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私とCCIEその3(Storage編)

これまで、私とCCIEの関わりと歩みについて、勢いで書いてきました。こちらに初めて訪れた方は、このシリーズの最初から読んでみていただけたほうがよいかもです。

せめて妻と子供にはわかってほしい。。俺が苦労して取得したCCIEってなに?

私とCCIEその1(プロローグ~Routing and Switching編)

私とCCIEその2(Voice編)



さて、私とCCIEの第3回。今回はStorage編です。

CCIE Storageと言っても知っている人は少ないんじゃないでしょうか。

あ、ストレージって何?って人もいると思いますので最初にざっくり説明しておきます。
ストレージのことなんてわかってる!って人は「1.ストレージとは?」を読み飛ばしてもらっていいと思います。(笑)

1.ストレージとは?

Storage(ストレージ)というのは簡単に言うと「データを保存する場所」のことです。

例えば、パソコンのハードディスク、スマホの中にも写真を保存したりする場所があります。他にも、USBメモリだったり外付けハードディスクなど、こういったものはすべて「ストレージ」です。

会社の業務になってくると、膨大な情報やデータを保存する必要があります。また、それらを共有することも出てきます。

そういった膨大なデータを記憶するために、たーくさんのハードディスクがが搭載されている装置が存在します。
私たちがシステムを検討するときには、この装置のことを「ストレージ」と呼んでいます。

ここで出てくるストレージは、このハードディスク装置のことを言ってると思ってください。

ややこしいですね(笑)

さて、私たちはたくさんのシステムを活用しています。これらのシステムは、通常サーバとよばれる、でっかいパソコン上で構築されています。

これらのシステムが、たとえば顧客情報や製品情報などのデータをどこにアクセスするかというと、通常はストレージに保存します。

サーバは、ストレージから情報を呼び出したり保存したりといった」処理を行います。このストレージにどうやってアクセスするかというと、ネットワークを経由します。

イメージとしては、下の図のような感じですね。

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この、サーバとストレージを接続するネットワークのことを、Storage Area Network(SAN)といいます。

このSANで使われる通信技術は、普段私たちがインターネット通信や、社内通信で使っているものとはまた違った方式を使っており、通信機器もSAN対応のものを使用しています。

2.CCIE Storageを受験したいと思った理由

CCIE Storage 試験で実際に設定する対象はストレージそのものではなく、SANを構成する通信機器になります。

正直、当時SANに関係する仕事は一切していませんでした。

にもかかわらず、なぜCCIE Storageを受けようと思ったのか。それは、、

「トリプルホルダーの称号が欲しい」

ということだったかなと思います。

CCIEを3つ以上持つ存在は、世界で数えられるほどしかいません。

取得したCCIEの組み合わせを考えると、ひょっとして世界で一人だけかもしれない。

自分が「世界でわずかな存在」と自信を持って誇れるものを手に入れられる。

正直、そんな思いが強かったのは確かでした。

3.要領がわかってきた試験勉強

CCIEも3個目ともなると、かなり勉強のコツがわかってくるようになってきます。

そんなこともあって、オンライン試験はおかげさまで1発合格しました。

そうして勢いあるままラボ試験の勉強に入ります。

これまでのトラックはラボ環境があったのですが、今回のStorageについてはあまりメジャーな機械ではないこともあり、ラボ環境が用意できませんでした。

そこで、海外のオンライントレーニングを使って練習するという初の手法で勉強していきました。

私が受けた当時のCCIE Storageは試験対象プロダクトが少ないこともあってか、Routing and SwitchingやVoiceに比べると、試験範囲のボリュームがそこまで多くありませんでした。
なので一通りの設定を網羅するのにそれほど時間がかかりませんでした。

対象の機器は、Routing and Switching で使用する機器のOSとは異なるのですが、コマンドの体系や使い勝手はそれほど変わりません。

なのでそこまで苦労したという印象はありませんでした。

3.ラボ試験会場はまたアメリカ

CCIE Storageの試験会場はアメリカのノースカロライナにあるRTP(Research Triangle Park)か、ベルギーのブラッセルしかありません。

Voiceの時に訪問したサンノゼではやっていないんです。また新しいところに行かなきゃいけないのかよ。。

渡航資金や慣れを考えたらまだアメリカのほうがいいと考え、RTPでの試験を選択しました(ブラッセルも英語でなんとかなるとは思うんですけどね)。

4.1回目の挑戦、初めてのRTP

1回目の挑戦。アメリカでも州と地域が変わると、雰囲気も全く違うものですね。RTPはノースカロライナ州にあり、日本から直通では行けません。

まずワシントンDCまで行き、国内便のローリィ(ノースカロライナ州の州都)に乗り継ぎます。

国際線とは異なり、アメリカの国内線となると当然ながらネイティブな英語を会話する人しか搭乗してません。

アナウンスも異常なくらい早口でしゃべってます。

何を言っているか全然聞き取れません。西海岸とはまた雰囲気が違います。

当時はまだ9.11同時多発テロの影響もあって、搭乗時のボディチェックが異常な程厳しかったです。

機内には飲み物を購入して持ち込むことが一切できません。テロがアメリカに与えたインパクトの大きさを感じます。

さてRTPですが、ここはまあ、はっきり言って田舎です。ただ、試験当日に向けてやるべきことは決まっています。

・ホテルから試験会場まで前日にレンタカーで走っておく
・試験ノートの最終チェックとイメージトレーニング

まあ、このあたりは前回と同様淡々とこなしていきます。

ここが当時のラボ試験会場です。

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そうそう、すごく驚いたのですが、駐車場に止めて歩いているとき、こんなナンバープレートを見かけました。

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すごくないですか?車のナンバーにおそらく自分のCCIE Noを使っているんだと思います。

さすが自由の国、アメリカだなぁ、と思いました(笑)

5.1回目のラボ試験、そんなにCCIEは甘くない

さて試験当日。RTPの集合時間は他の会場よりも早く、朝7時です。

試験官からブリーフィングを受け、試験に臨みます。

最初に問題を見ましたが、思ったよりは難しい問題はありません。

これ、ひょっとしたら1回で合格できるかも、とまで感じました。


しかし、そんなに甘くないのがCCIE。

のっけから思いもよらない「落とし穴」に引っかかってしまいました。

試験官に問い合わせると、なんと「Storage担当の試験官がまだきてないからくるまで待て」。。

おいおい、ここが進まないと何もできないんだよ。

強く抗議し、電話連絡をしてもらいました。


結果としては私の勉強不足が原因だったのですが、結局このことで30分以上ロスしてしまいました。


そこからは比較的順調に進んでいきます。ただ途中ではっきりしたことがあります。

「合格はないな。」

勉強してきたとは言え、やはり細かい部分までおさえきれていませんでした。

結果については、予想通りFail。

試験中に確信が持てない状態で合格はありえません。さてもまた出直しです。


RTPの試験で厳しかったのは昼食です。RTPではケータリングの食事が試験会場の会議室内に用意されます。

この食事がまあまずい。

油まみれの肉と野菜を炒めたもの、かなりまずいパン、唯一手が出せたサラダ、そしてデザートの甘すぎるケーキ。。。

私はそれほどグルメでもないので食べ物に不満を感じることはそれほどないのですが、RTPはひどかった。。


東京>サンノゼ>>>>RTP


という感じでしたね。

6.2回目のラボ試験への挑戦、過去の経験は確実に活きていた

帰国して、さっそく次の試験に向けての対策を始めます。

これまでと同じように至らなかった箇所を洗い出し、細かい部分を潰していきます。

ラボ試験勉強のやり直しはもう何度も経験しています。内容は違えどやるべきことの勝手はわかっています。

なので今回はかなり効率よく行っていけたと重います。

当然、夢でのコンフィグも始まっています。精神状態的にもいい感じになっています。


そして2回目。RTPでの再挑戦です。

設定はまあ、驚く程順調です。

降りてきましたね、「CCIEの神」が。

初めてですね。「満点だな」と確信したのは。

もうかなりの時間を残して終了できました。

見直しも3回実施しました。


そして試験終了後、試験官から

「試験結果は2時間以内に届くから」

と信じられないようなことをいわれ、ここでまず間違いなく合格だなと確信しました。


7.RTP試験会場名物「Wall of Pain」

RTP会場の入り口入ってすぐ右手には「Wall of Pain(苦しみの壁)」というものがあります。

壁一面に大きな模造紙が貼ってあり、そこにはおそらくCCIEにPassしたであろう人達のサインが所狭しと書いてあります。

プロクターに「俺は既にCCIEを2つ持っているのでサインしてもいいか?」と聞いたらOKと言われたのでサインしてきました。

さらに「写真をとってもいいか?」と聞いたら許可してくれたので記念に撮影しました。


これがWall of Painです。大きすぎて全部は納まりきれませんでした(汗)

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なんか、過去のCCIEと戦ってきた人たちの歴史を感じます。

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わたしもこんな感じでサインしてます。RTPで試験受ける機会がある方、探してみてくださいね(笑)

8.「CCIEトリプルホルダー」の称号を得た瞬間

ホテルに戻り、夕食を終えてからメールチェックをしたら、本当にスコアレポートが届いていました。

ほぼ確信しつつもやはりドキドキしながら結果を確認。


PASS。


今回はゆっくりと喜びを噛み締めることができました。

これで私も世界で(当時)数百人しかいないトリプルホルダーの仲間に入れたと。

帰宅後、後から届いたCCIEの盾です。以前と違って、横長になったんですね。

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9.RTPからの帰国で遭遇した泣きそうなトラブル

ところで、RTPに関しては飛行機の搭乗トラブルに巻き込まれました。

合格した次の日帰国するためワシントンDC行きの便に乗ったのですが、乗ってから何やらスタッフが慌ただしく動き出しました。

しばらくしてメカニックらしき人がコックピットに飛び込んできます。しばらくして

「今からシステムをリスタートします」


えっ??再起動??かなり不安になります。

それでも何かが直らなかったらしく、「降りてください」とのアナウンス。

結局私の搭乗した便は欠航となってしまいました。


当然ながら次の便に振り替えてもらうのですが、そこが長蛇の列。

2人のスタッフで到着便の受け入れ、出発便のチケット確認、そこに追加で我々の振替対応をしています。

ワシントンDCから成田行きの便は12時です。作業は遅々として進みません。


結局私に順番が回って着たのは13時。

もうどうしようもありません。その日中に帰宅することは不可能となりました。

仕方ないので次の日に変更し、ワシントンDC行きはどうも縁起が悪いのでシカゴ経由成田行きに変更しました。


もう1日延泊です。

まあ、これもゆっくりしなさいというご褒美なのかなと切り替えて、RTP のショッピングセンターなんかを散策したりしてゆっくり過ごしました。

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さて次の日。シカゴ行きに搭乗します。

前日振替の列に並んでいた人達が同じように並んでいて、搭乗手続きの窓口はすごい列です。

そうこうしているうちにシカゴ行きの時間が迫ります。

スタッフが「シカゴ行きの人は前へ!」といってくれたのでショートカットして手続きします。

あ、昨日ちんたらやってたスタッフだ!「今日は昨日みたいなトラブルがないことを祈るよ」と少し嫌みをいって搭乗口に向かいます。

今回は無事滑走路まで飛行機が移動しました。ホッ。

しかし。。。そこから動きません。。なんだ??アナウンスがあります。


「天候不良のために様子見です。」


えええええ???まさか、また飛び立てないのかぁ??


1時間後、なんとか飛行機は離陸しました。その後は予定通りシカゴを経由して無事帰国。

海外一人旅でのトラブルはなかなかきついものがあります。

でもまあ良い経験になりました。

10.3つのCCIEへの挑戦を終えて感じること

CCIEへの挑戦は、本当に苦痛との戦いです。

さながら水に顔をつけてでどれだけ息を止めていられるかという我慢比べをやっているような気分です。

もしも、

「あなたが合格したトラックのラボ試験をもう1回受けろといわれたらあなたは挑戦しますか?」

と聞かれたら私は迷わず即答します。

「もう二度と受けたくありません。」

これが正直な気持ちです。

しかしながら3つのCCIEへの挑戦を通じ、私は大きく成長できたと思っています。

技術的な面だけではなく、精神的な面でも鍛えられたのです。

何といっても「目標を達成するためにやりきる」ということはどういうことか、を学んだ気がします。

そして、当時はただ「トリプルホルダー」という名前がかっこいいからと思って挑んだわけですが、個人事業主として独立した今となってはCCIEを持っていることが本当に大きな大きな柱になっています。

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私とCCIEその3はこれでおしまいです。

次回で書くかどうしようかなぁ。

書くとしたら、今現在CCIEへの挑戦に対してどんな思いを持っているか心境を書いてみようかなと思います。


それではまた。

#日々感謝 m(_ _)m

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