バスク地方は、フランスとスペインとの大西洋側の国境地帯。フランス側だとビアリッツ、バイヨンヌにサン=ジャン=ド=リュズ、少し車を飛ばして国境を超えれば、日本でも有名なスペイン美食の街サン=セバスチャンや、グッゲンハイム美術館で名高いビルバオなんかもある。

我々は私がフランス駐在中も何度か、そして2018〜2019の遠距離別居生活の間も、私が日本的サラリーマンとしてあるまじき2週間まるっとバカンスをとって渡仏し、一緒にバスクを旅した思い出がある。

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大西洋を望むビーチ。今年はさすがにこの光景は見られないだろうなあ


というわけで、生誕祭ディナーのメインはOtto氏のスキ×スキ=鶏のバスク風煮込み(poulet basquaise)に決めた。

インターネットで「poulet basquaise」と検索すると、あまたのレシピが転がっているけれど、ぱっと見、どれもそんなに代わり映えしない。レシピから想像する味も大体似通っているのでつまらないなあと思っていたところに、フランスで知らない人はおそらくいないCyril Lignac(シリル・リニャック)氏 のレシピを発見した。

これは外出禁止期間中、フランス民放チェーンM6にて、平日の夕方毎日放映されていた爆笑系料理番組「Tous en cuisine(みんなで料理)」で彼が披露したレシピ。

何が爆笑かって説明してもわかりづらいかな…と思って日本語のページをgoogle検索してみたら、こんなニュースがyahooであがっていた。タイトルに(笑)がついていることから想像してほしい。

これが毎日、ゲストをとっかえひっかえ、そこに一般人も交えてのリモートで楽しいおうちクッキングが繰り広げられる。ぶっつけ企画という感じだけど、外出禁止になってからすぐに始まったフットワークの軽さと、料理をテーマに据えるところがさすが食文化大国フランスだなあと、感心しながら毎日楽しませてもらった。外出制限解除とともに、惜しまれつつも先月中旬で終わってしまったけれど。

だいぶレシピを改変したけど、シリルと一緒に料理している気で、作ってみた。

【本体の材料】(2〜3人分)

・鶏肉;部位はお好みで大丈夫。骨付きだと豪華に見える。Otto氏が骨なしがよいとのたもうたので、今回我が家では鶏もも2枚とささみ数本で調理。

・玉ねぎ;みじん切り1/2個分

・にんにく;芯をとって、みじん切り1かけ分

・白ワイン;100ccくらい。お安い物で十分

・赤パプリカ、黄パプリカ;1つずつ。種を取って薄切りに

・完熟トマト;大きめ1つ。細かく砕く

・Piment d’Espelette(バスクの唐辛子);様子見で3つまみくらい。はて日本に売ってるのかなと思って調べたら、GABAN様が発売している模様

・イタリアンパセリ;飾り用。緑がないので重要

・オリーブオイル、塩胡椒

【ソースの材料】

・チョリソ;100g(薄切りで20枚くらい?)。細かく切る

・生クリーム;70ccくらい

・ブイヨン;100cc

・白ワイン;ひとかけ(あってもなくても)

・バター;30gくらい。小さな正方形に切っておく

【作り方】

まずは本体から。

1、塩胡椒で軽く下味をつけた鶏肉をソテーして、焦げ目をつける。カリッと焦げ目がついたら、一度バットによけておく。

2、鍋を一度拭いて余計な油をとってから、オリーブオイルでみじん切り香味野菜たち(玉ねぎ、にんにく)を焦がさないようにして炒める。

3、しんなりしてきたらパプリカを入れて、Piment d’Espelette、塩胡椒で味つけ。

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これがPiment d'Espelette。買わなくてもうちにあった

4、白ワインを加えて、鍋底をこそげとる感じで混ぜて、5、6分煮込んで水分をとばす。

5、細かく砕いたトマトとバットで休んでいる鶏肉を加えて、15分くらい煮込む。

次にソースの作り方。

(本当は本体を煮込んでいる間に取り組みたいところ。我が家は火元が一口しかない(!)ので、本体ができないとこちらに取りかかれないという悲しいお話。)

1、ブイヨンとクリームと白ワインを火にかける。

2、1/3量くらいのチョリソを加えて、10分くらい煮込む。

3、バターを加えて、漉し器で漉す。

4、漉した残りのチョリソとそもそも使っていないチョリソは、本体に加えてOK。

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そこらじゅうに立ち込めるいい匂いだけで、料理に使った白ワインが進む(え)

【仕上げ】

1、ソースを丸く皿に広げる。

2、その上に本体の鶏肉以外の具をバランス良く並べる。

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ソースを真ん中に置き、スプーンの背でくるくるして、「っぽく」する

3、さらにその上に鶏肉を立体的に並べる。

4、パセリの緑で彩りを加えて、パプリカパウダーをちょこっとふって完成。パプリカパウダーは仕上げにはらりとふりかけるだけで何だか急におしゃれ感が出るので、持っていて損はないと思う。

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これに合わせるお供は、ソースがよく絡みやすいパラッパラの細長いお米、Riz basmatiなのだが、普通に日本の白米でもいいと思う。ちなみにピリ辛なので、辛いもの好きなOtto氏は大変喜んでいた。美味しいけど、まだ改良の余地はありそうなので、また作ってみてアップデートしたいと思う。

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この日は33度!赤は食指が動かなかったので、白のビオをチョイス

今回の盛り付けのポイントは、ソースの黄色い絨毯と鶏肉の立体感だろうか。パセリも大事。夏場の、こういう元気いっぱい系料理には、上品なちりちりパセリより、平たいイタリアンパセリの方が野性味が出ていいなと、個人的に好んで使っている。


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2020年下半期の目標;鶏肉1羽、まるっとさばけるようになりたい


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