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【考察】目的思考はどのようにして生まれるのか

本日は学生との打ち合わせが2本。いずれも一般的には優秀とされる学生たちで、社会人に交じっても遜色なく議論ができていました。
一方、長年の問題意識として「人はなぜ目的思考が薄れてしまうのか」ということを思い起させる1日でした。特に、若手社会人や学生では、それを持てる人とそうでない人が大きく差が出てしまうことはずっと課題に感じています。
私が今後の人生で学生を中心に伝えていきたいメッセージでもあるので、本日の記事は、それがどこから生じるのか、自分なりに考察してみようと思います。

~考察パート~
今日実際にあった会話や、これまでの私の実体験から、目的思考を獲得するためには、以下の3つの要素が必要だと考えられます。

【①主体性の発揮】
若ければ若いほど、言われたこと、与えられたことをこなして褒められる経験が多くなり、「こなすこと」それ自体が目的化してしまいがちになる(手段の目的化)。
他者が打ち立てた目的に気付かぬ内に乗っかってしまっている場合があり、他者の意志と自分の意志を混同する可能性が高まる。結果、その場での一体感を作り出すことに流されやすく、目的を忘れた議論となることがしばしば起こる。

<言いがちな言葉>「~~さんが▲▲▲と言っていたのでXXXXしました」
<答えられない質問>「君はどうすべきだと考えているの?」

これを打破するためには、『答えのない or 答えが無数にある問題について考え抜く経験』を積むことが大事。答えが無いので、自ら仮説を持って取り組むことになるため、主体性が育まれる。

【②概念化(抽象化)する力】
多くの学生は自分の価値観に近いコミュニティに所属していることが多いので、自らの実体験をあえて抽象化して伝える場面が少ない。その場合、自らが実感を持って経験した部分を、具体的に語る方が刺さりやすいメッセージとなる。
一方、その経験を共有していない人たちに何かを伝えるシーンにおいては、「言いたいことはあるけど、相手に伝わるように話すことができない」という状態に陥りやすい。これは、自らの具体的な経験をそのまま伝えようとする/相手の具体的な経験をそのまま理解しようとすることから生じる。
すなわち、お互いの具体的な経験を概念化(抽象化)して把握する力が不足している、ということ。

<言いがちな言葉>「実際に経験したことがないので想像がつかないです」
<答えられない質問>「あなたのその経験から学んだ/言えることは?」

これを身に付けるためには、『自らの具体的な経験に対して「つまりどういうこと?」』という問いを立てることが重要。一言でまとめることを意識する。エレベーター・ピッチ(30秒で主張をまとめる)なども有効。

【③バックキャスティングする力】
バックキャスティングとは、ゴール(目的・目標)からスタート(現状)を見て、進むべき方向を考えること。「今(現状)」に焦点が当たりすぎると、あれもこれも何でもやりたくなってしまって、的が絞れない。「未来(目的・目標)」に焦点を当てることで、【したいこと】と【すべきこと】が浮き彫りになり、どれが寄り道でどれが本筋なのかを見極めることができる。
究極的には、ミッション(使命)とビジョン(ありたい姿)を持っているか否かに大きく左右される。若い内からこれに突き動かされている人はごく少数(孫正義氏など)と思われるが、それは周囲にそういうオトナがいないことが大きな要因の一つなのではないか。

<言いがちな言葉>「『とりあえず』●●●をやってみることにしました」
<答えられない質問>「その行動がもたらす結果(ゴール)は?」

とにかく、”Goal to Start" の考え方を徹底する。行動の前に目標を定めてから現状を見るクセ付けをする。もちろん「まずはやってみよう=フォアキャスティング」も悪くはないが、ざっくりとしたゴール設定(向かうべき方向性くらい)と、やってみたことへの振り返りは必須。
ゴールを定めずに「とりあえずやってみよう」だけでは、軸・信念に基づく行動というよりも自分が心地よいかどうか(快感情)がベースになっていることが多い。

~社会人との対比~
「なぜ社会経験を積むと目的思考が(ある程度)しっかりしてくるのか?」
発信する機会が多い ☞ 主体性を問われる
…自分の考えを誰かに伝える、ということそのものが仕事である。
自分と相手の「共通の利益」を探る ☞ 違う立場の間の共通項を探る
…自分の考えを主張してもお客さま・相手の納得を得られなければ仕事は進まない。すると、相手の思考にも思いを巡らせて、自らの主張とマッチする「共通の利益」を探るようになる。自分と相手は立ち位置が違うので、この際に概念化(抽象化)ができないと、自分と相手の考えを重ね合わせるのが難しい。
成果を求められる ☞ ゴール(成果)を意識する
…事業を行うということは、成果を出さなくては会社がつぶれるし、給料も出ない。学生(特に部活・スポーツの世界)でも成果を求められるのは同じだが、教育の一環であることから、よりプロセスを讃える視点も相応に強い。社会に出るとよりシビアになる。

ざっくりとした仮説ですが、こんな感じでいかがでしょうか?

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