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『8番のりば』のゲームデザイン

※『8番のりば』は事前情報無しでのプレイを推奨します※


8番のりば、さっそくプレイしました。

8番出口を作成したコタケクリエイトさんの作品で、8番出口の正統な続編にあたります。

8番出口が出てかなり話題になった後、8番出口ライクと呼ばれるフォロワー作品がたくさん登場しました。

私も、8番出口ライクのゲームは9番ホームをプレイしたことがあります。

そんな中、とうとう8番出口の正統な続編が出たという事で、さっそくプレイしました。

当記事では、前作との違いに焦点を当てつつ、ゲームデザインにも注目しながら感想を述べます。

おじさんも、ちゃんといます

■前作との違い

・少しマイルドになり、その分ホラー色が強くなった

前作では、「異変があったら引き返す、異変が無かったら先に進む」というルールで、ゴールである8番出口を目指す、というものでした。

まさに、後に8番出口ライクと呼ばれるフォロワー作品群を生み出す事になる斬新なゲームデザインだったと思います。

今回の8番のりばは、それよりも少しマイルドなルールになり、その分ホラー色が強くなったゲームデザインになっていると感じました。


・マイルドになった点「基本的には引き返さなくて良くなった」

マイルドになった点というのが、異変があってもなくても基本的には引き返さない(引き返せない)、という点です。

異変の種類にも因りますが、本作では基本的には前の車両には引き返えせない仕様になっており、裏を返せば
「引き返すという選択肢がない≒引き返さなくて良い」
という意味になります。

前作では、

「異変があるかどうか分からない状態で、異変があるかどうかを探す、もしかしたら異変があるかもしれないし無いかもしれない」

という状況の中でゲームを進める事になっており、

それが、良い意味でも悪い意味でも精神力が試されるゲームだった、と個人的には思います。

本作では、引き返すという選択肢が無くなった点で、前作よりマイルドになった、と考えています。

引き返す方向のドアは基本的に開かない

・ゲーム性に繋がるホラー要素の強化

では、マイルドになった分、ゲーム性が薄まったのか、というとそうではありません。

そこが、少し前述もしているホラー要素の強化です。

前作の「異変があるかどうか分からない状態で、異変があるかどうかを探す、もしかしたら異変があるかもしれないし無いかもしれない」というゲーム性を無くした分、本作では、下記の3点がゲーム性の肝になっている、と思います。

①異変のクリア条件を見つける
②異変を振り切れなかった場合、振り出しに戻る
③純粋なホラーとしての異変

①異変のクリア条件を見つける
基本的にはなにかしらの異変があり、その異変ごとのクリア条件を満たす事で先に進める、というルールで進んでいきます。
クリア条件は様々で、車内にヒントが隠されているものから、ある程度自分で推測しなければならないものまで、様々です。

電光掲示板に表示されるヒント

②異変を振り切れなかった場合、振り出しに戻る
異変の種類には、有害な異変と無害な異変があり、有害な異変を回避できなかった場合、振り出しに戻ります
そういったリスキーな面が、本作のゲーム性に繋がっていると考えています。

有害な異変

③純粋なホラーとしての異変
また、異変の種類のうち、無害な異変では、ホラー要素こそあれど得に障害にはならずに先に進む事が出来ますが、純粋にホラーとして怖いです。
初見では結構びっくりします。

無害な異変

■ゲーム内広告

8番のりば制作時、作者のコタケクリエイトさんはゲーム内広告を募集していました。

本作では、本当に実在している企業や組織、商品の広告がゲーム内で掲載されていました。なかには誰もが知っているような有名なものまでありました。

良く実現出来たな、と思います。これも前作8番出口のヒットによる恩恵でしょうか。

そういったゲーム内広告も、本作の注目ポイントの一つです。


■最後に

8番のりば、とても面白かったです。

8番出口ライクと呼ばれる作品群が割拠するなかで、本家本元として8番出口の続編を出す、というのはもしかしたらプレッシャーのかかる制作活動だったのではないでしょうか。

その上で、どういった切り口になるのだろうとは思いましたが、前作とはルールを変えて、なおかつゲームとしてとても楽しい作品でした。

そして、作者であるコタケクリエイトさんは、「これで8番シリーズは終わり」と下記のポストで宣言しています。

8番シリーズがこれで終わりというのは少し寂しくもありますが、無理に続編を出すよりは良いですし、また違った切り口の作品に触れられるという意味では楽しみでもあります。

むしろ、「8番出口ライク」という新たなジャンルを生み出すくらいインディーゲームに影響を与えた作品であるため、シリーズとしてはもう充分すぎるくらいの活躍をした、とも思います。

コタケクリエイトさんの今後の作品にも注目です。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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