プロジェクトあるある(88)
プロジェクト本日のプロジェクトあるある:
「チーム内にプロジェクト管理を意識する人が存在しない大型案件は、間違いなく炎上する」
あまりにも当たり前あるあるなのですが、今日は昔の苦い経験をご紹介します。
「特定の期間に40-50の教育施設へネットワーク機器を設置し、配線を実施し、ネットワーク接続を確認、試験成績書と完成図書を納入する案件。」
こう聞いて、あなたはどんなイメージを持たれるでしょうか。
純粋に40-50拠点になにか作業をするので、順番にやっていかないといけないので大変なんだな、というイメージは沸きますよね。
こんな案件に対してプロマネをたてないばかりか、チーム内にプロジェクト管理を意識する人が全くいないまま進み、地獄を見たというお話です。(私が地獄をみた案件の5本の指に入りますかねw)
当時私は、九州地区のSE部門の課長代理というポジションでした。
肩書はあれど、エンジニア数名で九州全域の案件をサポートしなければならなかったため、自分自身もエンジニアとして活動する、いわゆるプレイングマネージャーでした。(人事権はなかったので管理職とはいえないかな)
そんな中、飛び込んできた案件が、最初に書いた案件でした。
当時、まだ九州部門が立ち上がって間がない事や、いろんな個人間のアレがあって(アレって何?というのは察してください(笑))、個々の営業が受注してくる案件によってエンジニア部門が担当したり、営業が直でさばいたりしていました。
まだ、案件全体の状況を把握する、というような意識も仕組も確立していない状況だったのですね。
この教育施設にネットワーク機器を設置する案件については、ある営業Sさんと、エンジニア部門のあるメンバーM君、そして常駐してくれているお抱えの業者さんJさんの3人で話を進めていました。
私は私でいろいろ案件を抱えているのでそちらに没頭し、私はノータッチでいました。
横目では、現場作業はなんとなくさばけているような感じでしたが、大変そうだな、という感覚はありました。
そんな案件が、あるフェーズから炎上が始まりました。
それは、「完成図書」の作成と「施主検査」です。
まず、完成図書でネットワーク構成図を作成しなければなりませんが、把握しているのは業者のJさんだけだったのです。
彼も現場の調整やいろんな作業がめちゃくちゃあるので、完成図書のための構成図を作成する時間が作れません。
結果、Jさんは無理をしはじめ、土日はもとより徹夜作業が続くようになります。
もともと現場の人なので、そういった図を作成した経験もそれほどありません。そんな状況で作成した図面ですから、よくわからない部分があったり、あきらかに間違いだろう、という部分が頻発しました。
それを確認しようとしても、今度は彼が捕まえられないのです。あちこちから連絡が入りすぎて、ずっと話中。そうこうしているうちに携帯のバッテリーが切れてしまうという状況。
プロジェクトは危機的な状況となりました。
それでもどうにか完成図書を準備しながら、次に出てきた難問が、「施主検査」でした。
この案件は公的機関から受注したものだったので、最終的にはお役所の偉い方が各拠点でその拠点の完成図書を確認し、現場をチェックするということを行います。
このスケジュールが、お役所の都合で決定されてしまうのです。
スケジュールを見ると、とてもではありませんが、もともと関わっていたメンバーだけでは足りません。
この時点でようやく本部のある大阪へエスカレーションを上げるに至りました。
そうして検査に立ち会うための応援要員を派遣してもらい、凌いでいきました。
そうして、どうにかこうにか案件を納めることができました。
このお話、突っ込みどころ満載ですよね。
まず、案件全体のスケジュールを掌握してコントロールする存在がいませんでした。
というか、それを現場の業者さんに丸投げしていたのです。
信じられないでしょうが、関係者はそれでなんとかなるだろうと思っていたのです。
私自身も、大丈夫かな、と思いつつ忙しさにかまけて避けてしまっていました。この姿勢がそもそも間違っていました。
業者のJさんもそこまで自分がやるのはおかしいと思っていたに違いありません。
しかし、当時Jさんは九州地区で彼の業者の規模拡大というミッションを負っており、彼にしたら絶対に成功しなければならない案件だったので泣き言が言えなかった状況でした。
この案件で、Jさんの下で動いてくれた業者さんへの支払いの赤字分は、彼自身が負担したということを、ずいぶん後になって聞き愕然としました。
技術部門で一応責任者としていた自分としては、本当に申し訳ないとしか言いようがありませんでした。
今はどこで何をされているのかわからないのですが、彼には申し訳ないという思いが残っています。元気でやられていることを願ってやみません。
プロジェクト計画、プロジェクト管理を最初にきちんと決めて取り組んでいれば、忙しさは変わらなかったかもしれませんが、もっと余裕をもって取り組めたことはたくさんあったはずです。
今では複数拠点にシステムを導入する作業がいかにたいへんかということを知っているのでこんなことには絶対にさせません。
この案件、実はこれだけではなく他にも実にたくさんのトラブルと問題が勃発・発覚し、東京本社を巻き込んでの大騒動になったりました。
私も徹夜が連日続くことになり、実につらい思いをすることになるのでした。
まあ、その話はまた別のあるあるのテーマにマッチしたときにしましょう。
それではまた!
日々感謝 m(_ _)m
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