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(1)精肉店の作り方(保健所&物件選定編)

今までのおさらいです。我々はアメリカ視察をして

試作品作ってプロにチェック頂いて

ホームパーティー形式で反応確認&ビジネススキーム確立しました。

いよいよ、熟成屋さんの立ち上げ、熟成拠点を作ることにしました。これは2019年10月の頃の話です。条件としては、店舗型ではなく、オンラインを想定したあくまで熟成倉庫であること。広さは、10坪程度で家賃は5万円以下で設定。

精肉店のスタートアップという異例

精肉店の営業許可を取るには保健所申請が必要です。結論からいうと、どこの保健所も近年の実例ナシでした。新規参入が少ない業界であるのを確認しました。

精肉店を申請する実態

精肉店を営む上で、営業許可は複数あり、所轄する保健所に相談することからスタートしました。都内近郊と設定しているだけでしたので、渋谷・江東・江戸川の三種類の保健所に相談してみました。

「あまりこの地域での申請は経験ないです」

大概がこの反応で、保健所に相談して分かったことは、食肉販売業にせよ食肉処理業にしろ、近年で申請した会社はほとんど無いといこと。

「次回までにちょっと確認しておきますね」

こんな感じで質問しても、担当者も知見がないので、その場での回答を避けるか、古い書類を持ち出して、確認するような状況でした。


何が必要なのか?免許の分類はどれか?

施設基準を粗く要約すると、「水洗いできる清潔な環境を確保する」ということに尽きます。細かい規定をあげているとキリがないので割愛します。

(1)食肉処理業
(2)食肉販売業

上記のどちらかになります。(1)食肉処理業は、屠殺・解体卸販し卸販売を行う際に必要となります。(2)食肉販売業は、レストランや個人のお客様に販売する際に必要となります。

※保健所によって見解の相違があるので、施設の所在地を所轄する保健所に事前相談が必要です。私たちは食肉販売業という営業許可が必要であることが判明しました。営業許可を取得するための主な施設基準は下記URLに記載されていますhttps://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/eigyounavi/flow/regulation/

固定費を如何に抑えるか。

「10坪&家賃5万円、内装はできる限りDIY」

前述の通り、これが私たちの最初に決めたルールでした。飲食ビジネスにしても何にしても固定費というのは、常に重要なポイントになります。好立地であればあるほど、リスキーでもあり、勝負するポイントにもなる。幸い、店頭販売する予定もなく、立地条件への制限がないので、辺鄙な場所や工場でも衛生面と通勤面がクリアできれば、OKの予定でした。

やっとの思いで見つけた物件がまさかのキャンセル

我々がアクセスしやすい都内近郊で探していましたが、全然見つからず。仕事で不動産を探すということは初めての経験でしたが、良い物件は全然見つかりません。それもそのはず。なぜなら、飲食店OKとなると必然的に好立地になります。我々が望んでいるような家賃の安い不便な立地にはそもそも対象となるテナントは殆ど存在しません。

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来る日も来る日もWEBサイトで物件を探す日々。

「これはちょっとマズイな。。。」

という流れの中、自分の自宅を決めたときの仲介不動産会社さんへ相談しました。さっそく次の日に、連絡が入り、我々は現在江東区に在住していますが、隣の江戸川区の篠崎駅から徒歩5分という物件が見つかりました。

もう条件も全て理想的だったので、内見後すぐ申し込み手続き完了。

「申し込みには、審査が必要になります」

前職のノウハウがあるわけでもない我々はこの「審査」という言葉に少し構えてしまいますが、無事に保証会社の審査を通り、喜びを分かち合いました。

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少し大げさですが、それぐらい不動産探しには労力がかかりました。

しかし、後日不動産会社から連絡があり、オーナーから契約をキャンセルの申し出があったと。まさかの出来事過ぎて、かかってきた電話にも関わらず、話も聞かずに「この度はありがとうございました。」と言った後のお通夜みたいな会話が心に染みました。

結論からいうと、肉の匂いNG。
以前、オーナーさんは餃子屋さんに物件を貸したことがあり、餃子の臭いが気になった経験があるようでした。

一般的にな流れとして、不動産契約の場合、まずオーナーさんの意向を確認します。そして不動産会社がOKするかどうかの審査に入ります。もちろん、本件も最初にオーナーさんの意向は確認されていました。それだけに、オーナーさんのどんでん返しかよ、、、という感じでした。

そのとき不動産の方がおっしゃった不動産名言?をご紹介します。

「非常に残念ですが、不動産業界では直前のキャンセルというのは極まれに発生します。ですが、後から考えるとそのキャンセルに助けられるということが多々あるのです」

これは非常によくできた営業トークです。
特に私たちのような楽観的思考者は、過去を美化するからです。
電話を受け取った場所の近くにある神社でお祈りしたのは良い思い出です。

結局、都内から神奈川埼玉千葉も含めた範囲で検討し、最終的に神奈川県の川崎で物件が見つかりました。これが現在の熟成拠点です。

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代表は子守をしながら内見してました(笑)

結果的に、キャンセルで良かったこと

不動産会社の名言通り、あのキャンセルには助けられました。
ここの物件は、保健所の許可の必須条件であった、排水工事に耐えうる構造ではなかったのです。保健所の敵である木がふんだんに使われた暖かみのある内装だったのです笑 あのまま続けていたら内装工事費が凄まじい金額になっていたかと思います。なんにせよ、無事に契約完了し、晴れて施設基準を満たす準備に入りました。書いているとあっさりしていますが、本当に楽な流れではなかったです。

とはいえ、無事に物件も決まり、手作りで設計図を作り、内装工事会社さんへ依頼する流れになりました。

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