見出し画像

2021年12月10日の脚本「僕の指紋が盗まれた」

本日の60分シナリオです。
60分シナリオというのは、シナリオが60分のわけでなく、私が60分で書く練習をしている脚本です。

ぜひ、演技の練習などの台本にご活用ください。

本日のテーマはこちら。

脚本「僕の指紋が盗まれた」


登場人物

横谷祥吾(29)…会社員
皆川由紀(29)…会社員
浅岡智樹(29)…会社員
片山部長
男社員1
女子社員1
石原誠二(45)…刑事
飯野大志(24)…刑事

脚本本文(横書き)


〇 とある場所

真っ暗。

手がスマホを操作している。

〇 オフィスビル・外観(朝)


〇 オフィス前・廊下・エレベーターホール前(朝)

横谷祥吾(29)が歩いている。

浅岡智樹(29)がやってくる。

智樹「おい」

祥吾「おっす」

智樹「なぁ、お前結婚するってマジ?」

祥吾「ったくどこから聞いたんだよ…」

智樹「片山部長が」

祥吾「まじか…」

智樹「で、どうなんだよ?!」

祥吾「いや、まぁ…する」

智樹「童貞キャラだった奴が一番に結婚かよ。まじ世知辛いわ~」

〇 オフィス・入口(朝)

入口には「大山ホールディングス」と書いてある。

会社のセキュリティに社員証をピッと当て入る祥吾と智樹。

次の扉の前で指紋認証をする智樹。

祥吾「…?」

祥吾が指紋認証をするとエラーになる。

祥吾「は?!」

もう一度、指紋認証をする祥吾。

祥吾「…?!」

祥吾はもう一度、指紋認証をする。

大きなエラー音が鳴り始める。

祥吾「っなんだよ?!」

智樹が中から扉を開ける。

智樹「お前何やってんだ?」

祥吾「…」

〇 祥吾のアパート・外観(朝)


〇 同・リビング(朝)

皆川由紀(29)がいる。

由紀がテーブルの上の鍵を持つと、お弁当が目に入る。

由紀「…」

〇 オフィス・会議室

片山部長「バカヤロー!」

片山部長と祥吾がいる。

片山「社員がセコム呼んでどうするんだ」

祥吾「すみません。でも…指紋認証が…」

片山「変なところでも押したんだろ」

祥吾「いや、そんなわけないじゃないですか」

片山「じゃあどういうわけだ…?」

祥吾「それは…」

〇 同

智樹と男社員1が会議室を見ている。

智樹「大丈夫か?アイツ…」

男社員1「でも俺、セコムが取り囲むの初めて見たっす…」

智樹「まじで会社の伝説作ったよな…」

会議室から片山と祥吾が出てくる。

智樹「よっ!伝説の男!」

祥吾「?」

智樹「朝からセコムさんに囲まれて、部長にも呼ばれてモテモテっすね」

祥吾「おちょくんなよ」

女社員1「横谷さん」

祥吾「?」

智樹「お、またモテてるから」

祥吾「…」

女社員1「なんかお客さん来てますけど…」

祥吾「?」

〇 同・入口

石原誠二(45)と飯野大志(24)がいる。

女子社員が通る。

大志「うわ~本物のOL~。やっぱこういうとこって、オフィスラブとかあるんすかね?」

石原「どうでもいいわ!そんなこと」

祥吾がやってくる。

石原「おい」

石原に近寄る祥吾。

祥吾「…?」

石原「警察です」

警察手帳を見せる石原と大志。

祥吾「…?!」

石原「横谷祥吾さん。殺人の容疑で逮捕します」

祥吾「……」

〇 警察署・外観

〇 警察署・取調室

祥吾「(声先行で)だから!僕は知りませんって」

祥吾の向かいには石原が座っている。

机には数枚の写真が置かれている。

石原「兄ちゃん。警察なめちゃいけねーぞ。…どうして殺した?」

祥吾「だから!何度も言ってますけど僕はこの人もこの事件も知りませんから」

石原「じゃあ、この凶器の指紋は…?どう説明付けるんだ?」

祥吾「………指紋?」

〇 (フラッシュ)オフィス・入口

指紋認証をする祥吾。

大きなエラー音が鳴り始める。

〇 (元の場所)警察署・取調室

石原「思い出したか?」

祥吾を睨む、石原。

祥吾M「おかしい。何かがおかしい…」

沈黙。

祥吾「…!」

石原「?」

祥吾「誰かが…僕の指紋を」

石原「は?とんでもねーいいわけだな。もっとマシな言い訳ねーのかよ」

祥吾「でも…おかしいです。今日の朝、会社で指紋認証に引っかかったんです」

石原「?」

祥吾「その後に指紋のことで、刑事さんたちが来たんです。僕、本当にこの女性のことも、この凶器も見覚えがないんです」

石原「それで警察騙せると思ってんならなめられたもんだな」

祥吾「…」

大志がやってくる。

祥吾、殺された女の写真を見る。

刺された女のすぐ隣に包丁がある。

祥吾「やっぱり…これ変です」

石原「(真剣な目で睨み)…」

祥吾「殺した凶器をそのままにして、指紋を付けて帰るなんて変じゃないですか?」

石原「…何が言いたい」

祥吾「もし僕が犯人で、誰かを殺してしまったとしたら…真っ先に凶器を隠します。バカじゃないんですから。しかも指紋も拭かないなんておかしいでしょ。こんなの見つけてくれって言っているようなもんじゃないですか」

石原「誰かが…お前を犯人にしようとしてるとでも言いたいのか」

祥吾「それは…わかりません…。あ、携帯。僕の携帯持ってきてもらえませんか?」

石原「(舌打ち)」

大志に目で指示を出す。

祥吾M「もし…俺に罪を擦り付けようとしてる奴がいて、わざと指紋を残した…。でもどうやって…」

考える祥吾を睨む石原。

大志がやってくる。

祥吾の携帯はビニールに入っている。

携帯を触り、指紋認証をする祥吾。

祥吾「…!」

石原「?」

祥吾「開かない」

石原「…?」

祥吾「刑事さん、指紋が盗まれるって、あり得ますか…?」

石原「…」

〇 同・廊下

大志と石原がいる。

大志「石原さん、どう思いますか?」

石原「何が?」

大志「なんか…俺にはどうもウソ付いているようには見えなくて…」

石原「指紋が盗まれるなんてありえねーだろ。できたとした完全犯罪だ」

大志「ですよねぇ」

石原「絶対アイツの化けの皮、剝がしてやる…!」

〇 同・取調室

祥吾がいる。

祥吾「…」

                             (続く)

▼脚本のダウンロードはこちらから

▼仕事の依頼&脚本の作品集はこちら



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?