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自分のことを人種差別主義者だと思う人はいない〜「白人ナショナリズム」ブックレビュー

 あなたは「白人至上主義」という人達について、どんなイメージを持っていますか?

・人種差別主義者?
・自己中心的な過激な人達?
・多様性に関心のない思いやりのない人?

 私がなんとなく抱いていたイメージは、
「自分達がとにかく一番優れていて、それ以外の人種を蔑んで見ている差別主義者の人達ーーー。」
 そういう風に思ってました。
 だけど、この本を読んでそんな単純なものではないとわかりました。

■白人至上主義のイメージと実際の姿

 まず、白人至上主義の人達は自分達を
「白人至上主義」だとは思っていない

自分達が、人間としての権利をまもる為に当たり前の権利の主張をしているだけだという。

 著者が有名な白人至上主義の方に話を聞いた時に、こう言われたという。

「もし日本に外国人が数百万単位で入ってきたら、日本人は違和感を覚えませんか?それに異議を唱えたとき、「日本人至上主義者」や「人種差別主義者」というレッテルを貼られたらどう思いますか?」

 もし日本に住む半数以上が、ある日を境に外国人だらけになり、雇用も外国人に奪われ、多くの日本人がろくに仕事につくこともできない社会になったらーーー。

 私を含む多くの日本人は、これを受け入れられるのだろうかーーー。と考えさせられました。

 なんでも今の流れのままだとアメリカは、2045年には白人人口が過半数を割り、多数派がマイノリティになると予想されているそうです。

 近い未来に、白人達の人権やささやかな生活の豊かさも閉塞感に包まれ、当たり前の幸せさえ多人種に奪われるのではないかー。そんな危機感を持っているというのです。

 白人ナショナリストにとって、このグローバル社会を受け入れることは、
白人であることの否定、彼ら好みに表現を用いれば「侵略」「虐殺」「乗っ取り」に映っているのだという。

 だから、白人ナショナリスト達は、
今ある幸せがなくなってしまうかもしれない「危機感」から行動をしているというのです。

 その想定外の現実を知り、とても驚きましたが、それって私が「気候危機」に対して思っていることと何の変わりもないのではないか。そう思いました。(個人的に気候変動問題や環境問題に強い危機感を持っています)

■この世界は「多様な価値観」と簡単に言いまとめられないくらい、いろんな考えで溢れている

 そしてもう一つ新たに知ったのは、
白人至上主義の中にも様々な勢力があり、白人至上主義の中で「分断」が起こりまくっているということです。
 ざっと分類を並べるだけで、

反移民系、反LGBT系、反イスラム系、クリスチャン・アイデンティティ系、ヘイト全般系、ヘイト音楽系、ホロコースト否定系、KKK系、男性至上主義系、新南部連合系、ネオナチ系、レイシスト・スキンヘッド系、過激伝統カトリシズム系、白人ナショナリスト系・・

 もう数も多すぎるし、主張も謎だし、一個ずつ調べるのも大変すぎて調べませんでした(笑)
 これらの白人至上主義同士でも、相反す
る立場で決して価値観が交わることは難しいであろう関係性にある団体もたくさんあるそうです。

 私が知っている世の中の主張や考え方なんて、広い世界のほんの一握り見えているだけなんだなぁって・・そう思っちゃいました😅

■本を読んで考えたこと

 読んでみて、白人ナショナリストの人達の主張はわかったけど、

黒人の置かれている差別や貧困などの悲惨な現状についてはどう考えているのか?

■また、白人が人種として「優位」であるという科学的根拠も疑わしい概念で社会や人間を捉えていること

■白人の権利を主張するために、非白人を排除しよう、時には暴力すら肯定する
のは、著者も感じられていましたが、やはり納得はできないなと🤔

 それでも、どの団体も過激な主張ではあるけれど、1個人として付き合ってみると、ユーモアがあったり温厚であったり人当たりもよかったり、個人としてのコミュニケーションは友好的な人達だったという著者の感想も印象的でした。

 また、やはり日本人が同じ立場になったら、部外者として白人至上主義の方々を批判できるのか、とか・・・。

■最後に

 混沌とした価値観と構造の中にある現代社会ですが、これからの社会に1つの希望のヒントになるのではないかと思えるような、人達の紹介がありました。

 それは、人生経験を経て白人至上主義と決別した人のお話です。
 最初はバリバリの白人至上主義者であったけど、その後巡りあった人々や新しい家族との関係の中で、白人至上主義から決別し人権活動家に転身した人もいるという。

 そんな人生経験をした彼の、印象的だったメッセージを最後に紹介したいと思います🌿

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