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アイドルとファンとのトラブル

<参考資料>
日本加除出版「地下アイドルの法律相談」
深井剛志・姫乃たま・西島大介/著 
https://idol-horitsu.com

深井剛志 X アカウント @TSUYOSHIFUKAI
https://x.com/tsuyoshifukai

寺嶋由芙 Xアカウント
@yufu_0708
https://twitter.com/yufu_0708


寺嶋 Podcast「アイドルと法律」!
この番組では、ソロアイドル11年目、フリーランスのアイドルとして働く、ゆっふぃーこと寺嶋由芙が、アイドルの労働問題に詳しい弁護士としてご活躍の深井剛志先生から、アイドルが知っておくべき法律を学びます。
日本加除出版株式会社から発売されている「地下アイドルの法律相談」著者でもある深井先生が、働くアイドルゆっふぃーに、アイドルが直面しがちな労働問題を、わかりやすく説明してくれます。

整えよう、あなたの推しの労働環境!

というわけで、皆様よろしくお願いします。古き良き時代から来ました!まじめなアイドル、まじめにアイドル!ゆっふぃーこと寺嶋由芙と、

深井 弁護士の深井剛志です。よろしくお願いします。

寺嶋 今日はですね、テーマが今までとちょっと違うんです。今まではアイドルさんが運営さん、マネジメント会社とかとトラブルになってしまった時どうしたらいいかっていう話をずっとしてきたわけなんですけど、今回はファンとのトラブルというテーマでお話していきます。

深井 はい。

寺嶋 聞いてて悲しい気持ちになる人がいたらごめんね、ヲタクの人。みんなのことじゃないからね。と言いつつ、でも事例として実際あるので、ちょっと紹介していきながら、こんなことが起きたら怖いし、改善していこうねっていう話ができたらいいなと思ってるんですけど。

深井 はい。

寺嶋 どんなものがありますか。ファンとのトラブル例。

深井 そうですね。やっぱりちょっとファンが近過ぎたということで、すごくパーソナルスペースと言いますかね、私的空間に入ってしまうというか。自宅を突き止められたっていうケースは1件ぐらい相談受けたことありますかね。自宅を突き止められて、そこに「今から行くよ」みたいなDMが来たとか。

寺嶋 ダメだよ!!!

深井 うん。それはね、1回ありましたね。ただ、来なかったですけど。

寺嶋 でも、怖いですね。

深井 うん。だから、ちょっとそれだとね、僕にも警備の能力はないので、もう警察に相談するようにって言いましたけれども、それは1回だけあったかな。ファンとのトラブルで。

寺嶋 それはいきなり怖いのが来たぞ。

深井 あとはどうですかね、これは正式な相談として聞いたっていうよりは、アイドルの方と雑談とか、そういうことで話してる時に、例えばチェキ撮る時とかになんか説教されるとかね。

寺嶋 そういうものも、そっか、トラブルか。

深井 うん。ちょっと嫌なこと言われるとかっていうことは度々聞いたりしますね。だから、それは別になんか法的にどうこうしようっていうつもりはないんでしょうけど、そういうもの。あとは、水着の撮影会をしてる時に、すごくなんかやらしいポーズを要求されたっていう例もあったかな。

寺嶋 その撮影会とかって、1対1なんですかね。マネージャーさんとかいないのかな。

深井 これはいるんじゃないんですか。

寺嶋 マネージャーさんがいても、卑猥なポーズとかを要求するのかな。

深井 撮影会は、形式としてはちょっと詳しくは聞いてないけど、一般的には、ポーズを撮ってるのを、他のファンの皆さんが写真を撮る。だから1対1じゃないんじゃないですか。

寺嶋 ファンも大勢いるのか。

深井 じゃないの?

寺嶋 みんなで撮ってる中で、なんか「もっとこんなことして」とか言われるの?

深井 かなと思いますけど。ちょっと撮影会も僕、文化を知らないので。

寺嶋 私もちょっとやったことはないんですが。なんか勝手に想像したのは、1対1の空間で撮影とかしてる時に、そういうことされたら、ちょっと逃げづらいなと思ったけど。でもそっか。集団でやってる時に、集団心理というか、気が大きくなって、要求が大きくなっていっちゃう人とかもいるのかな。

深井 うん。

寺嶋 ふーん。

深井 でもそうですね、さすがに1対1でもスタッフはいるんじゃないんですかね。

寺嶋 いてほしいですよね。

深井 その撮影会を企画したねスタッフがいるわけじゃないですか。その企画した団体がいるわけですよね。なんとか雑誌のなんとか水着撮影会みたいな。

寺嶋 そっか。

深井 それだったら、さすがにスタッフいると思うんで。全くファンと1対1の空間ってことはあんまりないんじゃないかなと思いますけど。

寺嶋 そう信じたいです。

深井 そういったケースだから、それはファンとのセクハラの問題、暴言の問題、あとはちょっとSNS上でのトラブルはありましたかね。

寺嶋 なるほど。最初のその、自宅を特定して「行くよ」とか言っちゃうのは、もうそれはストーカーの規制法とかになりえますよね。

深井 それはね、そのあとちょっとどうなったのか、僕は報告受けてないんで知らないんですけど、

寺嶋 そこまでいったら警察に相談…?

深井 ということはちゃんと伝えておきました。

寺嶋 それで、例えば引っ越さなきゃいけなくなっちゃったりしたら、損害賠償請求ってできるんですか?

深井 うん、できるとは思いますけどね。ただ、おそらくそういうケースって、あんまりもう関わり合いたくないからっていうことでわざわざ請求するってことはあんましないんじゃないかなと思いますけど。

寺嶋 ほんと「やられ損なんだよな」って思っちゃいますけど。うん、確かにそれはすごく迷惑で。あと、特典会中に説教される?

深井 うん。なんかそれよく聞きますよ。「今日のあの衣装はここがダメだった」と。

寺嶋 そんなの衣装さんに言ってくれ_(:3」∠)_

「今日の歌はここがダメだった」。

寺嶋 それはごめん(´°ω°` )

深井 「踊りがどうだった」とかね。なんかそういうことを言われるってことは、アイドルさん言ってましたね。

寺嶋 私、あんまり言われないな。これはね、笑い事じゃなくて。相手を見て言ってますよ。

深井 うん、そうでしょうね。

寺嶋 私は、ダメ出しはしてもらったらありがたいと思うタイプではあるけど、でも、されないっていうのは、多分、「こんなことわざわざ言わなくてもいい」って信頼してくれてる人が多かったり、そんなこと言う前に去っていく人がいたりとか、なんかもうちょっとコミュニケーションが別の方法で成り立ってるっていうのもあるし。もう1個は、そういうこと言われて、私がしおしおってならないタイプだから、それで言いづらいんだろうなっていう…気が強いとも違うんですけど、なんでしょうね。自分が(嫌なことを)言われないタイプだということはわりと気が付いてきてます。

深井 うん。ハラスメントってやっぱり相手見てやるので、加害者ってのは。だから、どんな職場であっても被害に遭いやすい人とそうじゃない人ってやっぱりいて。で、それはやっぱりアイドルさんでもあるんじゃないですかね。「この子だったらおとなしく聞いてるだろう」みたいな感じで。そういう人にだけ言うとかね。

寺嶋 私に対しては普通に特典会で楽しく話をしてくれてた人が、他のアイドルさんに対してかなりちょっときつい下ネタを言ったり、セクハラをしてたっていうのを知った時は結構ショックでした。私は、普通に話をしてたというか、むしろシャイな方だなと思ってやり取りをしてた人が、なんかのタイミングで、共通のヲタクが通ってるっていうことで…よくアイドル同士でヲタクの話するんですよ。「あの人こうだよね」とか「今日来てるかね」とか言った時に、「いや、ちょっと私あの人にこういうことされちゃって辛くて」っていうのを聞いて。途中まで聞いて、「え。あの人のことじゃない?」ってなって。「私そんなこと1回もされたことないよ」って言ったら、私だけされてなかった、みたいなことが判明し。多分、私にやったら何かしらの…怒ったりとか、そういう態度を取るだろうって踏んで、私にはそういうことしなかったのかなって思うと、優しそうな子とか気が弱い子とかがターゲットにされてるんだとしたら、すごい嫌だなって思ったんです。

深井 それはあれなんじゃなくてですか。寺嶋さんがいた事務所が大きめの事務所だから

寺嶋 そういうのもあるのかな〜?

深井 対応する事務所だということでだったのかな。それは関係ないかな。

寺嶋 そのアイドルちゃんの事務所がちっちゃいかって言うとそうじゃなかった気もするし。わかんないですけど、なんかそういう話があって結構ショックだったのは、もう何年も前ですけど覚えてるし…私の特典会をいつもやってくれてたスタッフさんが、たまたま別のアイドルちゃんの特典会を担当したことがあって、ほんとたまたま。そしたら、その子が結構どのお客さんからもきついこと言われてたんですよ。「寺嶋さんのところでこんなの見たことない」って言って、すごく怒ってて、そのスタッフさんが。やっぱそれも、その子がすごい優しい子だからそうなっちゃうのかなって思ったんですよね。で、そのスタッフさんはもうとにかくびっくりしてて、「寺嶋さん、平和だね」って言われた。

深井 なるほどね。ただ、そこでちゃんとスタッフが問題意識持って対応しようとしてくれてるのはすごくいい。

寺嶋 そう。なんか「怒っちゃった」って言ってましたけど、その人は。どんな怒り方をしたのか知らないですけど。でも、その子にいつもついてるスタッフさんは、それが問題だと思ってなかった可能性もあるじゃないですか。だから、その特典会に並んでるファンの人も、「このくらいなら許される」と思ってやってたことが、違うとこからヘルプに行ったスタッフさんからしたら、もうびっくりするぐらいひどいことだったっていうのは、やっぱよそを知らないと気がつけないことかもしれないですよね。

深井 その話聞いて、ちょっと思い出した案件があって。よく、オフ会ってあるじゃないですか。アイドルとそのファンたちが。カフェとかで食事できるっていう。で、その時に、スタッフも、マネージャーとかね、振付師さんとかそういう…

寺嶋 チームの皆さんが?

深井 なんて言うんだろうね、チームの皆さんでいいのかな。そういう方々も参加できるオフ会があったところですね。

寺嶋 大所帯ですね。

深井 うん。で、その時に、振付師さんなのかな、スタッフの誰かが、よくターゲットにされるそのメンバーをちょっといじったらしくて。そしたら、そのいじりを見て、ファンの人たちもそのアイドルをいじるようになってしまう。要は、スタッフ側が、アイドルをいじるっていうか、ちょっときついこというのを誘発させたというか、煽ったというか、そういう感じになっちゃってて、で、結果、いじられキャラみたいな風になってしまって、すごく嫌なんですっていう相談をされたことありますけど。だからスタッフは、本来、さっき寺嶋さんが言ったみたいな対応すべきなんですよね。

寺嶋 本当、そう思います。

深井 怒るべき。ましてや自分から煽ってそういう空気作るなんて、もう言語道断なわけですよね。

寺嶋 でも、いますよね。そうやってファンの方々と仲良くなった方が、スタッフさんも…仲良くなるっていうか、親しみ持ってもらう方が現場がうまく回るっていうのはすごくあるんですよ。ファンの方が助けてくれることっていっぱいあるし。スタッフが顔が見える関係でいることによって、現場も緊張感がちゃんと持てると言うか。でもそれが逆にだれる原因になっちゃう時もあるから、気を付けないといけないなっていうのはすごく思ってるし、そこのバランス感覚があるスタッフさんについてもらえるといいですよね。

深井 あと、ファンとのトラブルで、この地下アイドルの法律相談で書いた事例は、パフォーマンス中のヤジですね。これ、どうなんですか。よくあるんですか。

寺嶋 なくはないですよね。

深井 そうなんだ。

寺嶋 でも、私は…ごめんなさい、「私はないです」ばっかりなんですけど、今日。私はあんまなくて。ちゃんとTPOに即した、ヤジじゃないですね、コール。「かわいいよ」とか名前呼んでくれたりとか、そういうので一緒に盛り上げてくれるから。アイドルってやっぱそういう文化があるので。アイドルが歌って終わりじゃなくて、みんながちゃんとコールをしたり手拍子をしたりして盛り上げてくれて、一体感が生まれて、ライブがより良いものになっていくから、黙って見てりゃいいってもんでもないんですけど、でも時にそのヤジっていうか、私がよくSNSとかで見て問題になってるのは、盛り上がるため、自分たちが楽しく盛り上がるために、物投げちゃったりとか。あとは、ライブに全然関係のないことを、仲間内ではしゃいで、ヲタクがやっちゃう。ライブに全然関係のない、自分たちの内輪の楽しいことを始めちゃって。そうするとアイドルも自分のライブ見てもらえない。なんか宴会みたいなことをヲタクがなぜかライブ中にしてるとか。で、それを見ながらライブをしなきゃいけないのって、結構やっぱり精神的に辛いし。で、その統率の取れてなさみたいなものが新規を遠ざけるじゃないですか。新しくそのグループを好きになりたい人が、「なんか前の方の人たちが怖いはしゃぎ方をしているから、ここはちょっと僕は通うのをやめよう」みたいな。アイドルの可能性も狭めちゃったりするし。犯罪じゃないにせよ、ちょっとそういう切度のない行為ってどうなのかなって私は思っちゃいますね。

深井 なんかそれでちょっと思い出したんですけど。うん。例えば、最前列でスマホをいじ…

寺嶋 最前管理問題ですね!!!

深井 うん。なんかそういう問題があるように聞いてるんですけど、その辺はどうです。

寺嶋 いや、めっちゃ嫌ですよ。めっちゃ嫌だけど。でも私は無視してます。だって無視するしかないし、基本は。

深井 運営側から注意されたりとか追い出されたりする人っているんですか。

寺嶋 いるのかもしれないけど、減らないですね。1番前の列を、なんかお金払ったら前に入れてあげるよみたいな感じで場所を売り買いしてる人がいたらしく、そういうのは多分運営は排除するんじゃないかと。

深井 それはダメだ。

寺嶋 そうそう、ダメなんだけど、そうじゃないにせよ、出番の子目当ての子が来るまでずっとあそこでスマホをいじり続けで、他のアイドルの時にも場所を譲らず、つまんなそうな顔してるっていうのは、まあいますよ。未だに私もされることぜんぜんあるけど、なんかそれを見ると結構心配になっちゃう。その人が。

深井 まあね、そうやって、露骨にね、人の嫌がるであろうことを、あえてできるね…

寺嶋 だからなんかそれは別の助けが必要かもってちょっと勝手に思っている。で、1回私TIFの時に1番前の人に水鉄砲をピュって当てたら、夏フェスだったんで水鉄砲持ってて、ヲタクにどんどん水鉄砲当ててたんですよ。それで最後はける前にぴゅって1番前の人に当てたら、それがたまたま最前管理でスマホ見てる人だったんです。で、なんの気なしにピュってやったのに、「ゆっふぃーが最前管理を成敗していった」みたいにバズっちゃって。あれ、わざとじゃないのにって!

深井 なるほど。

寺嶋 でもそれくらい、やっぱアイドル業界の中ではちょっと敵視されてる存在っていうか、最前管理が。ではありますね。だからなんか対策あればいいなと思うけど。でもチケットを買ってその場にいるっていうことはウソではないから。

深井 現場にね、そんなに行ったことないんで。2、3回ぐらいしか行ったことないんで、よくわかんないんですけど、席を固定とかはできないんだよね、ライブハウスって。

寺嶋 スタンディングだと席ないです。

深井 席っていう概念がない。

寺嶋 そうです。

深井 そもそもね。

寺嶋 だから、整理番号順に並んで、整理番号が良ければ前の方に行けるけど、それもルール守らないで走って順番抜かしてる人とかいるし、大きい会場だと特にいるし。で、そこで1番前固められちゃって、っていうのはありますね。

深井 で、いわゆる対バンだと、その、自分が推してるアイドルたちが来るまでずっとそこを占拠しちゃうと。

寺嶋 そうです。

深井 でも、そういう風になってないで、ちゃんと自分の推しじゃないときは譲るよとか、そういう統率が取れてる現場もある?

寺嶋 あるし、それが普通です。

深井 それが普通。

寺嶋 うん、そっちの方が多分多くて、対バン相手にリスペクトがあるヲタクの方がきっと多いから。「次なんとかちゃんなんで前へどうぞ」とかやりあってるらしいし。私の出番の前には、他の方がうちのオタクに譲ってくれるっていうこともいくらでもあるし、そういうありがたい話は。

深井 なるほどね。

寺嶋 だから普段はそんなに私は「最前管理だ( •᷄ὤ•᷅)」って思うことないけど、やっぱおっきなフェスとか行くとどうしてもそうで。

深井 どこまでね、排除っていうかね。この「地下アイドルと法律相談」の中にも書きましたけれども、主催者側が管理権をどこまで言えるのかっていう問題はありますけど、

寺嶋 その、最前管理の人が推してる子が、こまめに出てきたらいいのかな。

深井 こまめに?

寺嶋 「次のアイドルなんとかちゃんです!」ってやって、また地蔵になっている…「地蔵」って言うんです。

深井 地蔵。

寺嶋 スマホ見てたりとか、何も動かない人のこと地蔵って言うんですけど、地蔵になってる時に突然サプライズでその推しメンなんとかちゃんが出てきたら、「わあ♡」ってなるわけじゃないですか。その頻度をすごくあげていって、「いつ出てくるかわかんないから、いつもニコニコしてないと推しメンに地蔵見られちゃうぞ」みたいにしたら、改善されるかな。

深井 僕が今聞いてて思ったのは、地蔵になってることよりも、そいつをどかすことの方が大事なんじゃないのかなってちょっと思って。

寺嶋 どかすこと。

深井 最前からどかす。要はその人の推しのアイドルが出てない時は、どいてくれって話なんじゃないの。

寺嶋 まあ、そうです。ほんとはね。うん。でも、チケット買っててしょうがないんだったら、せめて最前管理をニコニコさせるにはどうしたらいいかなって。思ったんですけど。でも、そういうファントラブルが少ない環境でここまでやらせてもらえてきたことはすごく、私はありがたいと思ってるし、「ヲタクの皆さんのおかげです」っていう気持ちがあるけど、それが故に、最初に話したみたいに「私だけされてなかった」みたいなことって時々あるんですよ。変な誘いとかも。それはファンの方に限らずね。関係者の方とかお仕事先の人から、「あの子もあの子もあの子も変な誘いをされてたのに、私はされていなかった」みたいなことによって、こんな法律相談の番組とかやってるけど、実は私が知らないこといっぱい、当たり前ですけどあるなっていうのは思ってて。だから、「ぜんぜん、うちのヲタク優しいし、ファントラブルなんかないですよ」で、今日のこの番組を終わらせちゃいけないって思ってます。

深井 そうですね、それはね。

寺嶋 じゃあ、こういう例に出たようないろんなトラブルが起きてしまった時に、運営側、アイドル運営とか、あとイベント主催者とかが、その迷惑行為をしてる人を、いわゆる出禁ですよね、出入り禁止にすることってできるんですか。

深井 うん、いわゆる出禁てやつですよね。で、それができるかどうかというのは、実際にやってるとこもあると思うんですよね。結構SNSで「出禁になりました」みたいな、「出禁にしました」みたいな発表してる運営、たまにありますよね。

寺嶋 たまにありますね。

深井 多分、「そういう行為が法的に問題ないんですか」っていう意味の質問かなと思うんですけれども。

寺嶋 法的に問題ないかもだし、法的に効力があるのかも知りたいです。

深井 効力があるのか。なるほど。そのライブがね、じゃ、仮にですけど、ワンマンライブで、そのアイドルが所属してる事務所が主催して、もう運営も全部その事務所がやってた。

寺嶋 はい。

深井 そういうライブだったとしたら、そのライブに、お金を出してライブに参加すると。それは、ファン側がチケットを買って、ライブに参加しますよね。それも、第1回の放送で言った通り、契約なんです。

寺嶋 はい。

深井 お金を出して、ライブに参加するという権利を得る。その代わり、お金を払う義務が生じる。で、事務所側は、お金をもらう権利があるけれども、アイドルのライブをそのファンに見せる義務を負うと。そういう契約ですよね。で、その契約を結ぶかどうかっていうのは、これ、何回かね、放送の中で出てきた言葉ですけれども、契約自由の原則という原則があって。

寺嶋 そっか。

深井 そういう契約をするかどうかっていうのは、当事者の自由なんだと。

寺嶋 じゃあ、「あなたとはこの契約はしませんので、あなたとお金のやり取り、ライブ見せる見せなりの契約はしませんので」って言う自由もあるんだ。

深井 うん、とても飲み込みが早くて助かります。

寺嶋 優秀ヾ(゚ω゚)ノ

深井 そういう自由もあるんですよ。だから、あなたとはこの契約しませんよ、あなたとはこの売買しませんよ、あなたには売りませんよというね、権利があるかって言うと、それ、あるんですよね。

寺嶋 それ、普通のお店でもそうですか?

深井 うん。レストランとか、スーパーとかレストランでね、「あなたにはこの料理食べさせませんよ」と。「あなたは入って来なくていいですよ、あなたは入れさせませんよ」。それはあり得ると思うんです。なので、それが本当に理不尽な理由、例えば「外国人だから」とかね、そういう人種差別的なことでない限りは、例えば、「あなた、すごくここで迷惑行為したでしょう」とか、「泥酔してモノ壊したでしょう」とか。「そういう人は入れませんよ」と、「もう提供しませんよ」と言うことはできるんですよ。で、アイドルのライブはどうかっていうと、ワンマンライブだったら、その事務所とファンとの間でチケットの売買をするかどうかは、それは当事者の自由なので、言われたら絶対売らなきゃいけないかどうかっていうと、そうではないということになるわけですね。

寺嶋 うんうん。

深井 なので、出禁って要はそういうことなんですよ。もう立ち入り禁止にするっていうか、「もうあなたにはチケット売りませんよ」と。そういうことなので、それ(売買をしないということ)は自由だということになりますね。

寺嶋 ちょっと待ってください(挙手)。アイドルには「フリーライブ」というものが存在しまして、無料で見られる現場があるんですけど、それはどうしたらいいですか。売買契約、関係ないです。

深井 関係ない。そうすると、そのフリーライブってのが、僕、どういうとこで行われるかよくわかってないんだけど…。

寺嶋 タワーレコード新宿店とかでやってます。

深井 それはフリースペースなの?

寺嶋 フリースペース。優先入場券とかはいろいろあるんですけど…CDを買ったら入れるとか。後ろの方から眺めるとかだったら、ほら、サンシャインシティの噴水広場とか、ああいう場所って誰でも見られるじゃないですか。

深井 なるほど。それはいろいろな処理の仕方があると思うんですけど、例えばそれが店舗の中であれば、その店舗に入れるかどうかっていうのも、その店舗を管理している人の権限で、(判断)できるわけですね。例えば、タワーレコード渋谷店、新宿店があった時に、「この店にはあなたは入れませんよ」と。

寺嶋 うんうん。

深井 それはなぜかというと、あなたが迷惑行為をしたから、施設管理権で、管理権者である私は…、(私というのは)店長さんね、店長さんの権限で、「あなたは入れさせません」と。そういうことも一応できるとは言われてるんですよ。施設管理権の行使っていうやり方でね。
で、その時に、「店の中に入るのはいいけど、このスペースにはあなたは来てはいけませんよ」と。「なぜなら問題行動をする人だからです」ということで、その施設管理権の行使の一環で、「あなたをもう入れさせませんよ、見させませんよっ」ていうことは、あるかもしれない。

寺嶋 アイドルが出禁の発表をするときって、「今後一切私たちの主催ライブや出演ライブにあなたは来ないでください」みたいなかたちで書くじゃないですか。でもそれを本当に効力を持たせるには、出るライブハウスとか出るそういうフリースペース、施設とかといちいちアイドル側がやり取りをして、「ちょっと今日のイベントこの人が来ると困るので、この人のことを排除してください」っていうやり取りを施設としなきゃいけないんですか?

深井 突き詰めるとそうなりますよね。

寺嶋 でも、そんなこと毎回してられないですよね。

深井 うん。だから、「出禁にしました」っていう処理をしている事務所よく見ますけど、それをどうやって実行してるのかってのは、僕もちょっと気になるとこではあります。

寺嶋 ただ、そこまでの発表をされたら、ご本人も来づらくなるだろうし。もし来てるのを見かけたら、「出禁って言ったでしょ」っていうことで、スタッフさんはつまみ出したりとかってするのかな。

深井 のが一般的かなと思いますけどね。だから、ちゃんと把握できるんであれば、その人の名前とかを、チケット申し込みした段階で、

寺嶋 弾くとか…

深井 っていうのはできるかもしんないですけど。

寺嶋 うーん。接近禁止令的なものはもっとハードルが高いんですよね?

深井 接近禁止令っていうのは。法律上の接近禁止命令ですか。

寺嶋 そうです。

深井 それは警察署が出すんですけどね。警察が接近禁止命令出せるパターンって、大きく分けて2つなんですよ。その1つがストーカー規制法に違反する場合で、もう1個がDV防止法に違反する場合。その2つで、で、DVじゃないじゃないですか、アイドルのファンに接近禁止命令出す場合って。だから、そのDV防止法のは多分無理だと思うんで、問題はストーカー規制法の方ですね。で、ストーカー規制法を適用するには、まず要件が…この前言った、ランプの話が

寺嶋 何が点ればいいんですか?

深井 2つあって、一つが「恋愛感情によるものである」。

寺嶋 えー!!!

深井 うん。

寺嶋 それ、マストなんですか?

深井 うん。

寺嶋 そうなんだ!!!

深井 うん。だから、嫌がらせのために付きまとわれてるとか、そういうものの場合には、ストーカー規制法は適用されないんです。

寺嶋 じゃあ、その場合、どうやったら助けてもらえるんだろ。ありますよね、きっと。嫌がらせで粘着されてるって。

深井 うん、ありますので、そういう場合には、「これ、接近禁止命令とか出せないんですか」って相談受けますけど、「いや、これ、ストーカー規制法だと、恋愛の情ってのが必要になるので、ちょっと無理です」っていう風に言ったことは、私は何回かあります。

寺嶋 困りましたね。

深井 うん。で、それがランプの1個目ね。で、もう1個が、つきまとい行為等をすること。つきまとい行為等ってのはいろいろ種類があって、電話を何回もかける、メールを大量に送る、ものをたくさん送る、待ち伏せする。そういうこと。

寺嶋 DMも入ります?

深井 入りますね。だから、ちゃんとランプが点灯したら、警察が判断して接近禁止命令を出せるんですけど。アイドルの場合は、恋愛感情を持ってストーカー行為をしてしまうっていうパターンありそうだけど。うん。そうですね。そういうつもりじゃなく、嫌がらせをしたり、泥酔してきてしまうファン、恋愛感情があるから泥酔してるわけじゃない人、いますよね。ただ騒ぎたい。

寺嶋 うん。

深井 単にそのアイドルの現場で泥酔するだけの人とか、なんか問題行動をね、最前管理をするような人たちに、ストーカー規制法で接近禁止命令を出すこと。それはできないです。

寺嶋 そうですね。それは、なんかやっぱちょっと違うか。

深井 うん。それはね、多分、1つ目の恋愛の感情とかっていうよりは、むしろ、その、つきまとい等に入らないから。

寺嶋 そか。

深井 そう思います。

寺嶋 やっぱ、そういう泥酔とか、度を越えた迷惑行為ってなった場合は、「この場所に来ないでください」っていうことを言っていくしかない。

深井 もう通知して、来たらつまみ出すと。

寺嶋 大変だ

深井 うん、大変ですよね。だから、結構労力かかると思うんで、出禁措置にしたのをどうやって実行してんのかなってのは、興味深いですよね。

寺嶋 うん。ほんとに、どうしてそうなってしまうんだろうかっていうことばかりですね。
最近の私の口癖、「どうしてそうなってしまうんだろうか」です。この番組以外でも、うん、「わからん!!!」って思うことが多すぎて。
で、今聞いてきた話は、ストーカー規制法に当てはまらないことが多いっていうことでしたが、当てはまっちゃう場合、例えば、お家を特定されて待ち伏せされちゃってるとか、なんかゴミ漁られたって聞いたことありますけど、とかはどうなるんですか。

深井 それは、その、ファンがね、アイドルに対してやったということであれば、恋愛の情っていうのもおそらくあるでしょうし。で、付きまとい等の行為ね、待ち伏せするとか、物漁るっていうの、確か入ってたと思うんで、それに当たるということになれば、接近禁止命令を出す要件、ランプは点ってるかなと思うので、その場合は、もう早めに警察に相談。

寺嶋 いや、そうですよね。なんかあってからじゃ遅いから、警察行った方がいいと思う。

深井 そうですね。その時に、事務所にちゃんと話を通して、事務所と一緒に行くってのが本当は一番いいんだと思うんですけどね。

寺嶋 そう思いますね。実際そうしてる事務所さんもきっといますよね。時々、事務所からの発表で、「もう警察に相談してますので」みたいな発表があることもあるから、そういう事務所さんはちゃんと対応してくれてるんだなって思うけど。「そんぐらい我慢しろよ」みたいな場合はどうしたらいいですか。

深井 結構それもよく見ますよね。相談したんだけど、動いてくんなかったとか。「それは人気が出てきた証拠じゃないか」と言われてるLINEを見たことありますので。

寺嶋 やば!

深井 やばいよね。そういう精神の運営さんもいるので、そうなったら、第9回ですか、前回のトラブルの時にも言いましたけれども、やっぱりもうプロに相談するっていうのがいいのかなと思いますね。やっぱ、外部の弁護士に相談して、弁護士と一緒に被害届を警察に出しに行くとか。適切なアドバイスをもらうぐらいでもいいですけど。はい、ちょっと相談してもらって、どう対応するのがいいのか検討して、警察に対応を求めると。そういうことがいいのかなと思いますけどね。

寺嶋 本当に、何かあってからじゃ遅いから、ちゃんと然るべき機関に相談した方がいいと私も思います。

深井 ストーカー被害みたいなのがエスカレートして、痛ましい事件が起こったりなんかも。シンガーソングライターの方が刺されたりっていう事件が結構前にありましたけども。

寺嶋 そう、なかなかね、ステージに出る側って、こっちは顔がバレてるけど、ファンの方のことを全部把握してる場合じゃないことも多いじゃないですか。あるいは、会ったことがないけどSNSとか見て思いを募らせてしまってる、ストーカーになっちゃう人とかがいる場合もあるし。多分、いつも来てくれる優しいファンの人たちのことだけ考えてると想像もつかないような怖いことって、時々起こると思うんです。それをもうちょっと、アイドル本人もだし、事務所とかみんなで警戒していかないといけないですよね。

深井 うん、そうですね。

寺嶋 いや、怖い話ですけど、これほんと。でもアイドルに限らずなんでね。あと、多分きっと男女も関係ないので。

深井 そうですね。

寺嶋 もし被害を受けてる方とか怖いなって思ってる方は、もうほんとしかるべき機関に相談した方がいいし、これこそ、前回も私言いましたけど、身近な人にとりあえず頼って話聞いてもらおうとか、助けてもらうとかしてる間に、どんどん相手がエスカレートしちゃう場合あるからプロじゃない人になんかこう、愚痴ってる時間はもったいないかな。

深井 なるほどね。

寺嶋 って思ってます。ほんと、安全に気をつけましょうね。

深井 はいはい。

寺嶋 というのが今日の話でございました。もしもこういうことで悩んでる方は、今回は深井先生にDMをって言うよりも、しかるべき、もうほんと警察とかに相談をっていう方が大事かもですけど、深井先生に相談をしたい場合はDMをしていいんですよね。はい。

深井 Twitterの方でDMを開放してるので、DMいただければと思います。

寺嶋 あと、匿名相談でこの番組で取り上げてほしいことがありましたら、そちらをお寄せいただいても大丈夫です。で、この番組については後ほどnoteで公開をします。書き起こしと、あと私と深井先生からのコメント、感想、補足情報などを有料部分に追記して公開してますので、そちらもぜひご覧ください。この番組の感想は#アイドルと法律でぜひポストしていただけますとありがたいです。
ここまでで、一旦この日本加除出版株式会社から出てます「地下アイドルの法律相談」の章に沿ってお話ししてきたことは全部さらえましたね。いろいろ話しましたね。

深井 そうですね。

寺嶋 地下アイドルと契約書の話に始まり、いろんなトラブルの事例やその解決方法などと、最後はファンとのトラブルについてまで話してきました。次回は、この本が出版された段階ではまだ深井先生が書いてなかったこと、取り上げてなかったことですね、ちょっといくつかピックアップしてお話していけたらと思ってますので、ある意味最新情報というか。

深井 うんうん。

寺嶋 そういうものを聞いていただけるかと思いますので、是非次回もよろしくお願いします。

深井 はい。

寺嶋 それでは、今回もありがとうございました。ここまでのお相手は、ゆっふぃーこと寺嶋由芙と、

深井 弁護士の深井剛志でした。

寺嶋 ありがとうございました。

深井・寺嶋 ありがとうございました。

 



以下、有料部分では、深井先生からのなぜ「地下アイドルの法律相談」で「ファンとのトラブル」を取り上げたのか、労働問題としての「カスハラ」、といったテーマでのお話、ゆっふぃーからの、今回の収録を終えて改めて考えたあれこれをお読みいただけます。

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