見出し画像

出会いそして別れ 入院編

薬も飲んじゃってフラフラしてると思うから今日はここに泊まろうか。そんな言葉で始まった閉鎖病棟の入院生活。3ヶ月も閉鎖病棟にいるとはこの時これっぽっちも考えていなかった。

最初の頃の記憶はほぼない。覚えているのはある看護師さんが一生懸命語ってくれた姿だった。何を言っていたのか今では思い出せないけれど、何かいいことを言ってくれたのは覚えている。のちに担当看護師さんになる人だ。その人の名前だけは覚えておこうと名札を見る。同じ苗字が2人いることに今は気づかない。話が逸れるが、この人はいつもためになることを熱く語ってくれる。しかしなぜだかわからないが、私の中ではその話が右から左へ流れやすい。声のトーンが心地よいせいだと自分の中では解釈している。ごめん。

その後、全身チェックされて、意味もなく貼っていた絆創膏を剥がされ、傷がないか確認された。

入院した次の日にCTを取りに病棟の外へ。普通、補助さんが連れて行ってくれるのになぜか私は先生だった。精神科の車椅子にはベルトがあって、逃げれないようになっている。ベルトをされて先生と2人でCTを撮りに。途中で逃げようとして先生は戸惑ってた。どこかへ電話をかけていた。私が諦めたのを気づいた先生はそのままCT室へ。動きまくった。今思えばあれは撮れていたのだろうか。

初日に会った看護師さんの名前を覚えていた私は同じ苗字を見つけてこの人だと思う。別人だとは思いもしない。ニコッとしてみる。だがもちろん別人のため何も語ってはくれない。あんな親身になってくれてたのは嘘だったのか?と思う。後から別人だったことを知る。

最初の何日間はずっと拘束されていて、トイレに行きたいときはナースコールで看護師さんを呼んで拘束帯を外してもらって抱えられながらトイレへ行く。ご飯も食べてなかったから点滴。最初は車椅子移動だったな。

ホールにも出られるようになった頃、1人の男の子が声をかけてくれた。だんだん話すようになり、その周りの人たちとも仲良くなった。あの子、あなたのこと好きらしいよなんて噂を立てていろんな話したな。

仲良くなったかと思えば、退院。そしてまた新しい人と仲良くなる。それの繰り返し。急性期だからどうしてもね。

1ヶ月くらい経ったかな?しばらくして部屋に年が近い女の子が来た。どうやって仲良くなったか覚えてないけれど、すごく仲良くなった。その子の方が先に入院していて、部屋移動で私の部屋にきたそう。一緒にご飯食べたり、カーテン開けて一緒にお話ししたり、みんなとトランプやったりした。同時期に男の子も入院してきて、3人でいつも一緒にいた。廊下の端に座ってずっと話してた。永遠に話していられた。いつだったか忘れたけど、男の子が(私たちの間では無敵モードと呼ばれている)調子悪くなって暴れた。夜勤帯だったから3人の看護師さんだけじゃ対応できなくて、先生も警備員も呼ばれて保護室に連れて行かれた。つられて私も女の子も調子悪くなっちゃって、先生が私のベットと女の子のベット交互に移動して忙しそうにしていた。その後一日経って男の子は無事保護室から帰還。監視カメラで録画された映像を看護師さんたちはみんなして見てたな。

しばらくして避けられないのが、そう。退院。その子たちは一足先に退院、転院した。泣いた。私だって退院したい。会えなくなるのは嫌だ。そうやって泣きまくった。そしたら看護師さん2人で慰めてくれた。順番だよ。って。

そしてまた新しい出会いがあった。二十代後半の女の子が空いた私の前のベットに入院してきた。その子は入院初日に私のベットへ来て、(私はその時拘束されていた)ベットの上、私の横に座るのだ。私は拘束されてるからされるがままでびっくりする。監視カメラで見てた看護師さんが飛んでくる。自分のベットに戻されてはこっちへ来ての繰り返し。看護師さんもとうとう怒ってその子も拘束されてた。そこから仲良くなって、一緒に塗り絵したり、似顔絵を描いてもらったり、お話ししたりした。推しの看護師さんのトークにも花を咲かせたね。その子も無事退院し、残るのは私だけ。どんどん置いてかれるような気がして寂しかった。

そんな時、いい話が私のところへ舞い込んだ。外泊だ。コロナで外泊は基本ダメだったんだけど、主治医が特別に許可をしてくれて大学の学祭がある日に外泊することに。もう何をしたか覚えてないけれど、病院戻る前に出前をとって、その間にリストカットをしたことは覚えている。両親はびっくりしていた。私は病院戻りたいとだけ言い、少し早めに外泊から病院へ戻ることになった。病院に着くと三階で病棟へ行きたくないと渋る。困った両親は看護師さんを呼んできた。看護師さんと病棟へ戻る。傷口を消毒してくれた。浅いから大丈夫と言われた。

次の日あの語ってくれた看護師さんが部屋にきて傷口を見せろと言う。見せたら丁寧に丁寧にガーゼを貼ってくれた。もうすでに治りかけてる傷に痛かったねと言うように丁寧にガーゼを貼ってくれた。嬉しかった。

そんなこんなで退院は少し延び、無事退院の日がやってきた。両親が迎えにきて手土産を渡し、大好きな看護師さんに手紙を渡し、ありがとうと言い残し私は去った。数日後に再入院するとも知らず。

再入院編へ続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?