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セールスフォース訴えた発達障害シングルマザー、それでも尋問に辿り着けず非公表の和解に

本日、Pulmoさん裁判が9月22日東京地裁で和解成立したことを、Pulmoさん本人がホームページで発表しました。

和解内容には口外禁止条項が入っており、申し訳ありませんが
訴訟・和解の経緯と内容については公開することができません。
訴訟をはじめてからずっと、応援してくださった方々、傍聴支援に来てくださった方々、
報道してくださったメディア、障害者の権利擁護団体の方々、
多くの皆様のご支援や励ましがあったおかげで最後まで前向きに取り組むことができました。
合理的配慮を求めることは個人のわがままではなく、
ましてや「かわいそうだから配慮してあげる」というものでもありません。
合理的配慮は障害を持つ労働者にとっては、社会の側にある障壁をとりはらい、
自身の能力を活かすために必要不可欠なものです。
本訴訟を通して、合理的配慮の問題について私自身、
たくさんのことを学ばせていただく機会となりました。
また、多くの方に障害を持つ労働者に関わる問題について
知っていただけ、とても嬉しく思っております。
長い間のご支援、本当にありがとうございました。

原告からのご報告

証人尋問が開かれず非公表の和解で終わったのは、大きな課題です。そうなった社会構造的な部分にも向き合っていく考えです。
Pulmoさんや裁判の経過で出会った全ての人と対話してきたことを思い返しながら、Pulmoさんの残した思いを引き継ぐ存在が必要だと思っています。
Pulmoさん裁判を支援した障害者団体関係者により、国連のビジネスと人権部会の調査にも持ち込まれ「障害者が職場での差別や低賃金、支援システムを通じた適切なサポートへのアクセス困難にさらされているという、懸念すべき事例を耳にした」という文で声明に反映されることになりました。
グローバルスタンダードでは係争段階で判決が出ていなくても「障害者が職場での差別や適切なサポートへのアクセス困難にさらされている懸念すべき事例」とされます。
日本の企業や就労支援者や法律家は、国連の声明が示すようなグローバルスタンダードの厳しい見方を受け止めよ、というメッセージを出したい。
被告であるセールスフォース・ジャパンは、外資系のIT企業でした。歴史的にも米系企業の一部で行われてきたような、アグレッシブな解雇・雇い止めをいとわない雇用慣行、極端な能力主義・成果主義の環境で、健常者も追い詰められているが、障害者はもっと深刻に脅かされている。障害者雇用にある、合理的配慮、定着支援(相談支援)、法定雇用率、そのどれもが守られませんでした。こうした企業がもてはやされることに筆者は警鐘を鳴らしています。
裁判の経緯から、退職勧奨時に示された給与3か月分のガーデンリーブ(約105万円)よりは高い水準の和解金で決着したとみられます。ですが会社側は「裁判所に言われ、金を払って終わらせた」だけで、ハラスメント対策や合理的配慮の不備への改善姿勢も不透明で、本質は何も変わっていないのではないでしょうか。
問題の背景や原因は、急激な増員で障害者雇用率の大幅未達が続き障害者の大量採用に追われ、上司の理解がないまま原告の採用が行われ、上司に研修しても改善がみられなかったこと、ハラスメント相談体制の機能不全にありました。原告が退職勧奨された2020年には責任者が法律で罰則もあり情報公開の対象になる雇用数報告すら怠っていた。被告会社はその後雇用率を達成しましたが、裁判に至った根本部分は解決されたといえません。

裁判所に提出されることになった、被告会社の障害者雇用率データ

2人目の提訴もあり、ハラスメント相談窓口が機能していない実態が改めて浮上しました。ハラスメントを訴えた方が解雇や雇い止めされることが続いています。会社側に改善姿勢は見られず、再発の可能性は高いと言わざるをえません。

被告会社に対し、和解の存在があったかどうか、国連の訪日調査で問い合わせがあったかどうか、回答を求めたが、2日時点で回答はありませんでした。

和解での口外禁止条項により、双方の事件当事者や代理人は訴訟・和解の経緯や内容について、公の場でコメントすることはできません。筆者は今後、別の方法を通して、改めて実態を解明していく考えです。

(11月27日訂正)「退職勧奨時に示された3か月分のパッケージ」としていましたが、「退職勧奨時に示された給与3か月分のガーデンリーブ」に訂正しました。

【情報提供の呼びかけ】
セールスフォースにおける障害のある社員の体験(一般雇用・障害者雇用問わず)やハラスメント相談窓口がどのようなものだったか、ご見識、ご意見がありましたら、ぜひお聞かせください。些細なことでも、「記事や投稿にはしてほしくないが、伝えたい」という形でもお受けします。情報提供者保護を強化しています。リンクトインまたはメールアドレス(hasets2015@gmail.com)にまでお願いします。
またセールスフォースに限らず、障害がありながら働いた体験、障害のある人と働いた体験、不当解雇・雇い止めの体験についても、知見をお聞かせください。


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