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「一人ひとりが好きと思える場所をつくりたい」野菜ソムリエだからできる人のつながり〜杉山久見子さん〜

野菜ソムリエインターナショナル部によるインタビュー企画。
第1回目は、インターナショナル部の運営者であり発起人である、野菜ソムリエプロ杉山久見子さんです。
野菜ソムリエプロとして長いキャリアを持ちながら、活動が多彩な杉山さんに、活動の原動力や野菜ソムリエへの思いについて伺いました。

「マネジメント×日本語教師×野菜ソムリエ」の根底にあるもの

−今の仕事や取り組んでいることを教えてください。

杉山久見子さん(以下、杉山)
「私の仕事と活動は、大きく3つです。
1つ目は、本業のマネジメント研修を行うスタートアップ企業です。小さな会社なので、広報、マーケティング、管理運営など多岐に渡る業務を行っています。ここで得たマネジメントの知識をコミュニティ運営など他の活動にも活かしています。

キッズレッスンを専門としています。

2つ目は、オンラインの日本語教師。日本語教師をしているのは、大学時代に留学生の日本語サポートに関わって以来、日本語や日本語を通じたコミュニケーションに魅了されていることと、海外から日本に来て困っている人を助けたいとの思いからです。

そして3つ目が、野菜ソムリエのコミュニティ運営。野菜ソムリエでは、野菜ソムリエコミュニティTOKYOの運営をサポートしているほか、ママ野菜ソムリエサークルや、インターナショナル部の立ち上げから関わっています。
それぞれ、パパやママでも参加できる場所を作りたい、年齢性別に関わらず活躍できる場所を作りたいとの思いがあって立ち上げました。

私の原点として、『困っている人を助けたい』という思いが人生の土台にあります。
だから、イベントなどで一人でいる外国人がいたら自分から話しかけに行きますし、ママ野菜ソムリエサークルは自分が当事者としてこうだったらいいなと思うことがいくつかあったことがきっかけです。
そうした活動をきっかけに、新しい人とつながりができて仕事の幅が広がっています。」

憧れて申し込んだものの順調にいかなかった受講生時代

−野菜ソムリエに興味をもったきっかけを教えてください。

杉山
「2007年に友人が野菜ソムリエの資格をとったと聞いて、調べてみたのがきっかけです。
資格取得者に芸能人の方がいて、野菜そのものよりもきらきらしたイメージに惹かれました(笑)また当時は友人と週末にレンタルスペースでカフェを営業していたので、参考になりそうだなと。
受講中は会社員だったので、働きながら効率的に学習することを重視していました。休憩中の営業車で課題をやっていたこともあります。

そうして無事に野菜ソムリエに合格し、プロコースを申し込んで通学するつもりだったのが、体調を崩して通学できない状態になってしまいました。残念ながら、その時は、勉強を一時中断しました。そして、また体調が回復してからDVD講座を申し込み直しました。」

懐かしいテキスト

−プロコースはどうやって勉強していましたか。

杉山
「DVD受講コースだったため、朝5時に起きて家で子どもたちが寝ている間に勉強していました。しかし、受講が終了してから合格までに1年かかりました。試験当日までずっと一人で勉強していました。なので、相談できる仲間もいなくて、対策も分からず、2度不合格という悔しい思いをしています。

そんな時、協会主催の座談会に参加したのが転機になりました。

一つは座談会に参加したことで、初めて野菜ソムリエの方とつながることができました。
『試験ではこんな問題が出るらしいよ!』と試験情報を得ることができて必死に勉強し、ようやく合格できたんです。仲間の必要性を痛感しましたね。うまくいかなかった分、野菜ソムリエとして自分のやりたいことを叶えたい思いが強くなったと思います。

もう一つは、座談会で登壇していた野菜ソムリエプロの方を見て、いつか私もあの場に立ちたいという目標ができたことです。
この方には、野菜ソムリエプロになってしばらくしてから直接お礼を伝えることができましたし、2018年には協会のティーパーティーで登壇することができ、目標が実現しました。」

ティーパーティーの様子

コミュニティやイベントを企画するときの思い

−野菜ソムリエになって変わったと感じることはありますか。

杉山
「人から感謝されることが増えました。
2022年は小松菜収穫イベントや、中国とスリランカのオンライン文化講座を実施したのですが、どのイベントでも「はじめて野菜ソムリエのイベントに参加した」という方がいたんです。初参加の方が実際に土を触ったり、オンラインで他の仲間とつながったりして、皆さんから「勇気を出して参加してよかった」「企画してくれてありがとうございます」、さらには「杉山さんに出会えてよかった」とまで言ってもらえて。毎回そのような嬉しい言葉をいただく度に、涙が出そうなくらい感動しています。
これって、ずっと野菜ソムリエのイベントに参加するのを躊躇していた人たちの敷居を下げられたと思うんです。こういった方たちの参加する場所を作れたのが嬉しいですね。

フードロス削減  小松菜収穫イベント

ママ野菜ソムリエサークルを立ち上げた頃からそうですが、「○○だから参加できない」という場所を減らして「誰でも好きな場所を選んで参加できる場所」を作りたいと思っています。そういう場所に人が集まることで、たくさんの人と繋がって世界が広がっていくことがとても楽しいです。
ママサークルの運営メンバー募集の時は、誰も集まらないかも...なんて心配しましたが、そんな心配は全く必要なく、数日で10名ほどの応募があって、こんなにも共感してくれる仲間がいるのだとすごく心強かったことが印象に残っています。企画したサークルやイベントに人が集まってくれると感激します。私にとって、野菜ソムリエとは人脈を広げるものであり、知らない人に出会える場所ですね!」

野菜は人と人をつなげる力がある

−杉山さんにとって、野菜とは?

杉山
「野菜には、人と人をつなぐ魅力があります。野菜って誰でも食べるし、生活の一部ですよね。仕事でも野菜の話題からぬか床の話に発展したり、大好きな小松菜の話で盛り上がったり、仕事関係の話より「小松菜」の印象で覚えてもらうことも多いです(笑)野菜や果物が、話やつながりを広げるきっかけになってくれていると思います。

だから、私は野菜ソムリエになってから生活が面白くなりました。家族の食事を管理し、仲間とつながって仕事の幅が広がりました。これは私の場合ですが、皆さんもそれぞれ感じている変化があると思うので、ぜひ聞いてみたいですね。

野菜ソムリエに特化して活動されている方もいますが、私はどちらかと言うとエプロンをつけて活動するよりも、皆さんとつながれる場所を作りたいです。憧れていたキラキラ系の野菜ソムリエではなく、どちらかというと人前に出ない裏方のマネジメントな野菜ソムリエですが(笑)

野菜ソムリエは、それぞれのライフスタイルに合った形で資格を活かせるので多様性があってすごく好きです。イベントや会議ではいつも野菜の話ばかりしているわけではないけれど、野菜をきっかけに人とつながって、新たな気づきが生まれる。そこが野菜の魅力だと思います。」

ママ野菜ソムリエサークル主催  オンライン交流イベント

−今後こんな人とつながってみたい!というのはありますか?

杉山
「(しばらく考えて)自分にとって未知の方や、価値観を覆してくれる方かな。例えばアフリカで野菜の仕事をしている方とか、海外で野菜の流通業に従事されている方とか、自分が知らない世界で働いている方に出会いたいです。外国人の方に野菜ソムリエの話をすると新鮮みたいで反応が面白いんですよね。いつか海外で食育や野菜の話もしてみたいです!」


野菜ソムリエ以外の活動も充実している杉山さん。
それぞれかけ離れているように見えて、実は「人とのつながり」と「人を助けること」が根底にあること、そして野菜がそのきっかけになっているとのことでした。

盛況だった小松菜収穫イベントにて。右は筆者

インタビュー後、まだまだ話し足りない!とのことだったので、またお話聞かせていただきたいです。ありがとうございました!

杉山さんのInstagram:@cocoondoughnuts
インタビュー&文:みつはしさなこ


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