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ラッパー物語 -GARDEN-3"お金とおかげ"

この物語はフィクションです。登場する人物、団体名は実在の物とは関係ありません。

第1話 スパニッシュバルのケイさん

カランコロンカラ〜ン

カランコロンカラ〜ン

「いらっしゃいませ〜…おぉ!帰って来たか!
おかえり!」

「ただいまっす!ケイさん元気にしてましたか?」

「元気にやってますよ〜ニューヨークどうだった?」

「いや〜いろいろあったけど、楽しかったっス!
良い経験ができました!」

「そうか、そうか、それは良かったじゃないですか〜、何か呑む?」

「あっ?じゃあ生ください!ケイさんの分も!」

「あいよ〜!」

3月彼はニューヨークでのライブを終え、興奮の覚めやまない中、2週間の旅から帰って来た。

ニューヨーク行きが決まる前、彼が東京の語学学校の為に上京してから、何かとお世話をしてくれていたスパニッシュバルのケイさんの元に帰国後の報告も兼ねて挨拶に来ていたのだ。


「どれくらい行ってたの?」

「ちょうど、2週間っスね!」

「何して来たんすか?」

「そうっすねー……

まずは、
ニューヨークとニューアークを勘違いした所に戻そう。

エバからホストファミリーを紹介してもらった初日、彼は東京で知り合った知人の紹介で、ニューヨークでDJをしていた日本人に招待されたPartyに遊びに行く予定を立てていた。

まさか、ニューヨークとニューアークがこんなに離れているとは知らず、内心焦りを隠せなかった。

彼はエバにスマホの翻訳サイトを使って変換した英語を読んでもらった。
彼はその内容をホストファミリーにも伝え、
家の主のマイクと、友人のスゥーフを連れて4人で、ペンステーションを経由して会場に向かう段取りを組んだ。

すぐに身支度を済ませて、さっき降りてきたニューアークの駅からニューヨーク行きの鉄道に乗りこんだ。忙しく乗り込んだ鉄道だったが、この鉄道もまた映画の中にいる様な不思議な感覚があった。
日本で乗った事がある電車とは1.5倍も2倍もデカク感じたこの鉄道に揺られニューヨークに着いた。
念願のニューヨークだ。
ドアが開くのが待ちきれないぐらい嬉しかった。
駅の改札を抜けてマディソンスクエアガーデンが併設されたペンステーションを抜けるとマンハッタンのど真ん中。映画で観た景色が視界いっぱいに広がった。

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10,077字
このマガジンは僕の処女作の短編小説です。最初で最後になるかも知れませんが気持ちのこもった作品です。ご愛読いただければ幸いです。

ラップをする青年の夢と葛藤を描いた短編小説。

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