“非認知能力“が人生を左右する。学力は非認知能力を高めた結果。

「何だかんだ言っても、学歴がある人っていいよね〜。頭が良い人は得だわさ(^◇^;)」と考えてはいませんか?

 確かに、有名大学に入学した人の中には、数多くの優秀な方がいらっしゃいます。それは事実。ただ、そうでない人がいるのも事実です。

 その理由について、「幼児教育って大事?根拠ある早期教育の重要性〜『学力の経済学』より〜」でご紹介した“非認知能力“をテーマに、もう少し詳しくお話ししましょう。

☆成功のために学力よりも大切なものは“非認知能力“☆

 まず整理をしておきましょう。

非認知能力とは、IQや学力テストで計測される認知能力とは違い、「忍耐力がある」とか「社会性がある」とか「意欲的である」といった、人間の気質や性格的な特徴のようなもの
「学力の経済学」P86より抜粋

また非認知能力の具体例は、以下のようなものとされています。

・自己認識(Self-perceptions)
・意欲(Motivation)
・忍耐力(Perseverance)
・自制心(Self-control)
・メタ認知ストラテジー(Metacognitive strategies)
・社会的適性(Social competencies)
・回復力と対処能力(Resilience and Coping)
・創造性(Creativity)
・性格的な特性(Big 5)

なお、人生の成功に重要だと考えられている非認知能力は以下の2つ。

それは、「自制心(Self-control)」「やりぬく力(GRIT) 」です。

☆「自制心」と「やりぬく力」が重要な理由☆

コロンビア大学のミシェル教授が行った「マシュマロ実験」をご存知ですか?

「名前は聞いたことある!(`・∀・´)」→素晴らしい!!

「全然、聞いたことない…!。゚(゚´Д`゚)゚。」→大丈夫です。今から説明しますね。

1.自制心について

マシュマロ実験とは、スタンフォード大学内の保育園で186人の4歳児を相手に行った実験です。

 まず子どもにマシュマロを差し出します。そして
「いつ食べてもいいけれど、大人が部屋に戻ってくるまで我慢できたら、マシュマロを2つあげますよ」
とだけ伝えて、大人は部屋を退出します。
 この結果、約3分の1の子はマシュマロを2つもらいましたが、約3分の2の子は我慢できずにマシュマロを食べてしまいました。

興味深いのは、この先です。

その後、ミシェル教授は彼らの人生を追跡して調査しました。すると、
大人が戻ってくるまで我慢して2つのマシュマロを手に入れた子どもは、
我慢できずにマシュマロを食べてしまった子どもよりも、SAT(大学入学のための共通試験)のスコアがずっと高かった

つまり、自制心が高い人ほど(結果的に)学力も高い傾向にあったということです。

2.やりぬく力について

ペンシルバニア大学の心理学者ダックワーズ准教授は、やりぬく力をこう定義しています。

「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」

彼は調査対象者に12個ほどの質問に答えてもらうことで、「やりぬく力」を計測し、事前に「成功する人」を高い精度で予測できました。

☆著名人で考えてみる☆

 日本の著名人で考えてみましょう。

 元メジャーリーガーのイチローさんは、小学校から帰ってくると毎日父親とバッティングセンターに通い、ひたすらバットを振り続けた、と語っています。
また、彼の出身校である愛工大名電の校長先生は、「彼が野球をやっていなかったら、必ず東大に合格しただろう。」とも言っています。

 お笑い芸人のオリラジ・中田敦彦さんは、自身のYouTubeの中で大学の推薦を高校の先生から出せないと言われ猛勉強したと話し、「自分の部屋では椅子に自身の身体を紐でくくりつけ、この場から逃げられないようにした」と話しています。

 実業家の堀江貴文さんは、元々「没頭力が大事」と話していますが、自身が中学生の時にパソコンを買ってもらった際には、とにかく毎日プログラムのコードを書き続けていました。また、サーフィンでもゴルフでも競馬でも、一度ハマると周りを巻き込んで没頭し、周りがついていけなくなることが多い、と話しています。

 YouTuberのイケハヤさんは、脱サラをしてフリーランスになった時、1日14本ブログを書いていた、と話しています。また彼は常々「コツコツ努力することが大事。みんな努力が足りない。僕のYouTubeだって動画が500本を超えたあたりでようやく収益が見込めたのに。」と自身のYouTubeで明かしています。

 元ベネッセ社長の原田泳幸さんは、学生時代にアルバイトをやり続けて自分の家を買った、という話があります。

 ソフトバンク社長の孫正義さんは、彼は在日韓国人の子孫で小さい頃は日本名で「安本」と名乗っていました。成人してから本来の「孫」という名字で法務局に申請を出したらしいのですが、「前例がない」として一蹴されます。

 そこで彼は、結婚して日本人である奥さんを「孫」性にし、「日本人で“孫“さんの前例ができた。」として再度法務局に申請し、認めさせたそうです。

 いずれも最後まで諦めない、最後までやりぬく力がありそうな人たちばかりですね(´⊙ω⊙`)

☆学力と非認知能力の関係☆

「結局、頭がいいから成功するのか、非認知能力が高いから成功するのかわからない!。゚(゚´Д`゚)゚。」 

先ほど紹介したダックワース准教授は「やりぬく力と才能には相関関係がない」ことも明らかにしました。(中略)才能があっても「やりぬく力」がないために成功に至らない人が少なからずいた、ということです。
「学力の経済学」P92より抜粋

よく「消えた天才」なんてテレビでもやっていますね。才能が突出していなくても、やりぬく力で成功をたぐり寄せた人が多くいる、良い例です。

 「自制心」と「やりぬく力」が強い人は、その力を活かして、“結果的に“難関大に合格した=学歴が高い、ということを示しています。

☆まとめ☆

 ・人生の成功には非認知能力が大事
 ・特に「自制心」と「やりぬく力」が大事
 ・学歴(学力)は「やりぬく力」を活かした結果

親としては目の前のテストの点数も頑張って欲しいところでしょう。

進学塾で働いてきたので、そうした親御さんの気持ちは痛いほどわかります。

 しかし、テストに向かっていくその過程で得られる「自制心」と「やりぬく力」こそが、その後の人生を大きく変えていきます。

 テスト勉強に向かっているお子さんを、そっと温かい目で見守り、励ましてあげてください。「最後まで、やりぬけよ」と。

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