空港ーポートランド 初めてのアメリカ車旅
3年前の今日よりアメリカ旅が始まった。と、さっき知ったので、このコラムを再開しようと思う。思い出したのは、その旅で手に入れた小さな小さなアクアマリンが落ちているのを見つけたから。
3月の誕生石。当時この石は、アトリエに来てくださった方のプレゼントにしていた。
石の入っていた器を落としてしまったときに、その一粒だけすみっこに入り拾い忘れたみたい。
突然の思い出との再会に、アメリカ旅はこのアクアマリンのような澄んだ空の日から始まった情景が、目の奥で広がった。ポートランドの陽射しがやたら優しかったこと、空港の雰囲気やスタッフの印象がやわらかかったこと。
思い出の彼方に行ってしまう前に再び。
飛行機が斜めに着陸態勢をとると、眼下には大きな川と農村が広がっていた。低い稜線と緑と、町の細やかな屋根の絨毯のような世界の奥に、とんがり大きな雪山が一峰、どしんと居座っていた。フッド山だろうか。
空港は「ポートの町ポートランド」的なことが書いてあって、いきなり微笑ましかった。明るくも決して大きくはない空港、前には空手少年の集団がいて、緊張している。大会があるとのこと。
時刻は午前10時頃だった。
入国審査は和やかに行われた。スタッフがあたたかい。審査のブースが夫と別だったのだが「ああ、あんたら夫婦ね」という感じの会話と笑顔で、夫婦それぞれと接してくれた。そんなに喋れないので半分イメージなのだけど。
さあ、喋れないのに、ここからレンタカーの手配だ。
レンタカーは事前に代理店に手配してもらっていた。最安値で13日ほど借りただろうか。コンパクトカーを希望し、ナビを取り外さなきゃいけないルールも頭に入れていた。
ところが。滞りない現地の方の後にカウンターにつくと、そのナビの取り外しは面倒だと、そんなようなことを言われる。そしてすでに用意した車はナビが付いていて、そのために1日あたり15ドル追加ねとか言っている。
いや、取り外しでいいんだけどと言うようなことを伝えられたかわからないが、そう、初めての旅。15ドルくらいいいかとなってしまうのです。
(13日だぞ、いいのかーという感じなのだけどね、レートもよくなかったしね。)
まあでも、正直安全性の方を守りたいし(ナビが外せると盗まれる危険性がある)、相当距離を乗るのは先方もわかっているので、セダンのいい車を勧めてきて、当然でしょという顔をしている。
レンタカーを借りる際、多分欧米では、アジア人はこの交渉は必ずあるのではないでしょうか。
ノーと言ってもいいけれど、大きい車、確かに乗り心地よく安全で最高だった。ので、ここは狭い車を選ばなくてよかったと今も安堵している。
車種はニッサン、マキシマだった。
マキシマよかったぁ。日産かー、フォードとか乗ってみたかったなと思ったけれど、日本にはない良き車。革の内装のゆったりした真っ黒のセダン。この子との別れがつらくなるくらい、乗っていてどんどん好きになってゆく。
レンタカー事務所では宿泊先のホテル名を聞かれる。安全面のためだろう。(そう、アメリカ入国はESTAという事前申請がいる。この手続きはネットで個人で行うのだが、わたしたちは2時間くらいかかってしまった。30分でできるって書いてあるけれど無理)
わたしたちは目的地を定めていたので、宿はポートランドではなくけっこう先のユージーン。バレーリバーインというホテルです。
このValley River Innの発音がねーもう。なかなか伝わらなかったことを書いておく。ヴァレイゥリィヴァーゥリィン。
そこに行く前に立ち寄るところがそう、念願のスタンド・バイ・ミーロケ地、いや聖地、ブラウンズビル。
10時とはいえ初めての海外車旅。余裕があるわけではないけれど、ブラウンズビルの前にまた行きたいところがあった。ポートランド本店のコロンビア。
よくよく調べると駐車場の定かでない街中より、郊外のアウトレットの方が車では良さそうと判断、街には寄らずに先を目指すことに。
駐車場から自分たちで車をピックし(番号が書いてあるところに自分たちで行くだけ。案内ないの。。不安)、さあ、とうとう右側通行の始まりだ。
旦那、ものすごい前傾姿勢になっていた。そして当然ウィンカーを出すときに、ワイパーがウィンウィン何度も動いた。