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学びを開放する、たった2つの方法 〜どこがく取材から得たインサイト〜

「大人のマインドセットが変わらないとダメでしょ」

冒頭、強く切り込んだのは、Youtubeでの新しい学びを届ける "どこがく" の小林先生だ。

これは、筆者が "どこがく" ファウンダーの小林先生、山田先生、新井先生にインタビューし、そこから得た「学校を啓く」アイディアを、変革の渦中の先生方へお届けする記事である。

写真:インタビューを終始、笑顔で積極的に受けてくださった御三方

急激に「より戻し」が起こる教育現場

新型ウイルスの脅威により、従来型のパラダイムからの脱却を余儀なくされた世界。

変化の荒波は教育界にも及んだ。

学校現場は荒波に揉まれながらもなお、ICTの活用により、「学びを継続」させた。

先生方の熱意、絶えぬ好奇心がチャレンジを生み、教室に制約されない、新しいパラダイムの扉をこじ開けた。

しかし、登校自粛が明けた学校では、新しいパラダイムでの教育改革は脇に置かれ、授業時間を確保するトレンドだ。

まさに「より戻し」が起きているのだ。

「学びたいひと」と「共に学ぶひと」がいればそこはいつだって 学校 になる。

"どこがく" の建学の精神は、まさにこの新しいパラダイムを、コロナ前から見据えていた。

決してきらびやかな言葉で飾らず、それでいて私たちの心に横たわる朧げな鬱積に「このままでいいのか?」と訴えかける。

インターネット空間で、世の中の先生方をインスパイアする、新たな学校。

登校自粛が明けた直後、いてもたってもいられなくなった筆者は、いつの間にかどこがくの小林先生に面会の約束を取り付けるためのメールを打っていた。

創設メンバーである、小林先生、山田先生、新井先生はお忙しい中にもかかわらず、二つ返事で快く引き受けてくれ、独占取材することに成功した。

まずは御三方の紹介だ。

学校を取り囲む有刺鉄線

「教科・時間・予算・・・学校に絶望していた。もっと自由な学びがないものかと、気付いたら、探究学習に目が向いていた。」

と語るのは、小林勇輔先生。

教員16年目の小林先生は、湘南学園中学校高等学校にて現役の情報科教員として勤務されている。

オープンマインドに他分野に跨って研鑽される小林先生は、以前は理科の教員をされていた。

探究学習に惹かれ、またご自身も探究される中で、テクノロジーの魅力とその可能性を確信し、情報科にコンバートを決意。

また、GEG鎌倉のリーダーとしても数多くのイベントを手掛け、生徒だけでなく、日本の多くの先生方をリードしてきた小林先生は、熱意はもちろん、ユーモアが際立つ先生だ。

5科の遅れをナントカ・・・してる場合ではない!

「教科学習に穴が開くことは、子どもたちにとって良いことではありません。しかし、起きて欲しかったのは、時間に制約されない新しい学びへのパラダイムシフトです。」

同じ湘南学園中学校高等学校の国語科の教員である、山田美奈都先生。どこがくの先生方の中でも、一際生徒思いで情熱的、そして愛溢れる先生だ。

湘南学園では14年目の教員となる山田先生の問題意識は、日本の学校全体の仕組みに対するものだ。

例え子どもたちが中学や高校で良い経験をしても、「私ならやれる、任せて!」と言えるような、真の自信をつけることは、なかなかに難しいと言う。

ある日、山田先生の元を巣立った立派な卒業生の中の一人から、山田先生が言われた一言。

「確かに高校まで、良い経験をさせてもらった。でもレールがない学びはハンドリングがかなり難しく、自分は卒業してなお、主体的に学んでいける自信がない。」

この生徒の一言は、山田先生の煩悶に追い討ちをかけた。正しいと信じてます、実践してきた新しい学びよりも、教員主導で進める教育活動の方が、遥かに御し易い。ただそこには自己効用感と負の相関が在りそうだ。

世の先生方は本当に毎日、まさにコロナ下では、血肉を削りながら生徒のサポートに奔走している。

学校という仕組みの上では、どうしてもレールしかざるを得ない側面がある。

だが、真に自信をつけるための教育活動は、生徒に成果が求められるもの。そのような活動は十分な時間設計し、学校の外に出て、コラボレーションを経験してこそ実現すると山田先生は言う。

ある程度自由度の高い環境でこそ培えるものがあり、それは学校の枠組みの中だけでは実現し難いようだ。

教室を飛び出す学び

「思ったより、教育界により戻しが起きるのが早かったですね。このまま教育界に横たわっているレールが外れて、一直線に行くと思っていました。なかなかうまく行かないですが、それも面白い。」

そう語るのは、相模女子大学中学部高等部の美術科の教員である、新井啓太先生だ。

油絵が専門で、陶芸も熟練の腕前をお持ちの新井先生は、ご自身で「アナログとデジタルが重なるのが私です。」とご自身を語る。

面白さという枠組みでは、アナログもデジタルも同じであり、新井先生はICTを学び活用するのは、表現する身として、極々自然なことだと言う。

かねてより、場所に依存しない学び教室を飛び出す学びを設計しながら「面白いってなんだろう」を探究していた新井先生は、地球の裏側でこんな取り組みもされている先生だ。教員南極派遣プログラム

オープンな学びとは

三人の教育理念には共通する概念がある。それがどこがくの理念に言語化されているのだ。

人は好奇心に嘘はつくことができない。洗脳に近い学びは子どもたちに能力は持たせれど、意思は持たせられない。

この三人が筆者に訴えかけることは、シンプルにこの「好奇心」に正直でいることに集約できるように思う。

オープンな学びとは、生徒の世界観や興味関心に、じっくりと寄り添い、共感し、共に学ぶ中で育まれるのかもしれない。

学びを開放する、たった2つの方法

「理想の学校を議論する機会がないから、過去の慣例にしがみつく。」

と語る小林先生。

まずは、教員たちが新しい学びを自分たちで定義し、その学校でしか学べない価値に据えなければ、従来型の受験のための学習で終わってしまう。

信じがたいことかもしれないが、偏差値一辺倒な見方の重力は今も変わらず働いているのだ。私たち大人世代が、総じて脱却しなければ、器に余裕を持たせることができないだろう。

そう、学びを開放するためのファーストステップは

①「慣例」と決別すること

だからこそ新しいオープンな学びを醸成する土壌が整うのだ。

評価ありきだから生徒が枠にハマる。比較の中で生きることは子どもたちにとっては辛いことになりうる。子どもたちは自由に、在りたいように過ごし、好奇心のままに学ぶ。つまり、選択肢を作り、提示することに価値があって、そういったことをこの "どこがく" で実現したいのです。」

と新井先生は語る。

学校には中央集権的な評価がついてまわる。これは逃れられない事実。

相対評価で数値化したもので、ラーニングコンパス2030に示されるような、責任を持って変革を実現していく子どもが生まれるだろうか。

そう、セカンドステップは

②画一的な評価との決別

学ぶことを学校だけに限定する必要がどこにあるのか。御三方と話せば話すほど、そのことを考えさせられる。

5年後実現したいこと

「学外から、大事な気づきを与えられる存在になりたい。どこがくのオフラインコンテンツで出張授業なんか、魅力的だと考えています!」

と山田先生。

読者の皆様にも是非、ご覧になっていただきたい。
"どこがく" ラインナップはますます充実する。

“どこがく“ YouTubeチャンネル

ご覧の通りのオンラインのコンテンツは、教育者の我々にとって、自身の教育活動に転用可能なアイディアを得やすい設計となっている。

オンラインで影響していく方法だけではなく、オフラインでしかできないことにも目を向けることは、人がリアルな世界に存在している強みを生かす学びに繋がるだろう。

多感な子どもたちのWell-beingに迫る良い学び場はこういった思想から生まれると、筆者は確信している。

御三方が今も現場で教育実践をされながら、オンラインで "どこがく" は今日も世に問い続ける。

「学びたいひと」と「共に学ぶひと」がいればそこはいつだって 学校 になる。

今後も、" どこがく " から目が離せない。

いつも応援してくださる皆様に田中GT善将は支えられ、幸せ者です。ありがとうございます!