近代美術わからん!→楽し〜!になったTORIO展
『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアートコレクション』に行ってきました。
東京国立近代美術館で開催されている、東京国立近代美術館、パリ市立近代美術館、大阪中之島美術館の3箇所に収蔵されている近代の美術品を、一同に鑑賞できる展示。
美術館は本当に久しぶり。
デザイナーの端くれなので、前は興味があれば行ってたんですが、4年前のコロナ禍から足が遠のいてしまい…。
友だちに誘われたものの近代美術にはあんまり明るくないので(古い時代の美術の方がスルッと入ってくる)、「どんなのかなぁ?」と曖昧なイメージとふわっとした知識のみで訪れたんですが、結果すーごく楽しかった!
セクションごとにテーマが設定されてて、それに対応する芸術品がそれぞれ東京、パリ、大阪収蔵から各1点ずつ展示されているんです。
テーマごとに、基本3点以上を並べて展示。
これが新鮮で面白かった!
初めての体験でした。
テーマ縛りからの比較で、それぞれの土地の空気感や価値観の違いが浮かび上がってくるようで…。
展示冒頭の、スナップ写真のセクションからすごく良くて。
パリの写真、ものすごく長いバゲットを2本抱えて歩いてる人の後ろ姿、ちょっとマンガ的で「まさにパリ!」を表しててニヤニヤしてしまう。
一方東京は、煙草を吸うおばあちゃんの横で、サングラスをして決めてる女の子の写真がスーパーイケてる。遺伝子しか感じないぜ。
ちなみに写真撮影&SNS投稿が許可されていて、投稿の際は作者名と作品名、所蔵者を明記することがルールです。
異なる文化、場所で比較することって、違いを感じると同時に、普遍性も見えてくるので好きなのですよね〜。
頭の中がふわふわ温かい空気で満たされる気がします。
テーマも多岐にわたります。
『都市』や『科学』といった、比較的に無機的なトピックが繰り広げられた後、個人的にギュン! と引き込まれたのが『意識と無意識』。
産業社会へ転換していく中、次第に精神に軋轢が生じる人が増え、精神性を形にした美術、近代化への警鐘、意識と無意識というトピックの深化につながっていった……。
うーん、好き。
やっぱり精神と神秘の世界の話題は、スッと頭に入ってくるなぁ。
このセクションにダリの作品が1点あって、過去にダリ展に行ったこともあり、今回も展示一惹かれました。
おそらく「無意識」を表す支離滅裂さ(いい意味で)と、恐ろしいほどの写実性が共存する作品。思考を超越した世界を思い起こさせてくれる。
好き。
美術鑑賞をしているうちに、いつの間にか最後は自分との対話になったな〜。
最後は抽象的なスタイルにも踏み込みつつ、どのセクションも楽しめました。
展示のキャッチコピーは「見て、比べて、話したくなる」。
もちろん人と語り合うのも楽しそうですが、自分の対話も深まりそうな、面白い展示でした!
スタートが「近代美術全然わかんないけど⋯」だったことを思えば、そのハードルを越えさせてくれて、見やすくて、最後は「自分はこう感じた〜」って発したくなったのがすごい!
作品一つ一つの力はもちろん、展示の編集力が素晴らしかったと思う!
会期は8/25(日)まで。
一夏の素敵なアート体験になりました。