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「お金」と「人」
〇「お金」か「人」か、どちらを選ぶ?
「弊社を含める数社から内定をもらった際にどのように決めますか。」
最終面接で言われがちな言葉、皆さんはどのように決めますか?
某”御社”の最終選考で某”社長”に例のごとく聞かれた私、
「”人”で決めます」
一寸の迷いもなく答えた私。
社長が少し考えた後、私に話し始めたその一部始終をここに残していく。
◐「御社」のお言葉
「30歳になった時にいくら年収が欲しい?」
この面接で私が聞かれたことは、志望理由と冒頭の質問とこの質問の3つだけだった。
「600万くらいですかね。」
あぁ、ちょっと失敗したかも。
質問に答えた後少し思った。
自分がまだ若造だということは分かっている。
600万とは30歳男性の平均年収よりも少し上の金額で”御社”のようなベンチャー企業には思い切って「1000万です!」とか言っておけばよかったかな。
”御社”の社長はこの私の回答に対してにやにやしながら話し始めた。
(この顔思い出すたびにイライラする)
「そこは1000万円って言わないと今後社会じゃやっていけないよ。」
”社長”の言い分はこう。
・目に見える評価が最終的なモチベーションになる
・賃金によって働き方も変わる
・営業は厳しいので覚悟が必要
・私に対して覚悟が見えない
人や環境は揺らぎやすいため、賃金という確実なものをモチベーションの軸にしないと危険だ。もらっている賃金に見合う仕事をしようとすることが大切であり、それで成長していくことができる。
人を簡単に信じることは危険だし、実際に”御社”では新卒の50%が一年で退職している。営業は他の職業と違って厳しい仕事なので、覚悟がないとできない。
東京の人は冷たいし、困ったときには誰も助けてくれない。
住むだけでお金がかかるし、どのくらい稼いでどのくらい家賃や食費にかかるのか計算していないと東京では暮らせない。
就活前にお金の計算していないともう遅い。社会じゃやっていけない。
お金に対してモチベーションをもっていないのも危険。
そんな人が働くところはないよ。
こんなことをダラダラと私との5分程度の面接の後、30分近くかけて語られた。
確かにお金に対する執着が低く、代わりに人に対する執着心が強い私は賃金に対する積極度が足りずシュミレーションもできていなかった。
反省した。反省した後に思った。
なんで?
5分程度しか話してない私の何がわかるの?
なんで今価値観押し付けられたの?
覚悟ってそれだけでわかるの?
どうして”人”をそんな簡単に人の考え方を否定できるの?
”御社”のビルから出た瞬間にそれまで我慢していた涙があふれて止まらなくなった。
談笑していた大学生とすれ違うたびに私を見て無言になる。
人の多い池袋のサンシャイン通りを人目もはばからずボロボロと涙を落としながら歩いた。
どうして”人”が大切な意味をきれいに伝えられなかったんだろう
あの時なんで言い返せなかったんだろう
私の価値観はもしかしたら間違っていたのかな
私に覚悟が足りない、今からでは遅いって言葉は不合格通知の意じゃないか
ぐるぐると考えながら、電車に乗り、飛行機に乗り九州まで帰ってきた。
家に帰ってからも、某”御社”の某”社長”の言葉が食事中も、入浴中も、トイレでも、寝る時さえもこだまして。
それでも強く強く、私は”人”を大切にしよう、としか思えない。
きっと数日後にはお祈りメールが届くであろう”御社”は以前の面接でも人のいい方たちばっかりだったし、対応も早く、面接でも”人”を大切にしたい私の価値観とあっていると、志望度は高かったし、企業理念もビジョンもすごく共感できた。
最終面接で残念な結果になった今回も、縁がなかっただけだと思うし、それでも人の価値観を真っ向から否定してくる”御社”には入社意欲もそがれ、私が社会に出ても、意欲的に取引を望む会社ではなくなってしまったことは明白になってしまった。
一年経った今ではあの出来事はだいぶ色あせてしまった。
でもいまだに思うのは
東京には怖い人もいるもんだなぁ
ってこと。
あのあと何人もの友達や大人たちにこの話をしたし、中には”社長”に共感する人もいた。
いろんな意見を聞いたうえで私は、いまだに人を大切にしたいなぁと思う。
お金がいらないなんてそんな夢物語の中には居ないけど。
平均的な年収だったとしても好きな人と、自分を信じてくれる人と、自分が信じられる人と一緒に暮らしていきたいなぁと思う。
”御社”の”社長”はきっと過去に人間不信になってしまうような出来事があったんだろうな。
お金にしか価値を見出せないひと。そして九州からはるばる面接に来た2周りくらい年下の就活生に長々と説教して気持ちよくなるような可哀想な人。
”社長”、私結局低賃金の職についちゃったけど、楽しい仕事といい人に囲まれた職場で、とっても幸せです。
”社長”にもお金なんて気にせずに、付き合える人がどうか見つかりますように。
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