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怪談師論3 スリラーナイト出身怪談師

スリラーナイトは、専属怪談師が1時間に一回、15分のステージを務め、合間の休憩時間には怪談師との歓談も楽しめるアミューズメントバー。
そこで話芸を磨き、他のイベントなどでも活躍するようになった人も多く、いわば養成所としての役割も果たしていますから、現在の隆盛に大きく貢献したと言えるでしょう。

中でも、札幌店のオープン当初から関わっている、

匠平

低く、よく響く声だけど、口調はフランクで、まるで友だちが自分の体験談を話してくれているような距離感で怪異を語る。
自身も多少霊感があるらしくて、経験談も豊富です。
一度、口開けに札幌店へ行った時は、他にまだお客さんがいなかったこともあり、ステージを終えるとテーブルまで挨拶に来てくれて、そのまま一緒に飲みながら、いま披露した怪談の後日談まで語ってくれました。
気さくで魅力的な人柄ですが、眼鏡の奥の細い眼が、一瞬妖しく閃く瞬間も……
現在はスリラーナイトを卒業し、バーを経営している模様。もちろんそこでも怪談を聞かせてくれるのでしょう。


村上ロック

帯広出身ですが、歌舞伎町店のエース。常に学帽、学ランで、小柄であるため、兵頭大樹言うところの「永遠の中学生」。それにしてはつり上がった目がちょっと怖いような可愛いような。しかも、学帽の下はモヒカンですから。
また、俳優村上ROCKとして、Jホラーの旗手・白石晃士監督作品にも出演しています。
その風貌のせいか、子どもが出て来る怪談が、妙にリアルに、またノスタルジックに迫って来るのです。

ところで、ご結婚されたようですね。おめでとうございます!

https://www.youtube.com/watch?v=SjHIxMMdOp8


城谷歩

六本木店に在席。現在は独立してフリーランスのプロ怪談師。
この人は多分、唯一と言っていい、トラディショナルな怪談師。つまり、伝統的な落語・講談・活動弁士の、江戸っ子口調で怪談を語ります。まさに「怪談牡丹灯篭」の円朝が現代によみがえったみたい。
とはいっても、落語家として修業したわけではなく、あくまで独学らしいので、よっぽど勘がいいんでしょう。
音楽でいえば、聴いただけで知らない曲でもすらすら弾けてしまうような才能で、師匠につかずとも聴いただけで勘所を押さえ、コピーができる。そしてそれを自由にブレンドして、独自のスタイルを築き上げています。
既に充分語りの技を極めていると思うのに、まだ本人は不満だったらしく、一時、配信をお休みしてまで練習期間を設けていたほど。ストイックな「話芸の人」です。
古典怪談もやりますが、この口調で現代の実話怪談を語る方が、城谷怪談の真骨頂である気がします。


怪談師は、聴かれて育つ。
スリラーナイト出身の怪談師を聴くと、そのことを実感します。

to be continued


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