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誰の何のための展示会?

前回、展示会の話題を出しましたが、今回は展示会出展の”在り方”について考えてみました。展示会への出展に直接は携わることの無い人でも、自社のサービスはどのように設計するべきか、という観点でお読みいただければと思いますので、よろしくお願いします。

展示会に出展する目的

企業が展示会に出展するにあたって検討すべき事項を下図のようにTech Structureを用いて整理してみました。
※ Tech Structureについての説明はこちら:
https://note.com/yugo_chikata/n/n81e835e53811

図1

図の右側の黒字部分には、展示会に出展する際に必要となる項目を記載しています。展示会を構成する要素として、今回は「人員」、「レイアウト設計」、「準備物」に関する各項目を取り上げました。

そして、これらがなぜ必要なのかを考えると、「自社に興味をもってもらう」、「自社について理解してもらう・好意をもってもらう」、「来場者の情報を獲得する」といった目的があるからだと整理することができました。これらが満たされることで、「新しい顧客を獲得したい」という上位の目的を果たすことができると考えられます。
なお、企業が展示会に出展する際には、「新しい顧客を獲得したい」以外にも、「出展実績を作りたい」、「既存顧客との接点を保ちたい」など、他の目的を設定しているケースも想定されますが、これは、中身の検討をしなくても、出展すること自体で達成できる目的だと思いますので、今回は深く考察しないことにしました。

さて、実際に展示会に出展している各社は、こちらの内容をベースとしつつ、その中でもどこに力を入れるのかをそれぞれ工夫されていると思います。商談スペースを用意して来場者に濃い話や製品説明ができるようにしている企業もありますし、逆に、呼び込みの人がその場でお土産を渡す代わりに来場者の情報をもらい、ブース内で展示内容の説明は一切しない企業もあったりします。

図2

このように、何を目的として臨むかによって、準備すべきものや取るべきスタンスは変わってきます。また、効果を最大化するためには、目的に対する認識を各関係者に浸透させ、目的に沿って各自が最適な動き方をできるようにする必要があるでしょう。何事においても、目的を明確化することが一番重要です。私の個人的な感想ですが、色々な出展ブースを周っていると、これが意外とできておらず、なんとなくで対応してしまっている企業が多く見受けられるような気がしています。

・・・と、ここまでの話でお気づきの方がいれば嬉しいのですが、実は、上記で話している目的というのは、全て出展社側の都合で考えられています。本来、展示会出展(サービス)は、来場者(顧客)にも価値を提供すべきものではないでしょうか。

という訳で、次は視座を変え、来場者の目線で目的を考えてみましょう。

来場者目線で考えた目的

来場者が展示会に足を運ぶ目的は、大きくは以下の3つがあると思います。

① 目当ての製品・企業について詳しく知りたい
② 今ある困り事の解決策を見つけたい
③ 業界動向を把握したい

このうち①については、担当者による解説や実際の展示物が重要になるでしょう。一方で、②や③については、展示内容そのものよりも、広報やアピールの方法が重要になります。なぜならば、来場者は自身の興味の対象がどこにあるかをまだ知らないからです。

図3

「候補となる製品・企業を的確に知りたい」という来場者は、自身の必要とする技術を具体的にはまだ把握できておらず、課題の解決策という視野で良いものが無いかを探しています。また、「各社の取り組みを手軽に把握したい」という来場者も、技術の詳細よりも、展示されている製品や技術がどのようなことに使えるのか、すなわち、どのような課題を解決できるのか、といったことの方に大きな興味を持つのではないでしょうか。有効な広報やアピールをするためには、製品や技術が解決できる課題や市場ニーズを伝えることがとても重要です。製品の展示に加えて、広報・アピールがうまくできれば、来場者の満足度を格段に上げることができるでしょう。

来場者の目線で考えると、当初考えていたこと違う気付きが生まれてきました。展示会の場合に限らず、自分たちの製品やサービスの魅せ方を考える際には、誰のためにするのか、何のためにするのか、といったことを是非一度整理してみてください。


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