シーユーレイター・アリゲーター
地下は薄暗く、足元は湿った土でぬかるんでいた。
メキシコとの国境に壁がある。その壁の下に溝を掘りワニを棲ませるという。「我が国をもう一度偉大に」と掲げるかの大統領が突飛なことをするのはこれが初めてではないが、そこにはいつだって前例があった。もう一度、と嘯くからには過去に倣う。それが大統領の考え方だった。
ワニの飼育費用の見積まで指示しているこの政策は一体どこに前例があったのか。自国にそんなものはない。かの国は敵から学んだのだ。
宇宙開発の時代。冷たい戦争。東西の陣営が分