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心の余裕ことお徳用湯葉

想定外の組み合わせにときめく時がある。
例えばフワンフワンのチュールスカートとカッチリしたジャケット。例えばコンクリート打ちっぱなしの部屋にフランスアンティークの家具。例えばほうじ茶とラベンダーのダブルのジェラート。

「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の出会いのように美しい」じゃないが、思わずドキッとして手に取った結果めちゃハッピーみたいなことがほとんどだ。なんなら物だけではなく概念やアイディアでもその意外性はもたらされるだろう。
そう、「お徳用湯葉」の、ように…

先日、デカい袋でお徳用湯葉を買った。お徳用という概念が高級食材・湯葉と組み合わさることあんの???と二度見した。その結果2度とも「お徳用の湯葉」だったので思わず手に取り、湯葉なのにお徳用、お徳用なのに湯葉、これはZangShing(斬新)…とニヤつきながら購入に至った次第である。

どれくらいデカいかと言うとお菓子で言うならファミリーパックくらいの袋、内容物としてa4サイズの湯葉がザワッと入ってて、あとはそれらが砕けたチップスみたいなやつもちらほらある。これまでいわゆる市販の湯葉って、なんかイイ感じの箱に入ってたりとかイイ感じの真空パックにされてたりとか、そういう売り方のものばかり目に止めては「いいなぁ、まぁ、食べ方思いつかないケド。。」と思ってきただけだったので、こんなアグレッシブスタイルの湯葉があるなんて〜という、なんならちょっとギャグを受け止めるみたいな気持ちに近かったかもしれない。

一つ問題があるとすれば、従って我が家では市販の湯葉を買ってきたことがないため馴染みがなかったことだ。クソデカお徳用湯葉の裏の説明文には「サラダ、炒め物、煮物、お味噌汁など幅広くお使いいただけます」的なことを書いてあるがどれも未知数だ。うーん、まぁなんとかなるだろう。とにかく湯葉よ、ようこそ我が家へ。

しかしそこからの湯葉の躍進はすごかった。急遽加入したメンバーにもかかわらず、炊き込みご飯に始まり、茄子とひき肉をとろとろにしたやつとか、野菜炒めとか、意外と何にでも美味しく馴染んでくれるのだった。感覚としては繊細な油揚げというイメージだ。
とりわけ味噌汁に入れるのはもう最高で、ミョウガや三つ葉など香りのしっかりした野菜と一緒に食べると本当に美味しい。プルプルムチムチの優しい味がたまらないのだ。

お徳用湯葉じゃなかったら、こんな味わいは知らなかった。あれこれ試せたおかげで新しい美味しさを随分知ることができたなと思う。
しかし思うのだ。大切なことは「お徳用」と「湯葉」の「意外な組み合わせ」、それだけではない。余裕だ。お徳用がもたらす量、それによって生じた心の余裕が挑戦を許してくれたのである。

今まで見聞きしてきた湯葉はちびちびおひたしや刺身にしてだけ食べることしか頭になかった。しかしこうしてファミリーパックほどでかい袋にワンサと入っていると、勿体なさよりも挑戦したさが勝ってくる。あれしてみよう、これしてみよう、なぜなら沢山あるから!となるのはごくごく自然な心の動きだろう。

不覚にも未到の挑戦や新しい喜びの探索には余裕が味方になってくれると教えてくれたのだ。
もう哲学だ。恐るべし、お徳用湯葉。

湯葉、お徳用ならなおさら、大好き。

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