自分が読んだプロマネ本14冊の個人的書評を公開します
今回は、個々直近で私が読んだプロマネ本14冊についてご紹介したいと思います。
各書籍に対して、評価、概要・個人メモ、所感を書いています。
評価は★5段階評価です。自分がこれは良かった!というものは星5つ、お薦めできないかなぁ、というものは星1になっています。あくまで個人的な評価なので、参考程度でとらえてくださいね。
概要・個人メモは、私が読んだ時に控えていたメモの内容になります。自分が気になった説明やキーワードなどをメモ的に記録しているものをそのまま記載しているので、中身の雰囲気を感じてもらえるかもしれません。
本によってたくさん書いているものや、ほとんど書いていないもの様々なのでご了承ください。
所感は、読み終えて、その本に対してどう感じたかをまとめています。
なお、今回PMP合格を目的としたPMBOKの解説本・勉強本は除外しています。どちらかというと、プロジェクトマネジメントに関するさまざまなノウハウや考え方を広げるために役立ちそうな本を読みたい時に参考となるかと思います。
プロマネ本をこういう形でまとめているサイトってすごく少ないんですよね。それらのサイトと比較しても、冊数についてはそれらのサイトには負けてないと思います。
ちなみに、今1冊読んでいるものがあるので、それは読了したら書評を追記したいと思います。
1.最短で達成する全体最適のプロジェクトマネジメント(岸良裕司、KADOKAWA)
評価:★★★★★
概要・個人メモ:
・CCPM(Critical Chain Project Management)というプロジェクト管理手法に基づいたプロジェクトの管理方法をわかりやすく解説した本。
・プロジェクトに潜む6つの問題行動
①サバよみ
②予算と時間をあるだけ使う
③一夜漬け
④過剰管理
⑤早く終わっても報告しない
⑥マルチタスク
・マルチタスクでプロジェクトを進めることは、きわめて効率が悪い。優先順位をきめて、集中する。(選択と集中)その間、優先順位の低いプロジェクトには「手を付けない)
・複数プロジェクトを同時に行うと効率が悪いことを体感できるゲーム
(3つのタスクがある。
・プロジェクトのODSCを作成する(目的、成果物、成功基準)を若手を司会者にして自由に話し合う。そして、共通のゴールを作り上げていく。
・プロジェクトの線表は、基本逆線表で作成することを基本としている。(実際問題、納期が決められるプロジェクトがほとんどであることから)
・クリティカルパスのことをクリティカルチェーンと呼び、クリティカルチェーン上のタスクについて、余裕をつくっていけるよう、メンバーで話し合う。
・タスクに対してがんばったら完了できる期間に対し、ゆとりは50%もたせる。各タスクにわりあてたマージンを集約し、プロジェクト全体のマージンとする。
・リソースは、プロジェクト単位で割り当てるのではなく、タスクに対して割り当てる。そうすることで、会社として複数のプロジェクトに対するリソースの有効活用がはかれる。
・進捗率は、「あと何日」で管理する
所感:
・文章が平易でわかりやすい。図も多いし、文字もそこまで密でないため、読みやすい。
・実際の現場に即した逆線表でプロジェクト計画を立てる際、いかにマージンを作ってプロジェクトを成功に導くか、ということが参考になる。また、複数プロジェクトが同時に走る際にも、優先順位をつけて「選択と集中」させることの重要さが強くメッセージアウトされている。
・マルチタスクが非効率であることを体感するゲームは、とても有効だと思う。(いつかどっかで試してみたい)
・プロジェクトの害虫図鑑とそのマンガはなかなか秀逸。
・PMBOKを勉強した上でこの本を読むと、PMBOKにはない考え方が対比として深く理解できるかも。
2.マンガでわかるプロジェクトマネジメント(広兼修、オーム社)
評価:★★★
概要・個人メモ:
・ゲームソフト制作を通じて、PMBOKベースでのプロジェクトマネジメントをマンガベースで解説。
・マンガの後、文章でPMBOKによる管理手法やツールを解説。
・ベースとしては、プロジェクトのプロセス群にそった章立てとなっている。
-プロジェクト立ち上げ
-プロジェクト計画
-プロジェクト実行
-プロジェクト監視・コントロール
-プロジェクト終結
・解説文については、PMBOKベースの基本部分(でも最低限理解が必要な部分)を解説してくれているが、PMPのための勉強本としては内容足りない。
所感:
・とりあえずプロジェクトというものがどんなものか、という例としてはマンガ部分だけ読めば雰囲気は理解できる。
・コミュニケーションの重要性が色濃く表現されているのは良い。ステークホルダーとのトラブルエピソードもよい。
・プロジェクトが不確実性のともなうものということ、リスク管理を重視していることをきちんと書いていることは重要。
・文字が苦手な人が、とりあえずイントロダクションとして入るにはいいかも。
3.紙一枚に書くだけでうまくいくプロジェクト信仰の技術が身につく本(前田考歩/後藤洋平、翔泳社)
評価:★★★★
概要・個人メモ:
・プロジェクトがうまくいかない原因は「未知の未知(自分が知らないことすら知らない)にある。多くは「既知の未知」(自分が知らないことを知っている)ことに着目しがち
・プロジェクト全体を「プロジェクト譜(プ譜)」という一枚の紙で表現し、プロジェクトを円滑に進めるための技法解説本。
・プ譜は、3つの要素から成り立つ。
①今ある現在の姿
②未来と現在をつなぐ過程
③ありたい未来の姿
・具体的に記載する項目は5つ
1)獲得目標
2)勝利条件
3)中間目的
4)施策
5)廟算八要素(人材、予算、納期/リードタイム、クオリティ、ビジネスモデル、環境、競合、外敵)
・1)から5)の順で作成していく。(1から書いていくと、現状の条件でできることしかやらない
と考えがちになる)
・炎上予防のための3つの心構え
-認識を正確にする
-作業を正確にする
-意思伝達を正確にする
・プ譜を更新するための専任者「プロジェクトエディター」の配置を推奨している
所感:
・プロジェクト進行は技術であると言い切っているところが特徴的。プ譜自体は、どちらかというと「ロードマップ」の作成にテイストが近い。
・全くこれまで作った事のない製品やサービスを作成する、というようなプロジェクトにおいては有効か。
・途中、あーでもない、こーでもない、という感じの変更が入ってくるだろうから、その履歴を残していけるという意味ではよい。
・WBSよりはより概要に近いのかな。
・プ譜自体最初に作成したバージョンを進行とともに更新していくあたりは、ベースラインの更新に考え方が近いか。
・既に工程が決まっているようなプロジェクトに対して適用するとプ譜以外にWBSスケジュール表をやっぱり別に管理する必要がある。
・プロジェクトエディターという役割の人をプロマネと別にたてることができたらいけるかもだが、プロマネが兼任するとなるとちょっとしんどいかも。
4.予定通り進まないプロジェクトの進め方(前田考歩/後藤洋平、宣伝会議)
評価:★★★
概要・個人メモ:
・3.と同じ作者が書かれた本。プロジェクトが失敗する原因を説明し、さらにPMBOKの紹介をした上で、プ譜によりプロジェクトを進行することを提唱されている。・
・お客様と提供側のコミュニケーションロス
要望:プロジェクトを開始する根本となる動機
要求:要望をもとにして、正式に依頼する側とされる側の間で明示される情報
要件:要求をかなえるために、製造・実現する内容を明確にすること
仕様:製造するものに要求する形状、構造、寸法、制度、性能、製造・試験方法等の規定
設計:仕上がりの形や構造を図面などに表現すること
・プロジェクト工学における3つの法則
第一法則:やったことのない仕事の勝利条件は、事前に決められない
第二法則:プロジェクトにおいては、こうあれかしと考えて立案した施策が、想定を超えた結果をもたらす
第三法則:プロジェクトの過程における諸施策の結果もたらされる状況は、即座に次の局面における制約条件となり、ときにプロジェクトの勝利条件そのものの変更すらも要求する
・当たり前の発想を飛び越えるための方法・ツール
アナロジー(類推し連想する能力)
アフォーダンス(対象から与えられている行動の可能性に気付く能力)
アブダクション(仮説を立てて推論する能力)
・プロジェクトをよりよく理解し、膠着状態を打破するもの
-問題を「与えられたもの」から「自分のもの」にする
→問題の性質を変える
→文脈を変える
→問題の表現を変える
定量的な表現は、定性的な表現に変える
定性的な表現は、勝利条件を達成した時のユーザや社会の「状態」を書く
→中間目的を「質問」にしてみる
→閉じた質問は、開いた質問にしてみる(はい/いいえで答えられるものが閉じた質問、なぜ、どのようにを含むのが開いた質問)
→遡る(原点に立ち返って考える)
所感:
・3.の本のプ譜を実際に使うという前に、学問的にプロジェクト工学を理解したい場合には良い本かも。
・シンゴジラを使ってプ譜を書いてくれているのは、映画を見た人にとっては理解しやすい事例になっていると思う。
・トラブルが発生して前に進まない時の手法の紹介はプ譜を使う使わないにかかわらず参考にできるかも。
5.見通し不安なプロジェクトの切り拓き方(前田考歩/後藤洋平、宣伝会議)
評価:★★
概要・個人メモ:
・4の実践編としてプ譜の具体的な事例と進め方がより詳しく書かれた本。
所感:
・プ譜を本気で使う場合には、読み込んだ方がよさそう。
6.外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント(山口周、大和書房)
評価:★★★★
概要・個人メモ:
・プロジェクトマネージャがプロジェクトを進めるにあたっての心構えをオムニバス的にまとめている
・プロマネのみならず、リーダー論としても通用すると思う
・プロジェクトの技法や具体的なツールの説明はない。
所感:
・初めてプロマネを行う人が読む入門編というものではなく、ある程度プロマネを経験した人が読んだ方が深く刺さるんじゃないかと思う。
・文章の構成がすごくわかりやすい。外資っぽい。
・こういうオムニバス的に各項目を書くスタイルは、自分が考えていたものと近い。
7.Projectで実践する失敗しないプロジェクトマネジメント(大石守、日経BP社)
評価:★★★
概要・個人メモ:
・MSProjectの使い方の説明本。
・PMBOKのプロセスシーンに合わせて具体的なツールの使い方を説明してくれている。
・CCMPをベースにした表示もできるとわかり、ちょっとびっくり。
所感:
・MSProjectの使い方を説明してくれるマニュアル本がまさに欲しかったので、MSプロジェクトの機能やヘルプには本当にもってこいの一冊。
8.世界を動かすプロジェクトマネジメントの教科書~グローバルなチャレンジを成功させるOSの作り方(佐藤知一、技術評論社)
評価:★★★
概要・個人メモ:
・海外の会社とのプロジェクトを行うにあたって、日本で行うプロジェクトとの差異、注意すべき点、考えを変えなければいけない点を対話形式で解説していく。
・チャレンジのOS:企業の組織体制、
・ゴール、目的、目標の違い
ゴール:それを達成すればプロジェクトを終えることのできる「完了条件」。(what, where)
目的 :そのプロジェクトを発案するに至った背景ないし意図。(why)
目標 :そのプロジェクトが成功したかどうかを判定するためのモノサシ 。(How)
・プロジェクトの定義
-達成すべきゴールが決まっている(完了条件)→有期性、一度きり
-複数の人間が協力して行う(協力条件)
-失敗のリスクを伴う(リスク条件)→不確実性
・プロジェクトの種類は大規模/小規模の軸と受注型/自発型の軸で分類できる。
大型/受注型:PMBOKなど、専門的プロジェクトマネジメント技術が必要
大型/自発型:MSP、P2Mなどプログラムマネジメントの領域
小型/受注型:基礎的プロジェクトマネジメント技術が必要
小型/自発型:各種リーダーシップだけでもカバー可能な範囲
・成果物中心のWBS(P-WBS)、機能中心のWBS(F-WBS)
・WBSの作り方、成果物と機能のマトリクスで作成というアプローチ
所感:
・海外の会社と協業するときのお作法や考え方、契約の重要性、コミュニケーションの重要性など、PMBOKは全面にでてはいないが、その内容が会話形式で、わかりやすく説明されている。
・WBSの作り方は参考になる!
・交渉の仕方に関しても、参考になる!
9.実践WBS -プロジェクト指向経営の基礎-(林謙三、村上浩貴、鈴木祐介、オーム社)
評価:★
概要・個人メモ:
・WBS、WPを中心にして、会社をプロジェクト指向で経営していこうという考え方を展開している。経営にプロジェクトの考え方を適用していく考え。
・正直文章が難しくて読みにくい。プロマネがプロジェクトを勉強するには不向き。
・経営層が読む本?
所感:
・正直個人的にははずれ本。読んでも頭に文章が入ってこない。
10.担当になったら知っておきたいプロジェクトマネジメント実践講座(伊藤大輔、日本実業出版社)
評価:★★★★★
概要・個人メモ:
・ISO21500:2012をベースにプロジェクトを実践するにあたって必要な内容
・PMBOKのエリアとプロセス群の考え方がそのままISO21500で使われている
・プロジェクトに立ちはだかる3つの壁
ー「未来の目的・目標を想像すること」に課題がある
-「目的・目標を設定したが行動に移せない」という課題がある
-「実際に行動したが計画と現実が異なりすぎてあきらめてしまう」という課題
→これらに直面したら、プロジェクトマネジメントの目標設定、計画、実行、修正の3つの視点での手法を見直す
・目的と目標
目的:実現を目指すあるべき状態
目標:目的を達成するために目印になるもの、目的に向かって行動するにあたってあたって実現、達成を目指す水準
・目的を見出すためには、目標に対して「なぜ」の問いかけを繰り返していくこと。
・プロジェクト憲章についてはPMBOKと一緒。プロジェクトの奥的や目標を明確にするための手法として
「プロジェクトヴィジョンノートというものが障害されている
①このプロジェクトで何を達成したいのか?
②なぜそれを達成したいのか?
③達成することで会社や組織、顧客、自分、プロジェクトチームメンバーやステークホルダーはどうなっているのか?
④達成した際のイメージスクラップ(可視化する)
・プロジェクト憲章作成のためにどのくらいの時間を書けるのか。(かけすぎてもビジネスチャンスを逸することになりかねない)
・プロジェクト計画において、「要求事項」の洗い出しが重要。
-成果物に対する要求と、プロジェクトの進め方に対する要求がある
-Must、Should、Could、Won'tの4段階で分類
・ガントチャートの中にRACI表を盛り込んでいる。が、都度更新していくときには面倒な気もする。
・バッファ関連:
学生症候群→時間余裕を与えたとしても、最初にその時間余裕を使ってしまう
パーキンソンの法則→仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
→これらの無題を省くための方法は、各タスクでもっているバッファを全部吸い上げて、プロジェクトの最後にプロジェクトバッファとしてもっておく。
・スコープ、時間、コスト、資源のバランスが重要
・マイルストンでプロマネが実施すべき3つの判断
-承認(Go)
-やり直し(Repeat)
-中止・停止(Stop)
所感:
・ISO21500:2012をベースにプロジェクトマネジメントについて解説がされているが、文章はとてもわかりやすい。この本は、PMBOKの読み解き本と置き換えてもよいと思う。
・各プロセス部において実施すべきこと、大事なことをトピックごとに解説していってくれている。説明の流れもすごくよかった。第5章の思考についても、大切なところを抜粋して書いてくれており、すごくよい。
・これ一冊でプロジェクトを開始するための一冊にはなりにくいが、各フェーズでなにを意識すべきかということを知りたい時に手に取る候補の一冊である。
・PMBOKやISO21500をベースに書くとしたら、この本のまとめ方が理想に近いかも。
11.これいじょうやさしく書けないプロジェクトマネジメントのトリセツ(西村克己、パンダ・パブリッシング)
評価:★★★★
概要・個人メモ:
・プロジェクトの進め方、フェーズの分け方など、PMBOKベースというよりは作者オリジナルの経験がベースになっている模様。
・PMBOKの用語ではなく、筆者が実務で使ってきた(であろう)用語が使われている
・目的:プロジェクトがめざすべきゴール「xxのためにxxxする」
目標:目的をさらに数値化して定義したもの。プロジェクトで達成しなければならないもの
・各ワークパッケージの役割分担は、RACIではなく、主担当/副担当という分け方で説明しているぞ。。。
・レクチャの後の」豆知識はなかなか良い。
・独特の表現結構あるな
ープロジェクトのコミュニケーション計画→「管理システムの確立」という表現
-課題管理表→問題&対策リスト(しかも凡例は、課題を行単位管理ではなく列単位管理してる。。。)
・プロジェクトでコンフリクトが発生したときの対応
-トレードオフとの戦い(QCDのどれを取捨選択するか)
-プロジェクトオーナーを常に味方に引き込んでおく
-あいまいにしていることは悪い方に冨居海され、コンフリクトを生じやすい
・集中討議の活用によって、結束が高まる(集中、共有化、相互啓発、参画意識、創造)
→集中できる環境を確保(場合によってはオフサイトミーティングにすることもよし)
・報告書のフォーマットでA3のタテが書いてあるが、今時A3のタテって。。。。
・システムオペレーションマニュアルと現場への研修についてのフォローについての記述あり。(いいね!)
所感:
・社内プロジェクトを立ち上げたときに社内でプロジェクトをどう進めていくかということが、具体的な例をもとに書かれている本。
・さらに、プロジェクト発足前のフェーズ0からプロジェクト準備、プロジェクト発足の前半のフェーズ(戦略策定、要件定義、システム導入計画策定)のプロジェクトとしての進め方を手厚く説明してくれている。
・このフェーズを手厚く説明してくれている本はあまりなかったように思う
・実際のシステム設計・構築・導入フェーズはあまり細かく書かれていない。
・「これ以上やさしく書けない」というタイトルには若干異論あるが、社内プロジェクトにまきこまれたとき、最初の段階でなにをするかを知りたい時すごく参考になると思う。
12.この1冊ですべてわかるプロジェクトマネジメントの基本(好川哲人、日本実業出版社)
評価:★★
概要・個人メモ:
・プロジェクトの種類として①業務変革を行うプロジェクトと②基幹業務を行うプロジェクトがあるとし、この本では①に焦点を当ててプロジェクトの進め方を解説している。
・戦略とは達成したいゴールとそのゴールに至る道のり
・ビジョンとミッションの違いは2つの切り口から考えられる
-ビジョン→やりたいこと、ミッション→やらなくてはならないこと
-ビジョン→自身のためにやること、ミッション→他者のためにやること
・ビジョン・ミッションを実現するために、業務目的を設定する。この目的をブレークダウンし目標を設定する。
→目標が達成できれば目的が達成し、ビジョン、ミッションが達成するということになる。
・目標を達成するためにシナリオを作成する。この、目的、目標、シナリオのセットを「戦略」と呼ぶ。
・プロジェクトの考え方は2つ
-チームや人のマネジメントを中心にする方法。創造的な成果を求める場合に有効。
-工学的なアプローチ。PERTやQCDなどを駆使。計画に成果を求める場合に有効。
・フェーズの考え方は基本PMBOKベース。
・プロジェクトマネジメント計画とは以下の3つをいう。
-ベースライン計画
-変更管理計画
-ファシリテーティング計画
プラス「プロジェクト計画」
・プロジェクトを成功させる5つの要因
①ゴールの共有
②ゴールまでの道のりと責任の計画化、および計画に基づく管理
③的確なスコープのコントロール
④コミュニケーションの活性化
⑤上位組織によるプロジェクト支援
・スコープクリーク:いつのまにかスコープが当初決めたものから変わってしまっているというもの
・ドライビングフォース:企業の未来に対する戦略的ビジョンを決定する最も根本的な因子
商品
市場
技術
生産能力
販売手段
天然資源
規模/成長
売上/利益
所感:
・会社の経営層が事業をプログラム・プロジェクトとみなす考えで進める場合に、PMBOKの手法や考えをどのように落とし込むのかが書かれていると思う。
・会社の中期計画としてどのように戦略を立案し、革新プロジェクトをどのように企画し、実プロジェクトまで落とし込んでいくのか最初のフェーズについてすごく細かく説明してくれている。
・正直、文章は(自分にとっては)読みづらい。頭に入ってこない。この人のまとめ方の問題なのかなぁ。
・自分が知らない用語がちょくちょく出てきた。(ドライビングフォースなど)そのへんは知識として参考になった。
・プロマネとして勉強するというよりは、自分が経営企画室にいて社内の事業計画なんかをとりまとめないといけないような場合に参考になるかも。
・プロマネとして基礎を学ぶという類の本とは異なる。
13.プロジェクト現場のメンタルサバイバル術~16の物語から読み解くプロジェクトマネジメント術と人間術(プロジェクトマネジメント学会、鹿島出版会)
評価:★★★★
概要・個人メモ:
・プロジェクトを通じてプロマネやプロジェクトリーダーになった人たちが、プロジェクトの様々な要因からストレスをため込み、心が壊れていく16の物語を紹介。
・プロジェクトマネジメントは、プロマネの不安やメンタルを守るツールになる。
所感:
・プロジェクトマネジメントの手法を、プロマネのメンタルを守るという観点から書かれた一冊。
・プロマネの手法を勉強するためというよりは、実際にプロマネを経験している人たちが、どんな状況のとき、PMBOKのどの手法やツールが自分を助けてくれるのか、考えることができる。
・心療内科や精神科にかかったことはないが、同じような追い込まれ方は経験がある。自分にとっては、正直心の苦しくなる一冊だった。これは中堅PMやマネージャにこそ読んでほしい。
14.プロジェクトを変える12の知恵-ケンブリッジ式ファシリテーション-(影山明、日経BPマーケティング)
評価:★★★★
概要・個人メモ:
・要件定義は、「やること」と同時に「やらないこと」も整理する。
-やらないことについては、その理由も明確に文字化する。それによって、後に言った言わないや、納得していないものが再燃するなどといったことを防ぐエビデンスとなる。
・プロジェクトゴールを明確にする(CSF)
-ゴールを明確にしないと、なにをもってプロジェクト成功かがはっきりしない。
・ノーミングセッション≒インターナルキックオフ
-チーム内で、自分の理解している担当、他メンバーに期待していることを明確にする
-一気にチームの結束力を高めることが目的
・チェックポイント(振り返り)を必ず実施
-Meetingを実施したら、チームメンバーで短くても実施。各自からMeetingの感想を言ってもらう
・プロジェクトのグラウンドルール(ゴールデンルール)を決めて壁に貼る
・80・20ルール
-資料などを用意するとき、納期までの20%の時間で80%の成果が得られるならそれでよいという考え
→ただし、関係者全員が同じ認識であることが重要
・イエローフラッグ(まずそうだな、と思った時点でアラートをあげる)
→早く食べようホウレンソウの思想
→レッドフラッグ(プロジェクトの計画変更を余儀なくされる問題のアラート)ではもう遅い
所感:
・プロマネスキルを提供してきたケンブリッジの様々なワーク手法を紹介した本。
・とにかくプロジェクトチームメンバーのコミュニケーションを重視していることがよく伝わってきた。
・いくつか実際に取り入れたい内容もあり、かなり参考になる一冊だった。
今回は以上となります。
みなさまのご参考になれば幸いです。
それではまた!
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