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【解説】BPMNで実現できること

こんにちは、業務可視化・改善コンサルタントのスズキユウです。

自治体標準システム導入においてBPMNが採用されたことで、BPMNについてのお問い合わせを多くいただくようになりました。

今回はなぜBPMNが有効なのか、BPMNで実現できることを中心にご紹介したいと思います。

BPMNの概要や図形については無料講座でご紹介しています。よろしければこちらの講座もご覧ください。


ITが得意ではない人向けの説明

5W1Hを図にしたものがBPMN

皆さんは自分の業務を説明してくださいと言われたらどうしますか?

マニュアルや手順メモを参考に口頭で説明したり、一緒に業務を実施しながら説明される方が多いのではないでしょうか。

「説明は5W1Hを明確にすることが基本」とよく言われますが、なかなか難しいものです。

BPMNは、この5W1Hを図で表す手法です。

BPMNで描かれた業務フローには、いつ、誰が、誰と、何を使って、何を行なっているかがすべて図で表現されています。

BPMN業務フローには5W1Hが可視化される

BPMNは情報共有に有効

BPMNは作業をどんなタイミングで何を使って行うのかが図だけで理解できるように整理されています。また、正しく描かれたBPMNは作業ごとの成果物や参照資料が明記されているため、作業ごとの目的が明確です。

従って、BPMNは誰が見ても理解しやすいという特徴があります

BPMNにはシステム開発に必要な情報が可視化されているため、図だけでシステムエンジニアが必要な情報を取得できるようになっています。また業務フローであるため、システム導入前後でどこがどのように変更されるのかも一目でわかります。BPMNがIT導入において有効とされるのはこのためです。


BPMNは業務マニュアルにもなる

BPMNは5W1Hを図にするものとお伝えしました。BPMNは業務の流れと内容が図で表現されているため、業務マニュアルとして使用することもできます。

一般的な業務手順書は、作業手順は説明していても、作業前後の関係性や全体像は説明されていないことが多いように思われます。BPMNは業務を俯瞰的に捉えるため、具体的な作業手順だけでなく業務管理者の目線で業務全体を理解することができます。

例えば、2023年には内閣人事局・人事院・デジタル庁共催の「令和5年ワークスタイル変革取組アワード」にて、BPMNを使用して複雑なプロセスを可視化して整理した事例が最優秀賞を受賞しました。

(改正法に対応したBPMNモデリング手法を活用した輸出検疫プロセス効率化と若手植物防疫官プロジェクトチームの活動(農林水産省)報告より抜粋)

BPMNは人材教育においても教える側、教わる側双方に有用

なのです。


ITエンジニア向けの説明

BPMNはビジネスロジックを図解する

ITエンジニアの皆さんは業務システムを開発する際にフローチャートを作成することが少なくないと思います。フローチャートを作成する目的はいくつかありますが、BPMNはユースケースとビジネスロジックを表現することが得意な表記法です。

特に業務の処理開始トリガー・終了時の振る舞いや判断分岐・並行処理の表現は細かく図形で表現できるためユーザーと認識を共有しやすく、要件定義時の認識齟齬が起きにくいという特徴があります。

BPMNは業務を構造化する手法

BPMNの真価は、オブジェクト思考で業務を構造化できるという点にあります。

BPMNの“BP“は業務プロセスを意味し、フローチャートでは業務プロセスの入出力情報の流れを矢印の線で表現します。

業務プロセスは「入力値を変換して出力する」ものとして定義されています。つまりフローチャートで表現されている業務の図形はシステムのモジュールやオブジェクトであり、部品化された個々のオブジェクトを組み合わせて業務要件を達成する設計図がBPMNなのです。

BPMNは企業活動をプログラミングするツール

BPMNは単なるフローチャートではなく、事業活動をプログラミングできるツールとして仕様が定義されています。人間の活動である事業をオブジェクト思考で部品化し、構造化してビジネスロジックを設計することがBPMNのもう一つの側面です。

BPMNは業務の自動実行を統合管理するシステム(BPMS)の設計図として定義されており、BPMSはBPMNの情報に基づいて様々なシステム・ツールの自動実行を管理します。

もしあなたが業務システムのエンジニアであれば、BPMNはとても興味深いものであると思われます。

もしよろしければ、この機会に学ばれてみてはいかがでしょうか。


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