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海街diary【名画とグレーディング】

今日から気の向くままに僕のお気に入りの映画やドラマの画作りをPhotoshopで再現する連載を始めます。

読者の皆様の反応次第ではありますが、ゆくゆくはPhotoshop、Adobe Premiere、DaVinci Resolveなどで使えるLUT(画作りを再現するプリセットのようなもの)の配布も考えています。


初回に取り上げるのは、是枝裕和監督の「海街diary」。

オリジナル脚本にこだわる同監督には珍しく、漫画原作の映画となっています。

キャストは4姉妹に綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずを配し、是枝組の樹木希林やリリー・フランキーも参加した豪華な作品です。


ここからは映画の内容に絡めながら画作りについて触れていきます。

なお、他の是枝作品と同じく、この映画もデジタルではなくフィルムで撮影されているので色味やトーンの完全再現は難しいです。


・カラー

タイトルどおりこの作品のキーカラーは水色です。

一口に水色と言ってもバリエーションがあり、特にハリウッド映画では水色を緑に寄せたシアンが印象的です。

一方、「海街ダイアリー」では湘南の海をイメージさせる、少しくすんだ水色を使っています。

さらに水色と同時に肌色をマゼンタ(赤紫)にシフトしているのも特徴です。

他に頻出する色である茶色は濃く、そして緑は少し色が抜けて明るくなっています。

以上の特徴を踏まえてPhotoshopのチャンネルミキサー機能と彩度を使って作成したカラーパレットがこちらです。

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・トーン

この映画特有の時間がゆったりと流れていく雰囲気を表現するため、トーンは総じて柔らかめです。

しかし、単にコントラストが低いわけではないのが難しいところ。

映画のシーンを観察すると、シャドウはしっかりと暗くよく粘っていて、ハイライトは飽和していることがわかります。

シリアスな場面もありつつ心温まるという作品の性格を決定づけているトーンです。

この特性をトーンカーブで再現し、レベル補正でハイキーにしつつ明るさの最小値と最大値を決めることで柔らかいトーンを再現することができました。


・グレーディングサンプル

Photoshopのチャンネルミキサー、彩度、トーンカーブ、レベル補正の機能を最大限に生かして「海街diary」のカラーとトーンを再現したプリセットを作ることができました。

2種類の画像を紹介するのでBefore Afterを比べてみてください。

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まずは1枚目。

実際の映画の1カットにありそうな写真を選んでみました。

大きな変化はありませんが、少しフェードがかかり優しいトーンになっています。

緑はそのままにオレンジ色が抜けて全体的に寒色にもシフトしてます。

日本家屋のわびさびを表現するのにはぴったりの画作りです。


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2枚目は効果がわかりやすいです。

無料素材でイメージがぴったりのものを見つけましたが、シルエットが綾瀬はるかさんに似ていますね。

全体的に色が抜けてハイライトのコントラストが落ちていますが、シャドウは粘っており、映画のトーンに近いです。

写真としてはインパクトのあるBeforeのほうが一般的には好ましいですが、Afterのほうは見続けても疲れない優しいトーンになっており、映画と写真の画作りでは考え方が違うことがわかります。

肌の色もオレンジではなく白っぽくなっているのも大きな特徴で、「海街diary」のカラーとトーンがうまく再現できたと思います。


連載1回目の【名画とグレーディング】では「海街diary」を取り上げましたがいかがだったでしょうか。

これからも僕のお気に入りの作品の画作りを再現して同じように考察していこうと思います。

リクエストも受け付けますので希望があればぜひコメントをお願いします。

ではまた次回お会いしましょう。

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