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私にライブハウスの楽しさを教えてくれた人たちのことを思い出してみた。

最近、コロナ禍のせいなのかなんなのか、昔のことを思い返すことが多い。

昔のことを思い返すには、その頃の写真を見るのが一番手っ取り早い。

そしてそれと同じくらい手っ取り早いのが、当時聴いていた音楽を聴く事な気がする。

私の場合

小学校時代→KinkiKids

中学校時代→唄人羽

高校時代→RADWIMPS、フジファブリック、などなどバンド系

ちなみに高校時代に初めてできた彼氏はバンドマンで美術部というよくわからないクセのある人だった。

軽音楽部とか吹奏楽部じゃないのか?と密かに思っていた記憶がある。


そんなことはさておき

高校時代からバンド系の音楽は聴いていたものの、ライブハウスに行く勇気はなく、浅ぁーい知識ばかりが膨らんでいた。

頭でっかち。

そして頭でっかち女が大学に入学。

そこで知り合った友人がライブ好きで、フットワークも軽く、私のように殻に閉じこもりまくった生活とはかけ離れている人だった。

私は見える世界をその子に広げてもらったんだろうなと今になって思う。


そんな友人に、初めて好きなバンドのライブに連れて行ってもらった。

何も知らないのに、その場では初めてだと思われたくなくて、ずっと平気な顔をしていた。

と、思ってはいるけど、きっとそんな顔できていなかったんだろうな。

だから何も知らずに、近くで見たいというミーハー心だけで前から2番目くらいの位置を確保した。

BGMがだんだんと大きくなり、同時に会場全体が暗転していった時、ぐぐぐぐぐぅぅぅっと全体が前進して、ぎゅうぎゅうと四方八方から人間が押し寄せてきた。

プチパニックだった。

明転と同時に耳をぶん殴られるほどの大音量、歓声と熱気。

マジか。と思った。

いや、マジか。ともうまく思えてなかったかもしれない。

そこからはもう演奏を聴くだとかアーティストを見るだとかそんなことよりも、ただその場でまわりの波に身を任せて、押しつぶされたり弾き飛ばされたりしないように耐えるだけの時間だった。

終演後、離ればなれになっていた友人と再会した時、友人はすごく楽しそうだった。

だから私も楽しかったふりをした。


それからも何度かライブに足を運んで、その度に周りを気にしながら

どのタイミングで跳ねるんだろう。

ここで手を振り上げるのか。

この時はこんな感じで揺れるのか。

こういう時に叫ぶのか。

これで合ってるのかな。

そんな事ばかり考えていた。

私にとってそれが『ライブ』というもののスタンダードになっていて、特にそれが嫌だとかも感じなかった。

そうやってみんなで一体感を創り出して楽しむものだという認識になった。


そんな感じでライブライフを過ごしていたある日、いつものように友人に誘われて、よく知らなかったバンドのライブに行った。

駅から少し歩いたところの細い路地にある、ちょっと新しいライブハウス。

少し寒い夜。

いつものように、半袖、短パン、スニーカー、首にはタオル、ポケットにはドリンク代。

それ以外はクローク。

クロークという名のでっかいビニール袋。

入場したフロアは小さく横長。

いつものように、真ん中よりも少し後ろ。

いつものように、BGMが大きくなり、場内が暗転。

いつものように、ぐぐぐぅっと観客が全体的に前へ。

いつものように、明転と爆音、歓声と熱気。

いつも通りのライブだった。

でも、すぐにいつもと違うことに気付いた。

ステージから踊れぇぇぃという煽り。

フロア全体が一気に揺れた。

揺れているけどみんながバラバラ。

バラバラだけど、えげつない一体感。

なぜか前の人と目が合ったり、なぜか後ろの人と目が合ったり、横の人と肩をぶつけながら目を合わせて笑ったり。

私は曲を知らなかった。

それでも体を動かした。

体が勝手に動いた。

動き方なんて知らなかった。

周りを見ても、それに統一感はなかった。

統一感は無いけど、一体感はあった。

終演後、いつものように汗まみれで、息も上がっていたけど、体の感覚はいつもと違った。

もし、サウナで言うところの「ととのう」のようなものがライブにあるとしたら、これがそれなのかもしれない。

そしてふらふらといつものようにバーカウンター前で友人と再会した。

そこで初めて、私の方から楽しかったと言った。


その日から、私の思う『ライブ』が変わった。

動き方なんて決まってない。

自分が動きたいときに動きたいように動けばいい。(危険行為はダメだけども)

隣や前や後ろと揺れる方向があってないだとか、タイミングが合ってないだとかそんなことは関係ない。

手だって振り上げたいときに振り上げればいいし、振り上げ方に決まりはない。

コール&レスポンス的なそういうお約束はあるんだろうけど、それを知らなかったとて別に恥ずかしいことじゃないし、いけないことじゃないし、知ってるからって自慢するようなことでもない。

違うバンドやイベントのTシャツで参加するのは失礼だなんて意見をネットで見て少し悩んだこともあったけど、そんなの笑っちゃう。


ライブってそんなに難しく考えて行くもんじゃなくて、もっと何も考えずにただ体でその日の音楽を浴びればいいだけだった。

統一なんかしなくても、全員が同じように同じものを見て聴いて楽しんでいれば、一体感なんて自ずと出てくるもんだった。

それを教えてくれたそのバンドとその日の会場の人たちに私は感謝しているし、10年以上経った今でもそのライブが忘れられない。


まあ、こんなこともまた、難しく考えすぎなのかもしれないけど。



BGM:踊る脳/MONOBRIGHT

この曲の公式っぽいライブ映像が無いのが悔しいなぁ。












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