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観察眼を養う ~ファシリテーション(議論活性化)のキホンのキ~

昨日・今日と仕事でファシリテーション(議論活性化)の研修を実施していました。最近、学生支援関連の打合せでもファシリテーターを務めることが多くなってきたこともあり、とある後輩から「どのように会議でファシリテーションを行っているのですか?」と聞いていただきましたので、少しそれについて書こうかと思います。

私の中で大事にしていることを一言で言うと『観察する』ということです。仕事では前職で新卒採用に長らく携わり、現職でも採用窓口を務めており、プライベートではコーチとして何人もの学生と向き合ってきた経験から、【観察眼を養うポイント】について以下の通り整理してみました。

~基本編~
<相手の思考を知るために>

【 Try it !! 】相手の言葉を全て余さず書き留める
①言葉を整理する:書き留めた言葉を『大きく3つ(2つ)』のグループに分けてみる。1人のサンプルでは良くわからないと思いますが、同じテーマを複数人に話してもらって、まとめたグループを比較してみると、如何に話の焦点が偏っているかがわかります(すなわち相手の思考のクセがわかる)。
②言葉の選択を見る:感情・欲求を表す言葉、本人特有の特徴のある言葉などを中心に、無自覚に繰り返し用いられる表現を見つけると、表面に出てこない当人のベースとなる考えの一端を捕まえることができます。

<相手の心理を視るために>
【 Try it !! 】ペースの変化を見逃さない
①変化した時の話の展開を覚えておく:人の心理状態はペースに現れます。人によってペースは違うので他社比較は使えません。同一人物の中で、ペースが速くなる/遅くなる瞬間のスイッチを捉えていきます。ペースが変化した時は何らかの心理的な変化が心の中で生じているので、それが「どんな話題」において起こったのかを、しっかりと記録・記憶しておくのが重要です。
②理由を「裏読み」する:①のペースの変化がなぜその話題で起きたのか、その理由について考えを巡らせます。ただし「1段階」裏を読みます。例えば、それまでゆっくりとしたペースで話していた相手が、「部活・チームの目標」についての話になった途端に早いペースで語り始めたとします。この時『普段は大人しいけれど、実は熱いヤツだ!』というのが表で、『と、思われるように振舞っているということは、実は突っ込まれたくない何かがあるのでは?』というのが裏読みです。裏読みをする意味は【表と裏の両面から相手の心理にアプローチする】ということです。特に、ポジティブな感情は、元を辿るとコンプレックスの裏返しであることも多々あります。

~応用編~
<より短時間で相手を把握するために>

【 Try it !! 】自身の感情の揺らぎに着目する
自身を「センサー」として使い、過去のデータと照合する:人を観察することへの経験値がたまってきたら、相手の言葉を集めて分析しなくても、相手の言葉を聞いて生じる自身の反応をもとにして、大体の相手の傾向を掴むことができるようになります。イメージは、自身がリトマス試験紙になったかのごとく、です。相手の言葉を受けて自分の感情がどう揺らいで反応したかをもとに、その反応が過去のどういった経験と近いかを思い出すことで、短時間で相手の大まかなタイプを把握できます。

<相手自身も知らないことを引き出すために>
【 Try it !! 】「具体」と「抽象」を往復させる

思考の飛躍を読む:相手に対して、「具体的な経験」と「抽象的な概念」を交互に投げかけていきます。例えば、「部活における印象的な経験(具体)」を聞いた後に、「その経験から得た教訓(中小)」をまとめさせ、さらに「その教訓を後輩に活かすための方法(具体)」を考えさせるなど。これをやると、途中で思考が飛躍したり、論理が途切れたりするのを感じると思います。そのポイントを詳しく突っ込み、説明してもらうことで、「他人にはすぐに理解できない、自分だけの価値観・考え方」があることに気付かせることができます。まさしくそこが『本人が無自覚に当たり前だと思い込んでいる部分』、すなわち本質的な価値観となります。

最近特に重要だと感じるのは、『主観』をうまく使う、という点です。これまでは、客観的なデータ・情報の積み上げで人を理解しようとしていた傾向があったように思いますが、実は無自覚に行っている主観的な判断をベースに、その理由を明確化していく方が、「自分らしい観察眼・判断軸」が保てるような気がしています。

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